当地では相変わらず、暑い日が続いています
しかし暑いとは言っても、盛夏の頃に比べれば、幾分は凌ぎやすくなっている事が判ります
なぜかと言えば、真夏だと朝夕2回盆栽に水をあげないと、カラカラに乾いてしまっていたのが、最近鉢に拠っては朝の水遣りだけで十分なものもあるので、こんな所でも季節の移り変わりを感じるからなのです
今日は、その盆栽で、最近困っている事を、少しお話しようと思います
手前中央に映っているのが、ヤシャゼンマイと言うシダの仲間です
山菜で有名なゼンマイが渓流の流れにも耐えれるように進化した種(しゅ)で、葉の小羽片が水の抵抗を受けにくい細い楕円形になっています
少し露出が悪い写真ですが、薄い鉢に土を盛り上げるようにして植えてあります
盛った土がこぼれ落ちないように、表面には苔を貼っています
朝水を遣りに行くと、表面の苔が何者かに剥されて、土がポロポロと棚にこぼれている事がしょっちゅうあるのです
以前外に出してある盆栽をカラスが悪戯して、土の表面をほじっていたのを目撃した事がありますが、ヤシャゼンマイは温室の中に置いてあるから、カラスは侵入できません
こぼされた土を鉢に戻し、緩んだ土の表面をコテで押して締め直し、剥された苔をもう一度貼り直しますが、1日2日経つと、又何者かが、前と同じ様に苔を剥いで土を掘って、棚に落としているのです
そんなイタチゴッコが暫らく続き、全くアタマに来てしまいました
何としても犯人を突き止めてやる!と、夜温室に来る事まで考えましたが、ある朝、土を締め直していると、裏側の土から大きな
ミミズが、ヌッと顔を出したのです
一瞬の事で、犯人を取り押さえる事は出来ませんでした
しかし、犯人は判明したのだから、後は犯人を誘き出して、取り押さえるだけです
土の表面を押さえていた時に顔を出したのだからと、それから長い間土を押していましたが、その時は再び顔を出すことはありませんでした
犯人を誘き出す、何か方法は無いものか???
その時、ふと大雨が降った翌日などに、沢山のミミズが歩道の上でのた打ち回っている光景を思い出しました
大雨で土中が水浸しになり、潜んでいたミミズが難を逃れんと、土中から這い出して来たに相違ありません
よし!水攻めだ!!
幸い植わっているヤシャゼンマイは、水に浸っても平気なように進化したゼンマイなのだから、少々水に浸かることなど大丈夫です
鉢ごと温室の外にある水甕の中に、沈めてやりました
しかし、敵もさるもので、30分以上沈めていたにも係らず、音を上げる事も無く土中から顔を出しません・・・
そのまま沈めておく事も考えましたが、甕には直射日光が当たり日中は水がお湯になってしまうから、植物の方が音を上げる恐れがあります
その朝の水攻めは、一旦諦めました
翌朝少し早く出社して、再び水攻めを致しました
この日は1時間以上継続しましたが、結局犯人は鉢の中に潜んだままです
全くしぶとい犯人です
3日目に崩れた土を直していたら、とうとう犯人が顔を出しました
直ぐに引っ込みましたが、顔を出した穴にピンセットを突き刺して、とうとう犯人を確保致しました
引っ張り出した犯人は3cm位のミミズでしたが、最初に姿を見た犯人は、もっと大きなミミズでした
未だそいつが、中に潜んでいるに違いない!
もう一箇所穴らしきものがあったから、其処にもピンセットを突っ込んで探ったら、今度は5cm位の奴を確保出来たのです
温室の外のコンクリートに、引き抜いた犯人を放り出したのですが、半日経って写真を撮りに言った時には、もう干物になっておりました・・・
こちらの事件は、このように犯人逮捕で終りましたが、未だ未解決の事案が一件あるのです
これは、姫イワタバコです
大きな葉がタバコの葉に似ているので、岩タバコと呼ばれていますが、夏に上のような花をつけます
夏の暑さに弱く、また夏の強い日差しが当ると葉が溶けてしまうから、日が当らぬように棚下で育てています
しかし、棚下と言えども高温の為に、土の表面に貼った苔が枯れてしまいました
ある日イワタバコの根元を見ると、大量のダンゴムシがひしめき合っておりました
それまでも、温室の中でダンゴムシの姿は見かけておりましたが、びっくりする位の数ですし、5mm程度の小さな奴もいるので、其処で繁殖したに違いありません
ダンゴムシの事を調べてみると、腐食した植物だけじゃなく、芽や花にも食害を及ぼす害虫と書いてありました
そう言えば、イワタバコ以外にも棚下に置いてある盆栽の元気が無いのが気になっておりましたが、それは暑さのせいだとばかり思っておりました
しかし、棚下の全ての鉢には、イワタバコと同じ様に、大量のダンゴムシが繁殖していたので、こいつらが芽や根を喰っているから、棚下の盆栽が弱っているに違いない!と、今まで見逃していた奴らを駆除する事に致しました
早速ダンゴムシ駆除の薬を数種類求めました
薬は、ダンゴムシを寄せ付けない忌避剤、誘引して食べさせて駆除するもの、直接ダンゴムシに散布して駆除するものなどがありました
ダンゴムシに直接散布するタイプが一番効果がありそうですが、発生している盆栽は山野草ばかりなので、ひ弱な山野草は薬害で植物が枯れてしまう心配があり、使えません
ダンゴムシは湿気と、腐食した植物が好きなので、日を当てる事が出来ないイワタバコなど以外の盆栽は、日除けを強くして湿気が少ない棚上に移動させ、枯れて腐った苔を全部取り除きました
棚上に移動した盆栽からは、ダンゴムシの姿は無くなりましたが、棚下に置いたままの盆栽は苔を取り除いても、中々駆除出来ません
暇がある度に温室に行って、ピンセットでダンゴムシを一匹ずつ捕まえて、潰して殺します
鉢にいる奴を大方やっつけても、暫らく放置していると、その内又大量にたかって元の木阿弥です
人力での駆除では、奴らの繁殖力に追い付かないのが現状です
夏が過ぎ去り、日に弱い盆栽を棚上に戻せる日まで、当分ダンゴムシとの死闘は続きそうです