泣いても、笑っても、これが年内最終戦だ!
なんとしても、一本釣らなければ、男がすたる!
悲壮な覚悟で、金曜夜伊豆へと向かった
22時少し前に、西伊豆は松崎に着いた
折からの寒波の影響で、松崎は車のドアが開かない程の、身を切るような冷たい爆風が吹き荒れている
翌朝になっても、風は衰える事も無い
波高4m、10mを超える爆風は、サラシ出現が必須の磯ヒラと言えども、厳し過ぎる天候だ
風に煽られない様に身を屈め、波の飛沫で全身ずぶ濡れになりながら、風に逆らってSB/Sky-passを打ち込むのは、釣りをすると言うよりも、過酷な修行をしているような物である
フルスーツを着込んでいても、気温4度と言う寒さの中では、波で濡れ鼠になった体に吹き付ける爆風に、体温が奪われて行く
アタリすら無いまま、身も心も冷え切って、8時前にはギブアップ
敢無く初日朝の攻撃は終わった・・・
群発地震はその後も発生しているようだが、松崎では殆ど揺れも感じない
この寒波は月曜日まで続くと言うから、今夕も翌朝も爆風が衰える事は無いと予報は言っている
ただ波高だけは、今日が4mから3mへ、明日は3mへと、幾分治まる予報が出ているのがせめてもの救いか
3時半過ぎ、夕方の攻撃に出発した
一箇所目、相変わらずの爆風に逆らってSB/Sky-passを打ち込む
伊豆の磯でヒラを狙う時、僕は泳ぎの良いSB/Ironを多用する
しかし、今日の様な爆風の場合には、重量があり風を切り裂いて飛ぶSB/Sky-passが重宝する
G-CRAFT MS-1302-MRFの強い反発力を活かし、低い弾道でSB/Sky-passを打ち込めば、爆風下でもある程度飛距離が稼げるのだ
数投目、抜き上げ間際のSB/Sky-pass黒金に、黒い魚体がチェイスする
フッキングには至らなかったが、ヒラは此処に居る!
その後30分近く、カラーを替えコースを替えアクションを替えて誘いを掛けるが、応答は得られなかった
二箇所目へラン&ガン
打ち付ける波が、正面からの逆風で直接飛沫を浴びせかけて来る
眼鏡が飛沫に濡れ、視界を奪う
冬の夕暮れは早いので、辺りは既に暗い
釣り坐が狭いので、ボーグ氏と並んでボーグを打ち込む
打ち込んでリールを数回巻いたとき
ガツンッ!
ヒット~!!
アワセを入れて、リールを巻く
6ヶ月ぶりの小気味良い引きを味合う余裕も無く、気付けば足元まで寄っていた
ロッドに伝わる抵抗力から判断すれば、大物では無さそうだ
ボーグ氏のネットアシストを待つべきか、波を見て抜き上げるべきか、方針が定まらず一瞬躊躇した時、テンションが抜けた・・・
久々のヒットで、アワセが甘かったのか?!
迷わず抜き上げれていれば、獲れていたかもしれない?!
幾ら後悔しても、取り逃がした今となっては、もうどうにもならない
厳しい条件の中、虎の子の一本を、痛恨のバラシ・・・
今のがラストチャンスだった訳では無い!
次のヒットこそ、確実に獲れば良いのだ!
意気消沈しかかる心を、何とかもう一度奮い立たせる
一投目・・・
何も起こらない
バラせば、たいてい暫らくはヒットしないもんな
続けてヒットするほど、世の中甘くは無いぞ、たぶん
二投目・・・
先程のヒットゾーンは過ぎた
何も起こらないよなぁ、今回も
ボーグは、もう直ぐ足元だ
ガツンッ!
ヒット~!!
今回こそキッチリ、アワセが決まった
潜って抵抗しようとするのを一度ロッドで凌ぎ、今度は躊躇無く抜き上げる
タイミング良く差し出されたボーグ氏のネットに、空中で魚体が納まった!
上がったのは50cmに満たないセイゴクラス
しかし、この際ランディングにこそ意味がある
小さくても、一本は、一本!
女は、女である!
開高健の名台詞を、心の中で呟く
サイズは兎も角、これでやっと自分に課したノルマを果した
出撃する度に、喉に刺さった魚の小骨の様に、チクリと心を刺す棘を、やっと抜く事が出来た心境である
しかし、物持ち写真を映す程の獲物ではないと、ヒラ師の矜持を持って写真は遠慮した(笑)
翌朝も風が吹き荒れている
夜が明けぬ暗いゴロタ石のサーフに打ち込んだボーグに、ガツンッと衝撃が伝わる
ヒット~!!
間髪入れず、思い切りアワセを入れる
ロッドが絞り込まれ、ジィーッと悲鳴を上げながらラインが引っ張り出される
大物だ!
ドラグを締め、竿尻を下腹にあてがいロッドを立てて耐えながら、後へ下がる
ポンピングしながら、リールを巻くが中々巻き取れない
ヘッドランプを点滅させて、ボーグ氏にヒット!の合図を送った
やがてボーグ氏が、アシストに駆けつけてくれた
巻いても巻いても、距離が縮まらないのだ
根掛かりしてませんか?とのボーグ氏の声で、ラインをサミングして少しテンションを緩める
相手は全く動かない・・・
暫らく根競べしていても、一向に動く気配は無い
更にテンションを抜く
その時スーッとテンションが無くなってしまった・・・
ラインを巻き取り回収したボーグは、フックシステムも外れて無いし、フックが伸びていることも無く、全く異常ナシ!
初めから、沖の隠れ根に根掛かりしたのであろうか?
否!最初は確かに生物反応が、ロッドに伝わって来たのだ!
寄せる途中で、大物が隠れ根に張り付き、その時運良く(ヒラに取っては)フッキングが外れ、ポンピングでフックが岩に掛かったとは考えなれないだろうか???
大物だぁ!!と大騒ぎしたのに、誠にあっけない幕切れだった
ラッキーは、二日も続いては起こらない
その後、ボーグ氏が昨夜の僕クラスを一本獲った以外には、何も起こらなかった
これで、今年の全釣行は終了した
伊良湖に於けるマルのビッグママ捕獲は、来年晩秋を待たねばならない
しかし、伊豆に於けるヒラのビッグママ捕獲は、年が替わったら又直ぐに再開する心算である
25日からの年末警戒が始まるまで、暫し休息し体調を整える
♠TACKLE
ROD:G-Craft SEVEN-SENSE MOSS Monster HIRA plugging special
REEL:Daiwa CERTATE HYPER CUSTOM 4000H-PE
LINE:Daiwa SALTIGA SENSOR 35lbs
LEADER:MORRIS VARIVAS Shock Leader 35lbs
KNOTS:Bimini Twist+Albright Knot
LURE:Opcell Falcon128SB/Sky-pass kuro-kin
←なんとか、面目を保った・・・