1972年5月のデビュー・アルバム、“断絶”からわずか6ヶ月の同年12月にセカンドアルバム、“陽水II センチメンタル”が出た。
(ゲート・フォールド・ジャケの内側)
(レコード・スリーブに書かれた陽水さんの近況報告)
デビュー・アルバムに比べるとなんとなく続編ぽい感じでややインパクトに欠けるきらいはあるが、フォークというよりはロックというべきサウンドにのせて独特な感性の歌詞が展開されその出来は上々、私の心を打つ。
陽水だから出来る誰も真似のできない作品に仕上がった。
当時井上陽水の存在は認識していなく、初めて知ったのは翌年発売されたライブ盤、“もどり道”とシングルカットされた“夢の中へ”だった。
今改めて聴けばそうは思わないが、当時の日本のフォークは歌謡曲の延長のように感じ特にレコードを買って聴くほどのこともない喰わず嫌いだった。
しかしこのお方の登場で認識は一転。
このアルバムでは、やっぱり定番ではあるが、“東へ西へ”が歌詞もメロディーも秀逸に感じる。
お情け無用のお祭り電車に呼吸とめられ〜♪
身動きできずに夢見る旅路へ〜♪
だからガンバレ みんなガンバレ 夢の電車は東へ西へ〜♪
ほんと臨場感に溢れている。
かって平社員の身分でまだ勤先が都心にあった頃、同じように足の踏み場もない満員電車に毎日揺られていた頃が懐かしい。
その後海外に転勤することになって、年に1−2回の出張での帰国の際かって通った職場に顔を出す時、それまでは無理矢理でも乗る事が出来たのに、なんとなく空いている車両がやってくることを期待して2本3本と電車を見送っていた。
数本遅らしたところで、どれも同じ混み具合だったんだけどね。
時は流れて、最近は少子化の影響なのか、毎朝乗客を車内に押し込む学生アルバイトの姿も全く見なくなったし、ラッシュ・アワーのピーク時に乗っても身動き出来なくなるほどの混雑は少しばかり緩和されたみたい。
なんとなくノスタルジーに浸る気分にさせてくれるこの曲を聴くと、あぁ〜あの頃は良かったな〜ってセンチメンタルな気分になってしまうのだ。