CLASSIC ROCKを聴こう! PLUS

1960年から1980年代のロックを紹介していきます。またPLUSと言うことで、ロック以外の話題も!

"いつまでもビーカテではないよ"と言いたい今日この頃、BADFINGER

2015年06月22日 | BEATLES-BADFINGER関連
モノクロの写真で判りづらいのであるが、若いセクシーな女性が鎖帷子みたいな素材のビキニを着てこちらを指差している。BADFINGERのアップルレーベル1970年発売の2作目、NO DICEである。

当時このアルバムの存在は知らなかったのだが、たとえロック通でそのことをよく知っていても、もし中高生の身分だったならなかなか買い辛いものがある。これとよく似たことは 、 ROXY MUSICのCOUNTRY LIFEを筆頭とした一連のアルバムやプログレのFLASH、そしてファンクの OHIO PLAYERなどを購入する際に起こる。

もしレジに若い美しいお姉さんがいたら、とてもじゃないが買うことが出来ない。おじさんがレジに座るまで待つことにしようか?


オォット、これもかなり危険な物だ。やっぱりおじさんを待とう。

さて、彼女はなにを言おうとしているのか?

まさか、“都営板橋本町駅はそっちの方向よ。”とは言っていないだろう。

NO DICEだから、ボードゲームなどの遊びで、ふられたさいころがボードからはみ出し、出た目をカウントしないという意味から派生した意味の“絶対ダメ”とでも言っているのであろうか?

よく、BADFINGERがビートルズの弟分だとか、楽曲からビートルズの香りがするなどと言われるが、これは彼らがアップルレーベルに所属していたので、当然アルバムのプロダクションは、ビートルズ関連の人が中心になり音を作りこむのでそのようになったのだと。いつまでもビートルズカテで扱われているのが非常に残念である。

もちろん、アップルレーベルで2作目のオリジナルアルバムが制作できたのは、1作目のMAGIC CHRISTIAN MUSICの制作で後押しをしてくれた ポール・マッカートニーらの協力あってのことで、BADFINGERはそれらに対して非常に恩義を感じ、レーベルの指示によって動かざるを得ず、結果いたずらに時間を無駄に使ってしまったため成功するタイミングを掴み損ねたと思う。

新人バンドの場合、2曲ほど先行シングルをヒットさせ、その後アルバムを投入し、コンサートツアーに出ます。その後大体6-8ヶ月ぐらいで、シングルとアルバムと出していくというようなルーティーンを取り固定ファンをつかむ。一旦メジャー・バンドのステータスを獲得すれば、アルバムの発売の間隔がたとえ 1-2年あったとしても、内容が期待通りであればファンは待ってくれるようになるのだが。

残念ながらBADFINGERにはマーケティングを強力にサポートするスタッフがいなかったので、タイムリーにシングルやアルバムを制作が出来なかったことで、特に最大のマーケットアメリカで効果的な売り込みが出来無かったと言える。それは アメリカに進出する際のマネージャーの選定で 最悪のマネージメント契約をしたことから始まった。結果アメリカでのプロモーションが大失敗となり、良いアルバムを制作しても全く売れない状況となり、後日主力メンバーだったピート・ハムやトム・エバンスが失意のうちに自殺するという最悪の事態を招いた。

このアルバムは、1970年4月から6月の間 、ビートルズのツアー・マネージャー だったマル・エバンスがプロデュースを担当したのだが、出来の悪さにレーベルが発売を拒否し、ようやく後日ビートルズのレコーディング・エンジニア だったジェフ・エメリックらプロによるレコーディングセッションが再開され 半年遅れの年末にアルバムをようやく出すことに漕ぎ付ける。

そして、最初の レコーディングの時期にレーベルの指示によりリンゴのシングルやジョージのアルバムの制作セッションに参加することになる。もちろんそれらのセッション参加が全く無駄とは言えないが、少なくとも彼ら自身のアルバム製作中にそれをやられると集中力は途切れるのではないか。

まあ、ビートルズあってのアップル・レーベルだったので、彼らが解散すれば方向性が全く定まらず、BADFINGERが期待するようなサポートは到底受けられなかったのが現実。

では、もしBADFINGERがMAGIC CHRISTIAN MUSICのヒットの後、アップルレーベルを離脱したとしたら果たして成功出来きたかと言うと、その確率は高かったと考える。

なぜなら、ピート・ハムの類稀ないソング・ライティングの才能があったからです。 ポールが書くようなメロディーも若干見られるが、オリジナリティーに溢れる素晴らしいメロディー・ラインは後年十分に有名バンドの仲間入りをしたし、WITHOUT YOUのような名曲のカバーから発生する印税でさらなる大金を手にしていたことと個人的に思える 。

WITHOUT YOUといえばピートとトムの共作となっている、詳しく言うと、ピートのIF IT’S LOVEとトムのI CAN’T LIVEの2曲を合体させたものだと言われていて、曲の前半のメロディーがピートで、サビのI CAN’T LIVEの所がトムだと推測できる。当然前半のフレーズが後半のサビで曲を盛り上げるのに大きく貢献しており、これを作ったピートの実力が証明されたのでは 。カバーが大ヒットしたので、本人たちは意地があったのかどうかしれないがこの曲をほとんどライブで演奏しない、言い換えればカバーが当たるのは名曲である証拠でもある。

これ以外にNO DICEにはピート個人で書いた、今聴くとアレンジは若干古く感じるかもしれないが、 MIDNIGHT CALLER、 NO MATTER WHATや WE’RE FOR THE DARKなど素晴らしい曲がある。

ここまで書いてやっとわかった。

彼女は“アップルには気~つけなはれや~、アップルは絶対ダメよ~”予言していたのであった。

情けない! 1-2周遅れのギャグを未だに使うなんて。頭古う~


マニアにとっての信頼の2005年の紙ジャケ・リイシュー。2010年のリマスターでは、ジャケットのレイアウトの関係で、女性の胴体がブッタ切られていて残念なことに。

Badfinger - No Matter What - Promotional Film (Music Video) - HQ


Without you - Badfinger


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