奥只見シルバーラインの長いトンネルを抜けると、すぐ目の前にダムが見えました。
長い間、暗闇の中にいたので、すっかりモグラ状態。
日光にびっくりする目をパチパチさせてから、ダムと発電所に気づいて驚きます。
大きいです。
だだっ広い駐車場がありましたが、停まっている車は10台ほどでした。
スキーの季節にはにぎわうのでしょう。
その前に、お土産屋さんがありました。
それだけです。あとは湖を囲む山々だけ。冬にはスキー場もありますが、人家らしいものはありません。
木の看板には「秘境 奥只見」と書かれており、(自分で秘境って言っちゃってる!)と思いましたが、周りをぐるりと見回しても、やっぱり秘境でしかありませんでした。
看板に偽りなし。
ダムのこちらがわには、水は見えません。向こう側に行けば湖になっているのでしょう。
スロープカーに乗っていくことにしました。
乗車料金100円。ワクワクします。
速度はとてもスロー。距離もそれほどないので、歩いて行った方がずっと早く着けそうですが、やっぱり乗ってみないとね。
線路の周りには、もう6月近いというのに、まだ雪が解けないまま、積もっていました。
ダムに到着し、そのまま湖の遊覧船に乗りました。
1時間ごと、40分の遊覧です。
乗客で席があらかた埋まっており、(こんなに観光客がいるんだ)とちょっと驚きました。
冬季中は休業し、5/20に運行開始になったばかりだからかもしれません。
私達は、後ろの甲板に立っていきました。
奥只見湖(銀山湖)は、奥只見ダムによって造られた人造湖で、日本第三位の広さ。
山々の新緑がとても目に鮮やか。奥に見える山並みにはまだ残雪も見え、日本アルプスのようです。
湖を渡ってくる風が、心地よく頬を撫でて行きました。
紅葉の季節はとても美しい、と、いろいろな人が行っていたことを思い出します。
新緑の季節も、すばらしい自然のパノラマが広がっていました。
人造湖のためか、山がそのまま湖に沈んだような地形がとても不思議。
どの山にも、人家は見られません。完全なる自然の中です。大自然に圧倒されます。
「北欧のような新緑」と言われているとのことで、確かに、雄大な自然を目の当たりにして、ノルウェイのフィヨルドや、桂林の川下りを思い出しました。
湖を大満喫。
停泊所に船が着くと、添乗員さんが「こちらです」と声をかけていたので、観光ツアー客が来ていたことを知りました。
それから奥只見ダムの上を歩きます。
ダム堤を指差して「あそこを歩きたい」とアビィが大興奮。橋好きの私も大興奮。
アビニョンのサン・ベネゼ橋のようです。
ここは長さが157mあり、重力式コンクリートダムでは日本一の高さ。
水がない下流側を見降ろすと、ダム直下放水路の高さに吸いこまれそうで、足がすくみました。
手を伸ばしてみると、風の強さがはっきり変わっていて、自然の力を感じました。
豊かな水流が見られます。山の根雪が解けているものでしょう。
水不足なんてならないくらい、潤っていました。
それからお土産屋に寄りました。
「名物 またぎせんべい」という文字がとっても気になります。
(毛皮の服を着た狩人が、おせんべいを焼いているのかしら?)とワクワクしましたが、そんな屋台もマタギの姿もなく、おせんべいは袋に入って売られていました。
ここの人気商品だそうです。(アビィ撮影)
湖とダムを満喫し、奥只見を離れることになりました。
「近くにある田小倉ダムにも行きたいー、でもここからのルートがないから無理ー」と残念そうなマロン。
帰りもまた、同じシルバーラインを通らなくてはなりません。ここしか道がないのですから。
酷道好きのマロンが、「途中の交差点から曲がって、枝折峠を越えるルートを通りたい」と言ったので、私達は「いいよー」と軽く言って、そちらを行くことにしました。
でも、地図で見ると、ものすごくカクカクの道のよう。「さすが枝折という名前だけあるね…」と言いながら、あっさりOKを出して良かったのかと、アビィと少し後悔しました(笑)。
(アビィ撮影)
先ほどの交差点で左折します。トンネル内で曲がるなんて、なんだかもう、地下駐車場内で出口を探しているような気になります。
前を走る車につられて、うっかり別荘地に入ってしまったりしながら、入口に辿り着いたら、なんと通行止めになっていました。
「ここは、今もまだ冬季なんですね」と残念そうなマロン。
もう東京は、梅雨明けもしたのにね。
冬は豪雪地帯なのに、道路が閉鎖されるため、スキー場は春と秋しか営業しないというのは、すごい話でなかなか実感できません。もったいないけど、しかたないのね・・・。
道路横にはやっぱりまだ雪が解けずに残っていました。
そんなわけで、枝折峠越えはあきらめ、またシルバーラインに戻って、元来た道を戻ります。
やっぱり延々、果てしのない地底を走っている感覚。黄泉の国とはこういうところでしょうか。
とてもスリリングで、ほんとうにずっと息を詰め、身体をこわばらせて緊張していたため、無事に外に抜けた時には、みんなでほっとしました。