前回に続き今回も音響エンジニアでもない人間が“知ったか”レベルで記事をアップしています。もし、この方面の知識に明るい方で、記事の内容に間違った解釈や専門用語の誤用など気づかれたなら、その旨ご指摘ください。宜しくお願いします。
博士:前回デジタル・ハイレゾ音源に付いて触れたのじゃが、通常ネット経由でPCにダウン・ロードするか、もしくはSACD、DVDやBLUE RAYなどのディスクを購入する事で音源が入手できる。
これらの音源が永久に保存できるのか?というと、そうでもない。
ハード・ディスクに記録されている音源は、なんらかの物理的な原因でハード・ディスク自体が破損すると、記録されたデータが取り戻せない時があるからのう。また、SACD、DVDやBLUE RAYなどのメディアでは、記録面になんらかのダメージがあれば、読み込みが不可能となってしまうのじゃ。
助手:そう言えば、CDが売り出された当時、その音源は永久だって聞いた事がありますよね。
博士:現実はどうじゃ? 80年代に売り出されたCDの幾らかは、どうゆうわけか、湿気が記録面に入り込み、腐食して記録面が剥げて いるのもあるのう。
これはストーンズの、1986年に旧西ドイツでプレスされたCDじゃがディスクの外周側からポツポツと剥げてきとる。
ポリグラムによる。旧西ドイツでのプレス
外周の記録面が剥がれている。
幸い、CDの場合はレコードと反対で、内側から外に向けて記録されているので、現在の外周のダメージが記録面に到達しない限り、今の所再生は可能じゃ。
助手:1986年製造ですから、30年の間にこんな風になるのですね。
現在製造されているCDはどうなんですかね? 30年経てば同じように劣化していくんでしょうか?
博士:それはメーカーに聞いてみないとわからん事じゃ。80年代CDのプレスはヨーロッパであれば、レーベルに関わらず結構旧西ドイツのポリグラムで行われていた記憶があるのじゃが。現在ではあちこちにプレス工場が新設され、新しい技術を使った生産設備が導入されていると思うので、あまり心配する事もないのかもしれない。
助手:そう言えば、昔のCDのジャケットにはAAD、ADDとかDDDの表記がありましたね。80年代といえば、ほとんどがA(アナログ・レコーディング)、A(アナログ・マスター)でD(デジタル変換)でしたね。
博士:その通り。LPの音をCDで復刻する場合、LP用のアナログ・マスター・テープからD/Aコンバーターを用いて16ビットのデジタル音源に直接変換させるのじゃ。 昔のCDは音量(音圧)レベルが低く設定してあったので、今のCDと比べると音量が少なく頼りない印象を受けるし、また当時のD/Aコンバーターの性能が悪かったので、多分LPよりも音は悪かったのでは?と言っておる人もいるのじゃ。
今では、LP用のアナログ・マスター・テープをデジタル・レコーダーでハード・ディスクにトラック・ダウンする際、リミックスや手直しをしてデジタル・マスターを作成する。それを16ビットに変換しCDを作るので、以前と比べるとよりクリヤーな音になったのじゃ。
助手:と言うことは、80年代に出された海外プレスのAAD編集のCDは音質面や劣化の問題から考慮し、購入は避けたほうが良いかもしれませんね。
博士: 一概には言えないが、その方が無難じゃな。少なくともワシが所有している80年代旧西ドイツのプレスCDは、ストーンズに限らず同じようなダメージがあるからのう。もちろんワシが買ったのだけがそうなのかもしれないが?
80年代のCDは、LPのレコードを忠実に復刻するということで、CDの記録エリアが余っておっても、LPが2枚組なら、CDも2枚組と今の紙ジャケ復刻のように凝っておったし、またCDの価格も結構高かったので、記録面にダメージを発見すると非常に残念な気持になるのう。ELTON JOHN の80年台プレスの2枚組GOODBYE YELLOW BRICK ROADがそうじゃった。(現在のスタンダードのCDは1枚にLP2枚分が収められている。)
現在生産されているCDなどのメディアの品質が改善され半永久的な寿命があることを祈るのみじゃ。もし、今集めているCD全てが同じように劣化することになれば、目も当てられんわい。まあ幸い、80年代のCDが30年以上経って現在散見される程度の劣化のスピードであれば、ワシが生きている間は大丈夫かもしれんがのう。
助手:それよりもあと10年も経てば、16ビットを再生する時代遅れのCDプレイヤーなんてなくなるかも知れませんよ。
博士:いや、 色々と利害関係があるから、そう簡単に全てが全く新しい技術に一気に変わる事はないじゃろう。我々が考えているよりも、案外科学の進歩は遅いと思うよ。
スタンリー・キューブリックの“2001年宇宙の旅”を見てみたまえ。1968年に公開されたこのSF映画では、21世紀初頭において月面に基地がすでに存在し、コンピュータHALを搭載した有人宇宙船が木星付近まで行っておる。
現実を見てみたまえ。2015年の段階で、月面基地はおろか、映画に出てきた大型宇宙ステーションもない。10名足らずの乗組員の小さな国際宇宙ステーションが地球の周りをぐるぐる回っているだけじゃからのう。
ハイレゾ音源がネットで配信されているにもかかわらず、CDよりさらに古い規格のレコードのプレスが最近増えている。ハイレゾ音源であれば、音の劣化はなくハード・ディスクさえあれば、収納スペースの問題もない。再生するのに手間がかかり不便で、且つ再生するごとに盤面が劣化するレコードが今になって好まれるとは。
人間とは時に非合理的な行動をする事をあえて好む不思議な生き物じゃ。
1988年アメリカプレスのCD。内側から記録面が劣化している。5-6年目にポリーカーボネートに劣化したところを赤のサインペンでなぞってみた。
これからすると劣化した箇所少しづつであるが広がっているみたいである。この場所にはデーターが記録されていないので、CDの読み取り可能。
博士:前回デジタル・ハイレゾ音源に付いて触れたのじゃが、通常ネット経由でPCにダウン・ロードするか、もしくはSACD、DVDやBLUE RAYなどのディスクを購入する事で音源が入手できる。
これらの音源が永久に保存できるのか?というと、そうでもない。
ハード・ディスクに記録されている音源は、なんらかの物理的な原因でハード・ディスク自体が破損すると、記録されたデータが取り戻せない時があるからのう。また、SACD、DVDやBLUE RAYなどのメディアでは、記録面になんらかのダメージがあれば、読み込みが不可能となってしまうのじゃ。
助手:そう言えば、CDが売り出された当時、その音源は永久だって聞いた事がありますよね。
博士:現実はどうじゃ? 80年代に売り出されたCDの幾らかは、どうゆうわけか、湿気が記録面に入り込み、腐食して記録面が剥げて いるのもあるのう。
これはストーンズの、1986年に旧西ドイツでプレスされたCDじゃがディスクの外周側からポツポツと剥げてきとる。
ポリグラムによる。旧西ドイツでのプレス
外周の記録面が剥がれている。
幸い、CDの場合はレコードと反対で、内側から外に向けて記録されているので、現在の外周のダメージが記録面に到達しない限り、今の所再生は可能じゃ。
助手:1986年製造ですから、30年の間にこんな風になるのですね。
現在製造されているCDはどうなんですかね? 30年経てば同じように劣化していくんでしょうか?
