goo blog サービス終了のお知らせ 

ringoのつぶやき

音楽、ガーデニング、株、社会経済政治、etc・・・・日常の色々なことを書きたいと思います。

株価下落リスクを事前に察知、米「炭鉱のカナリア」に注目

2017年11月23日 08時38分52秒 | 

バブル以来26年ぶりの高値を更新するなど上昇相場に沸く日本株市場だが、ここから先重要なのは、いつ下落に転じるかを見極めることだ。日本株投資の「引き際」をどう見極めるべきなのか。マネーのプロに聞いた。

 ニューヨークダウが上がれば翌日の日経平均も上昇するように、日本と米国の株価は連動しやすい。逆もまた然りで、米国株が下がれば日本株も下落する傾向がある。米国株下落の兆候から、日本株の売りサインを「予測」するというのは、ラジオNIKKEI記者の和島英樹氏である。

「私が注目するのは米国市場の『ジャンク債ETF(上場投資信託)』です。“ジャンク”という名が示す通り、デフォルト(債務不履行)の可能性が高いゆえに高利回りの社債で構成される投信です。上昇相場では買われますが、下落リスクが出るといち早く売られるので、事前に危機を伝える“炭鉱のカナリア”と呼ばれます」

 そのなかでも和島氏が随時チェックしているのは、ニューヨーク証券取引所に上場する『iシェアーズiBoxx米ドル建てハイイールド社債ETF』だ。

「これは2008年のリーマンショック時も、2015年のチャイナショック時も事前に急落していました。取引時に用いる略称『HYG』でネット検索してもチャートが見られるので、注視しておくといいでしょう」(和島氏)

同じく米国の指標でも、投資情報サイト『IPOジャパン』編集長の西堀敬氏は、米FRB(連邦準備制度理事会)が定める政策金利「FFレート(フェデラル・ファンド・レート)」を挙げる。

「FFレートは米国の短期金利の誘導目標を示すもの。これとは別に長期金利を示す米国債10年物の利回りがあるが、この両者が近づくにつれて米国株の上昇はピークを迎える」

 現在のように米国景気が上向いているとFRBは利上げを進め、FFレートは上昇する。一方で長期金利は市場見通しの影響を受けるため、景気が悪くなる前に長期国債が買われ、金利は上がりにくくなるという相反関係がある。

「現在のFFレートは1.25%で、米国債10年物利回りの2.35%よりだいぶ低い。だが、FRBは今年12月から利上げする可能性が高く、FFレートは3か月に一度、0.25%のペースで上がるとの予測もある。そうなるとほぼ1年後に重なる。来年の夏には株価下落のサインが点灯する可能性がある」(西堀氏)

※週刊ポスト2017年12月1日号

 


日経平均の連騰記録が途切れたらどうなるか

2017年10月25日 12時55分27秒 | 

過去の「上昇ストップ後」の相場を調べてみた

中村 克彦 : みずほ証券 シニアテクニカルアナリスト

日経平均株価が上がり続けている。前回の記事(10月11日)では「日本株の上積みは限定的」と見立てていたが想定以上だった。過去最長の14連騰超えに成功、10月24日でついに16連騰となった。そこで、過去の連騰後の動きを比較したうえで、テクニカル面から今後の見通しを探ってみた。

12連騰以上はこれで7回目、連騰終了後も上昇する?

テクニカル指標のひとつに、12日間の騰落日数から相場の強弱感を推し量るサイコロジカルラインがある。上昇したら「勝ち」、下落なら「負け」。通常、「9勝3敗」は買われすぎ、3勝9敗は売られすぎとみなす。なお、当日終値が前日比変わらずの場合、「引き分け」か「勝ち」でカウントする。

このサイコロジカルライン(通称サイコロ)を見ると、1949年5月(東証再開)以降の68年間を振り返っても、「12連騰以上」は今回も含め、7回のみにとどまる。12勝0敗は、理論上から買われすぎの異常値であるものの、過去の連騰後の動きをみるとその後も高止まりをみせている。1952年や1953年(いわゆる朝鮮特需)の12連騰後なども、しばらく高値圏でのモミ合いが続いた。

今回の最長記録については、好調な企業業績に加え、衆院選の与党圧勝を受け現行政策が継続されるという安心感から海外勢が買っているもようだ。10月の売買代金も1日当たり2.45兆円(10月24日時点)と比較的堅調だ。なお、16連騰の出現確率は6万5536分の1。年間立会日数(245日)で割ると、おおよそ267年に1回の歴史的事象となる。

過去の長期連騰ではその後も高値が続いたと書いたが、実際のところはどうなのか。日経平均株価の連騰終了日を100として、30営業日後の動きを調べてみた(ただし、戦後の勃興期や高度経済成長期は除外)。
  
1986年や88年(バブル経済)の連騰後は4.8~7.1%高となっている。仮に2017年10月24日終値(2万1805円)に当てはめると、2万2800~2万3300円までの上昇も想定される。この価格は、1996年6月につけた平成バブル崩壊後の戻り高値2万2666円を上回る。

安倍政権の政策の新鮮味は乏しい

その一方で、2015年(アベノミクス相場)の連騰後は2.3%安となったうえ、その後に中国の人民元切り下げをきっかけに下げが加速した。2017年の連騰後の動きはどうか。足元は衆院選の結果から現政権への期待感が根強いものの、政策の新鮮味は乏しい。「アベノミクスの継続」というだけでは上値は買いにくい。

また米国株と日本株の2017年の年初来騰落でみると、日本株の修正余地も縮小している。9月末時点でNYダウが13.4%高、日経平均株価が6.5%高に対し、直近ではNYダウが17.8%高(10月23日時点)に比べ、日経平均株価が14.1%高(10月24日時点)と、日本株の出遅れ感が薄まっている。

海外勢の売買動向をみても、少し違和感を覚える。7月中旬以降に9週連続で計1.6兆円を売り越していたが、9月下旬以降に3週連続で計1.3兆円買い越しへ転じている。つまり、買いペースが速すぎることから、日本株の出遅れ修正一巡から海外勢の買いも一服すれば、上値追いも限られそうだ。

最後にテクニカル面からみた当面の上値メドを高い順に5つ挙げておきたい。

2万2000円前後で上げ一服、再び北朝鮮情勢に警戒?

