ニュース雑記帳

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加藤紘一元幹事長発言「拉致被害者、戻すべきだった」について

2008-07-13 14:11:47 | Weblog
もう、一週間ほど前のことになりますかね、自民党の加藤紘一元幹事長が、日本BS放送の番組で、北朝鮮が拉致した被害者のうち一時帰国というかたちで日本に帰ってきた五名に関して、同国に戻すべきだったと発言したのは。

理由は「国家と国家の約束だから」ということでしたね。さらに弁解として「拉致などという犯罪を犯した北朝鮮のような国に、約束を破る国だなどと、日本が批難されたくないから」とか、おっしゃったようですね。

加藤さんの仰ったことは、意見や方針としては、当然、あるだろうものだと思います。だから、間違っているとか、とんでもないとか・・・そういう感想は持ちません。ただ・・・わたしは、加藤さんと同じようには考えない。だから、もし、わたし自身が責任ある立場にあったとしたら、当時の政府と同じ選択をしたと、そう思います。

それに・・・もし「約束は守る。たとえ相手が約束を守らないと分かっている相手でも、約束をしたのなら、自分はそれを守る」という姿勢を貫くのなら、ガンジーさんの「非暴力・非服従運動」のように、相当な覚悟が必要だと思うのですが・・・加藤さんに、その覚悟があるようには感じられなかった、つまり、ただの綺麗ごとにしか聞こえなかったので、それも残念なことの一つですね。

六ヶ国協議だとか、サミットだとか、そういうのを見ていても思うんですが・・・基本的に、国家間の話し合いは、理性的になされなければならないと思うんですが、「ここだけは冷静になど話せません」という部分があっても良いと、わたしはそう思うんですよ。

国家間と言うと大袈裟になると思いますから、ここは分かりやすく、家同士の話し合いと考えてみていいですか。たとえば、境界線がどうだとか、騒音がどうだとか、共有部分の掃除にかんしてどうだとか、自治会などの活動についてどうだとか、そういう話をするときには、冷静かつ理論的に話し合うことが好ましいでしょ。でもね、それが、隣の家に、うちの娘が無理やり引きずり込まれて、そのまま返してもらえないで、監禁されているってことになったら・・・これは、冷静に話すことではないと思うんですよ、わたしは。むしろ、いつもはとても冷静な人だけど、こんなにも感情的になるのかと・・・相手も周りの人もビックリするくらい感情的になるべきだと、わたしは思うんです。そして、伝えるべきだと思うんです。「あなたのしたことは、決して冷静に対処できるようなことではないのだ」と。

世の中には、残念ながら、冷静に対処なんかできない出来事、感情的になってもいい(なるしかない)出来事というのがあって・・・国にとって、国民が他国に浚われたということは、その「感情的にならずにはいられない」出来事だと、わたしは思います。

だから、国際社会でも、それを強く言ってほしいと、思うんです。「よく思い出してみてください。第二次世界大戦よりあと、日本という国は、実に忍耐強く、礼儀正しく、他国との協調を大切にしてきました。みなさんは、それをよくご存知のはずです。でも、拉致の問題に関してだけは、そうはいきません。いつもは、どんな不利益を被ろうと、それが正しい意見なら、あるいは国際社会全体にとって必要なことなら、あえて我慢することにもヤブサカではなかった日本ですが、このことに関してだけは、感情的にならざるを得ません。だって、われわれは北朝鮮に家族を奪われ、今なお取り返せないでいるのですから。日本と言う国は、他のことには耐えることができても、これだけは譲れません」って、感情的に言ってほしいんです。

子どもを叱る時などもそうなんですが・・・一番分かってもらいたいことに関しては、感情的になることも必要なことなんです。たいていのことは、話して解決すべきですし、解決できるはずですが、肝心なところは「怒っているんだぞ」「すごく悲しいぞ」ということを、心から心に伝える必要があるんです。国家間だって同じだと、わたしは思います。ものすごく悲しい、ものすごく辛い、ものすごく怒っているんだってことを、心から心に伝えなきゃいけないと思うんです。

領土のことなんかじゃない、利権のことなんかじゃない、名誉のことなんかでもない・・・わたしたちの娘を、わたしたちの息子を、わたしたち家族のところに返せということなんですから。もちろん、この「わたしたち」は「日本国」のことですよ。国民を奪われて感情的にならない国家を、わたしたちは国民として支持できない、わたしはそう思うんですよ。