アテネ(ダウ・ジョーンズ)ギリシャ政府は、同国国債の民間保有者9割以上が参加するのでなければ、提案された
債務交換を進めない意向だ。
ギリシャのベニゼロス財務相は外国政府に宛てた書簡で、この債務交換手続きを進めるための条件を2つ挙げた
。
具体的には、今年6月末から2014年8月末までに償還期限を迎える国債の90%を含む、提案の対象となるあらゆる
国債の90%の保有者による参加を条件とした。
「これらの(またはいずれかの)条件が満たされない場合、公的部門との協議の上で、ギリシャの資金調達需要と
債務の持続性に対する民間債権者の寄与が不十分で、今年7月21日に発表した新たなギリシャ向け複数年支援計画
を公的部門が支持できないと判断すれば、ギリシャとしてこの書簡に示した取引は部分的にも進めることはない
」と、ベニゼロス財務相は書簡に記した。
この書簡は25日、海外57カ国の財務省に宛てて送付された。それぞれの国の金融機関が保有するギリシャ国債の
額について資料を集計する支援を求めており、書簡の一部は26日にアテネ証券取引所のウェブサイトにも公開さ
れた。
欧州連合(EU)首脳らは7月、今後数年間のギリシャの資金需要を工面すべく、1,090億ユーロの新たな支援策を同
国向けに実施することで合意した。この計画の中核となるのは、ギリシャ国債の民間保有者が保有債券よりも価
値の低い新発債との交換を受け入れる、ディストレスト債務交換だ。
この債務交換では、今後数年間に償還期限を迎えるギリシャ国債の保有者に対し、15年物や30年物の新発債への
スワップまたはロールオーバーなど、4つの選択肢が提供される。
世界の主要銀行から成る業界団体で、この債務交換を考案した国際金融協会(IIF)は、この提案が実施されれば
ギリシャは総額3,500億ユーロにおよぶ公的債務残高を135億ユーロ圧縮でき、債務の償還期間を長期化すること
ができるとしている。
だが、これまでのところ、民間債権者の参加は思ったほど進んでいない。IIF職員が明らかにしたところでは、
参加を表明した金融機関のギリシャ国債保有高が対象となる国債残高全体の60~70%前後にとどまり、目標の90
%を下回っている。
このため、ギリシャ政府は対象とする国債の範囲拡大を余儀なくされた。当初、この提案は現在から2020年まで
に償還期限を迎えるすべての既発債が対象とされたが、政府高官によると、いまや24年に満期となる国債まで対
象になる見通しという。
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