ニュース雑記帳

日々のニュースからテーマを拾い雑考してます

命の生々しさって、正直、気持ち悪いものです

2009-08-01 13:13:26 | Weblog
堺市の市立小学校で、32歳の男性の先生が、五年生の理科の授業で、自分の奥さんの出産シーンを撮影したビデオを、子ども達に見せて、問題になっていますね。

ビデオは10分程度のもので、へその緒や局部の一部なども見えたらしく、子ども達の中には「気持ちが悪い」とか「怖い」と感じた子もいて、保護者から学校に苦情が入り、市教委も不適切だったと判断して先生を指導、校長とその先生が、授業を受けた子ども達の家庭を訪問し、謝罪したそうです。

先生のしたかったことは、保護者にも伝わっていると思いますよ。たぶん、ニュースを見聞きした我々にもね。実際、保護者の中には、良い授業をしてもらって感謝しているという人もいるみたいですしね。

ただ、問題は、子ども達の受け入れ態勢なんですよね。するりと受け入れる子どももいれば、怖くなってトラウマになってしまう子どももいる。小学五年生ってことは・・・受け手の子どもたちの感受性とか、性的な知識や興味の成熟度にも、ずいぶんと幅があることも予測されますしね。だから、ぽんとイキナリ見せてしまうのではなく、事前にリサーチして、下準備して、見せた後のフォロー対策まで考えてのことでしょうね、きっと。たぶん、この先生、無防備すぎたんでしょうね。

わたしは田舎で生まれ、田舎で育ち、今も田舎に暮らしているので、かなり命の気持ち悪さとか、残酷さには、慣れている方だと思うんです。それでも、正直、命って、かなり気持ち悪いなって思います。植物でも動物でも、生きているものの生々しさって、とっても気味の悪いビジュアルをしていますからね。だからこそ美しいとも言えるんですが・・・そういう感性は、頭では育たないですよね。大人でも都会で生まれ育った人、ましてや都会の子ども達ともなれば、命ってものと、どう向かい合えばいいか、分からなくて当たり前だと思います。

だからこそ、この授業が必要だと、当事者の先生はおっしゃるでしょうし、先生に賛成する人もそう思われると思うんですが・・・その為には、先にも言いましたが、リサーチと準備とサポート体制が必須ですよね。

前に、豚の解体の授業の是非を話したときにも言ったと思いますが、田舎の小学校であったにも関わらず、わたしの友人は、理科の授業で、孵化直前の鶏卵を見て以来、いまだに卵が苦手です。わたし自身も、第二子出産の前に、産院で出産シーンのビデオを見せられて気分が悪くなった経験があります。

孵化前の卵・・・日本人の食生活からすると、とてもグロテスクなものですが、アジアのどこかの国では、子どもたちがボイルした孵化直前の卵を、美味しそうに食べていたりしますよね。じゃあ、彼らに比べて、日本人がそんなに心優しくデリケートな民族なのかというと、他の国の人から見たら顰蹙をかいそうな生魚の踊り食いなんていう残酷極まりない食文化をもっていますよね。要するに、慣れというか、環境というか・・・どんなことでも、受け入れの態勢さえ作ってやれば、受け入れられるってことなんですよね。

出産シーンにしても、日本でだって、立会い出産や自宅出産でお母さんの出産に立ち会う子ども達いますし・・・そうかと思うと、経産婦でありながら、出産ビデオに気持ち悪くなるワタシのような奴もいる。ほんと、もって行き方というか・・・環境というか・・・やっぱり、体験する前の準備が大切なんだと思います。

というわけで・・・先生、ちょっと準備が足りなかったのかなと、それが、このニュースに対する感想です。先生の奥様は、きっと恥ずかしいと思う気持ちもおありだったでしょうけど、きっと子ども達の為になるならと、旦那さんの授業に協力されたんでしょうし・・・そういう気持ちは嬉しいと思うし、有り難いと思うし、評価もしたあげたいですが・・・その気持ちを活かすためには、いろいろとしなければならないことがあるんだなと、そういうことだと思いましたね、はい。

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