ニュース雑記帳

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JR東海認知症事故訴訟

2016-02-16 15:56:33 | Weblog
2007年に、愛知県大府市で、91歳の認知症の男性が徘徊中に列車と接触して死亡したという事故があったそうです。この事故により、振り替え輸送などを行わねばならず損害が出たとして、JR東海は遺族に約720万円の賠償を求める裁判を起こしました。

一審の名古屋地裁の判決では、見守りの義務を怠ったと、同居していた妻と離れて暮らしている長男の二人に、JR東海の請求通り約720万円の支払いを命じたそうです。

それを不服とした遺族が控訴し、二審となる名古屋高裁は、長らく父親と別居していた長男には責任はなく、監督責任のある同居していた妻にのみ359万円を支払うよう言い渡したそうです。

この判決には、JR側、遺族側、双方が不服として最高裁に上告したのだとか・・・

いや~・・・これは、ちょっと酷な判決なんじゃないですか。なんていうか、奥さんと息子さん二人に支払いを命じた一審より、奥さんにだけ責任があるとした二審の方が酷だと、わたしは感じてしまいます。実際に認知症の夫を介護をしていた奥さんには、そうとうなご苦労があったでしょうに、その奥さんに責任の全てを負わせるというのは惨い気がしますよ。

奥さんの介護がどんなものだったか、息子さんとの関わりがどんなものだったか、実際のことって分からないから、一概に言えないこともあるとは思うのだけど・・・奥さんがお涙ちょうだいの美談になるほど手厚い介護をしていなかったとしても、酷い虐待をしていたとか、徘徊癖のある旦那さんをわざと外に出して家から締めだしていたとか、そういうことでもないかぎり、その思いは変わりません。

通り魔事件なんかで、犯人の責任能力が問題になったりしますけど・・・よく知らないんですが、あれって責任能力がなければ罰せられないんですよね。刑務所じゃなく病院に入院で、治ったら退院できちゃうんですよね。で、その場合、被害者に対する保障って、どうなってるんでしょう。それも免除されるんでしょうか。犯人の家族とかに責任がいくんでしょうか。

もし、責任能力がない者が犯罪を犯しても、被害者に保障する必要がないなら・・・認知症患者の起こした自己で、遺族が責任を問われるのは絶対にオカシイと思うんですが・・・そこはどうなんでしょうね。

チョット脱線しましたが・・・今回のような場合は、事故を引き起こした本人に責任能力がないなら、JRには諦めてもらうってのはダメなんでしょうか・・・

ああ・・・でも、これがもしJRのような大きな企業ではなくて、被害をこうむった相手が小さな会社であったり個人であったりしたら・・・認知症の男性に資産がある場合に限り、その資産から賠償してもらえたら・・・とも思わなくないかもしれません。その資産が奥さんと同居している自宅だけとかだと困るんですけど、けっこう遺産があるなら、遺族の方も、ちょっと考えてもらってもいいかなとか・・・。ただし、それは遺族に責任があるからではなく、責任能力がないとはいえご本人が人に与えた損害を、その方の資産で賄うという意味でね。

JR東海は訴訟の前に遺族と協議していたというから、男性には相当の資産があったのかな・・・

でも、認知症男性に資産がなく、残された奥さんに年金から賠償金を支払っていけとか・・・とういうのはやっぱりヒドイですよ、実際問題として無理ですし。だから、こういう事故で、遺族が責任を負うというの前例は、作らないでいただきたい・・・と、そう思います。