博士:それはメーカーに聞いてみないとわからん事じゃ。80年代CDのプレスはヨーロッパであれば、レーベルに関わらず結構旧西ドイツのポリグラムで行われていた記憶があるのじゃが。現在ではあちこちにプレス工場が新設され、新しい技術を使った生産設備が導入されていると思うので、あまり心配する事もないのかもしれない。
助手:そう言えば、昔のCDのジャケットにはAAD、ADDとかDDDの表記がありましたね。80年代といえば、ほとんどがA(アナログ・レコーディング)、A(アナログ・マスター)でD(デジタル変換)でしたね。
博士:その通り。LPの音をCDで復刻する場合、LP用のアナログ・マスター・テープからD/Aコンバーターを用いて16ビットのデジタル音源に直接変換させるのじゃ。 昔のCDは音量(音圧)レベルが低く設定してあったので、今のCDと比べると音量が少なく頼りない印象を受けるし、また当時のD/Aコンバーターの性能が悪かったので、多分LPよりも音は悪かったのでは?と言っておる人もいるのじゃ。
今では、LP用のアナログ・マスター・テープをデジタル・レコーダーでハード・ディスクにトラック・ダウンする際、リミックスや手直しをしてデジタル・マスターを作成する。それを16ビットに変換しCDを作るので、以前と比べるとよりクリヤーな音になったのじゃ。
助手:と言うことは、80年代に出された海外プレスのAAD編集のCDは音質面や劣化の問題から考慮し、購入は避けたほうが良いかもしれませんね。
博士: 一概には言えないが、その方が無難じゃな。少なくともワシが所有している80年代旧西ドイツのプレスCDは、ストーンズに限らず同じようなダメージがあるからのう。もちろんワシが買ったのだけがそうなのかもしれないが?
80年代のCDは、LPのレコードを忠実に復刻するということで、CDの記録エリアが余っておっても、LPが2枚組なら、CDも2枚組と今の紙ジャケ復刻のように凝っておったし、またCDの価格も結構高かったので、記録面にダメージを発見すると非常に残念な気持になるのう。ELTON JOHN の80年台プレスの2枚組GOODBYE YELLOW BRICK ROADがそうじゃった。(現在のスタンダードのCDは1枚にLP2枚分が収められている。)
現在生産されているCDなどのメディアの品質が改善され半永久的な寿命があることを祈るのみじゃ。もし、今集めているCD全てが同じように劣化することになれば、目も当てられんわい。まあ幸い、80年代のCDが30年以上経って現在散見される程度の劣化のスピードであれば、ワシが生きている間は大丈夫かもしれんがのう。
助手:それよりもあと10年も経てば、16ビットを再生する時代遅れのCDプレイヤーなんてなくなるかも知れませんよ。
博士:いや、 色々と利害関係があるから、そう簡単に全てが全く新しい技術に一気に変わる事はないじゃろう。我々が考えているよりも、案外科学の進歩は遅いと思うよ。
スタンリー・キューブリックの“2001年宇宙の旅”を見てみたまえ。1968年に公開されたこのSF映画では、21世紀初頭において月面に基地がすでに存在し、コンピュータHALを搭載した有人宇宙船が木星付近まで行っておる。
現実を見てみたまえ。2015年の段階で、月面基地はおろか、映画に出てきた大型宇宙ステーションもない。10名足らずの乗組員の小さな国際宇宙ステーションが地球の周りをぐるぐる回っているだけじゃからのう。
ハイレゾ音源がネットで配信されているにもかかわらず、CDよりさらに古い規格のレコードのプレスが最近増えている。ハイレゾ音源であれば、音の劣化はなくハード・ディスクさえあれば、収納スペースの問題もない。再生するのに手間がかかり不便で、且つ再生するごとに盤面が劣化するレコードが今になって好まれるとは。
人間とは時に非合理的な行動をする事をあえて好む不思議な生き物じゃ。
1988年アメリカプレスのCD。内側から記録面が劣化している。5-6年目にポリーカーボネートに劣化したところを赤のサインペンでなぞってみた。
これからすると劣化した箇所少しづつであるが広がっているみたいである。この場所にはデーターが記録されていないので、CDの読み取り可能。
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