レコード会社と契約すると契約期間内に何枚のアルバムを制作するか通常明記される訳だが、契約が延長されずに最終のアルバムを出すとなると中々複雑な思考が働く。
アーティスト側は次回に移籍する予定のレーベルでのデビュー・アルバムにより力を入れる事になり最終アルバムが中途半端な作品になり得る可能性が高くなり、またレコード会社も他のレーベルに移籍するアーティストのプロモーションに力を入れるような追い銭を出すこともない。
よって最終アルバムはベスト的なライブ盤、もしくは過去の代表曲と数曲の新録を合わせたグレーテスト・ヒット盤の制作に落ち着くのでは....
ウエスト・コースト・ロックの代表的なバンド、アメリカもその例に漏れず、1977年作のHarbourを出す頃にはその人気に翳りが出始め、結局最終作はライブ盤を制作することに。
ライブ盤の録音が企画されたもののメンバーの一人、ダン・ピークがその2ヶ月前にバンドから脱退し、ジュリー・ベックレイとデューイ・バネルの2人組のアメリカとなってしまった。
プロデューサーにジョージ・マーチンを起用し1977年7月にロス・エンジェルスのグリーク・シアターで行われたライブが同年10月にAmerica, Liveとして発売された。ジョージはコンサートで登場するストリングスのスコアも手がけ、音に厚みを出している。
残念ながら、このアルバムは全米チャート127位とほとんど話題にならなかった。
レコード会社のプロモーション不足が大いに影響を与え、また脱退したダン・ピークの手がけた曲が収録されなかったのもその一因の一つですかね。
とは言え、一聴すると個人的には二人になってもアメリカらしい誠実さの表れた演奏だったと感じる。