アムステルダム(ダウ・ジョーンズ)オランダの金融最大手INGグループ(NYSE:ING)(INGA.AE)が9日発表した1-3
月期(第1四半期)の純利益は前年同期比51%減少した。欧州経済の弱体化が引き続き業績の重しになるとしてい
る。
1-3月期の純利益は6億8000万ユーロ(前年同期は13億8000万ユーロ)。貸倒引当金の拡大や、保険事業の資本基
盤を保護する目的のデリバティブ(金融派生商品)取引での損失が響いた。米国の商業銀行子会社が手掛けた取
引に関する3億7000万ユーロの法的費用や、信用スプレッドの縮小に伴って債務残高の一部で評価換えを行い、3
億0400万ユーロの損失につながったことも減益要因となった。
ヤン・ホメン最高経営責任者(CEO)は声明で、ユーロ圏の債務危機が業績を圧迫し続けるとの見方を示した。
貸倒引当金は昨年10-12月期に比べると減少したものの、欧州経済が弱まる中では高止まりするとみている。
INGは2008年の金融危機に際して2度の公的支援を受け、オランダ政府から100億ユーロを受け取ったが、現在で
は欧州で最も力のある銀行と受け止められている。欧州中央銀行(ECB)が低金利で実施する3年物資金供給オペ
を利用していない数少ない銀行の1つだ。
INGの3月末時点での中核的ティア1(基本的項目)資本比率は10.9%。調査会社クレジットサイツがまとめた昨
年末時点での欧州平均(10.1%)を上回っている。
ただ、INGの力強い資本基盤と健全なバランスシートにもかかわらず、アナリストの間では、スペインへの多額
の投融資やオランダ住宅市場の低調をめぐる懸念を指摘する声が上がっている。これがING株価の足かせとなり、
年初来では10%安。8日終値は5ユーロだった。
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