ニュース雑記帳

日々のニュースからテーマを拾い雑考してます

池袋で87歳の男性が運転する乗用車が暴走というニュースを見て

2019-04-20 17:58:31 | Weblog
昨日、豊島区東池袋の都道で、87歳の男性が運転する乗用車が次々に歩行者をはね、自転車で横断歩道を渡っていたお母さんと三歳の女の子が亡くなったというニュースがありました。

なんというか・・・言葉がない・・・

けど・・・どちらの立場での苦悩も出来る範囲で理解した上で・・・この事故(もはや事件なのかもしれません)自体からは離れて・・・あえて、高齢者の運転事情ということを少し話したいなと思います。

日記のブログでは書いたのですが、この春、まさに87歳の誕生日を迎える母が、高齢者の免許更新の事前手続きで認知症の疑いを指摘され、悩んだ末に、運転免許証の返納を決意しました。

70歳を越えたドライバーが免許を更新するには、事前に高齢者講習というのを受けなくてはなりません。それが75歳以上になると、さらにその前に講習予備検査(認知機能検査)等を受けなければなりません。母は、この講習予備検査で引っかかったわけです。

予備検査の結果で認知症の疑いなどが見つかっても、即座に「あなたは免許を更新できません」とは言われませんが、専門機関で「認知症ではない」という証明をもらってください、でなければ更新手続きは出来ませんと言われます。その書類に専門機関の紹介などはなく、主治医に問い合わせて教えてもらったところ、近隣でその証明がでせる専門機関はとても少なく、診察日や診察時間も限定されていて、もちろん人数限定の予約制で・・・とても免許更新の期日までに診察をうけるのは無理なんじゃないかと思えるような、高いハードルです。というか・・・それ以前に、認知症の疑いありと言い渡されることで、相当の心理的ダメージがありますから・・・言外に「お願いだから、もう、運転は辞めてくださいよ」というメッセージが感じられます。

そのメッセージは、家族の思いも代弁したもので・・・警察と言えど、大きな事故も規定を越えた違反もない人から、強制的に免許を取り上げることはできないから、なんとか自分から更新を諦める、あるいは返納すると言ってほしいがための工夫として理解できるのですが・・・認知症と言われた母の落ち込みを見ていると、正直、胸が痛くなります。

運転免許更新を、つまり車の運転を続けることを諦めた母は、一気に老け込み、体調も崩してしまいました。一週間以上寝込み、ほとんど食事もとれず、このまま寝たきりになるのではないかと本気で心配しました。病院でもなかなか原因が分からなくて、どうしたものかと困り切っていたのですが、しばらくして酷い胃潰瘍であることが分かり、その治療をはじめてからは、たいぶ体調も戻ってきました。でも、まるで以前の母とは違ってしまいました。

都会で暮らしておられる高齢の方たちは、自分で車を運転する必要を、あまり感じられないと思いますが、田舎で暮らすものにとって、車というのは自分の足と同じくらい大切なものです。しかも、むしろ高齢になればなるほど、その必要性が増します。田舎で暮らす高齢者から運転免許を取り上げるということは、その分を家族がケアするか、高齢者自身が自分の行動範囲を狭めて暮らすしかありません。仕方のないことではありますが、やはり、相当の覚悟、あるいは諦めが必要です。

わたしは母に、できるだけ幸せに長生きして欲しいと思います。家族以外の人とも関わり、部屋でテレビを見る以外のこと(母の場合だと畑仕事)も積極的にして欲しいと思います。そのために、せっかく作った野菜を、自分で農協の直売所に持っていくことが続けられたならどんなにいいだろうと思っていました。それで、軽トラの運転が大変になってきたら、小ぶりの電気自動車(コムス)に変えてみたりもしました。でも、そのコムスも、もう運転できないわけです。

今は、運転免許が必要ないシニアカーを買おうと話はしています。今はまだ、シニアカーを買って、農協の直売所まで野菜を持っていくというようなところまで体調が回復していませんが、そう考えることで、気持ちが少しは前向きになって、体調も上向きになればと思っています。

人を傷つけてしまったり、自分自身を傷つけてしまってからでは遅いので、まだ大丈夫と思う間に、車の運転を諦めて、生活の仕方を見直して、今の自分に合った、これからの自分のことを考えた、新しいライフスタイルに移行していくってことが必要なのだと、十分に分かってはいるのですが・・・自分の衰えと向き合うのは、とても勇気のいることです。否定的にではなく、自分の衰えを受け止めるのは至難の業です。

今は、母のこととして考えていますが、遠くない未来に、自分の問題として直面しなければならない事でもあります。長生きすることが不幸せなことになってしまわないようにするには、どうすればいいのか・・・なかなか簡単には答えが見つからないのですが、母と一緒に、見つけていかなくてはなりません・・・。