① 2万2666円(1996年6月高値)

② 2万2497円(2016年末値1万9114円+17.7%)
※1990年以降の上昇年の平均上昇率は+17.7%

③ 2万2133円(約3カ月の売買コストである75日線+10%)

④ 2万1981円(2016年末値1万9114円+15.0%)
※1949年以降の酉年の平均騰落率+15.0%

⑤ 2万1910円(一目均衡表で見たN計算値=2016年安値1万4952円+上げ幅6958円で計算)
※2014年安値1万3910円→2015年高値2万0868円の上げ幅6958円
を2016年安値に足しこんだもの

非営利の団体・日本テクニカルアナリスト協会(NTAA)では「テクニカル分析を学びたい」という読者に随時セミナーを開催。ボリンジャーバンドの開発者であるジョン・ボリンジャー氏を東京と大阪に招く(11月18日(土)東京・鉄鋼会館、同25日(土)大阪・梅田スカイビル、日本語通訳つき)。興味のある方はこちらからお申し込みください。

足元では連騰記録に焦点が集まっている。ただ、日々の動きはオーバーシュート(行き過ぎ)やいわゆるダマシのような動きも多く、あまり一喜一憂しない方が良いだろう。なるべく長期チャートを使い、年間騰落率や値幅計算等から客観的分析を行うのが重要だ。

さて、このあとは10月末から11月初旬にかけて日銀金融政策決定会合、米FOMC(公開市場委員会)が控えている。

さらに、11月3日からドナルド・トランプ米大統領のアジア歴訪が始まり、同6日には日米首脳会談が開催される。北朝鮮情勢の緊迫化も想定されており、連騰後の反動安になる局面もあるかもしれない。

この間、10月31日には、もともとは秋の収穫を祝う宗教的な行事であるハロウインが米国を中心に世界各地で行われる。その合言葉は『Trick or treat』で、お菓子をくれないと、いたずらしちゃうぞ、といった意味だ。今年の10月の株式市場では、相場の神様なら『Trick or trade』というだろうか。奇妙な連騰相場に目を奪われる前に、いったん利益確定が必要な局面が近づいていると思われる。


株14連騰「天井近い、7000円下落も」 極東証券・菊池会長

2017年10月20日 20時50分35秒 | 

2017/10/20 18:34日本経済新聞 電子版

 20日の東京株式市場で日経平均株価は14日続伸し、1960年12月21日~61年1月11日に記録した歴代最長記録に56年9カ月ぶりに肩を並べた。バブル経済期(1988年2月)の13連騰をも上回る歴史的な連騰は何を示しているのか。日本証券業協会で要職を務めた極東証券の菊池広之会長は20日、日経QUICKニュース社(NQN)のインタビューに対して「相場は天井に近い」との認識を示した。主なやりとりは以下の通り。

 

極東証券の菊池会長は日経平均の先行きについて33%程度の下落もあり得ると警鐘をならす(東京都中央区の極東証券本店)

極東証券の菊池会長は日経平均の先行きについて33%程度の下落もあり得ると警鐘をならす(東京都中央区の極東証券本店)

 

 ――日経平均が14連騰しました。続きますか。

 「株高に一番大事なのは政局の安定だ。今回は総選挙戦前の情勢予想と選挙戦中の調査の結果がまるで違う。自民・公明の両与党の議席数について、安倍晋三首相は公示前に過半数の233議席を勝敗ラインと述べた。実際には与党で300議席をうかがう展開と報じられている。買いが入るのは当然だ。このため、選挙結果を受けた週明けの相場は材料出尽くしの売りに押されるだろう」

 「バブル期を含む1980年代と2000年代を比較すると、経済成長率は年平均3.9%から同0.9%に低下した。人口減もあり、成長率は今後大きく高まるとは考えにくい。80年代に株式投資の中心だった国内個人は海外投資家を後追いする存在になってしまった」

 

 ――連騰が途切れた後の日経平均の方向感をどうみますか。

 「2万2000円や2万3000円といった上昇基調が続くとはみていない。日経平均株価のPER(株価収益率)は15倍と決して割安ではないからだ」

 「過去の相場をみると、東証1部銘柄の時価総額の合計が名目国内総生産(GDP)を大きく上回る局面で、日経平均は相場の天井をつけてきた。20日時点の時価総額は637兆円で、名目GDP(4~6月期に543兆円)との差が大きい。そろそろ相場の天井圏にいるはずだ」

 「日経平均が過去最高値を付けた1989年末も東証1部の時価総額は606兆円まで膨らみ、名目GDPと乖離(かいり)した。(米サブプライムショック前の)2007年2月や(中国人民元ショック前後の)15年8月も同様で、日経平均はその後下落している」

 

 ――相場の天井が近いとすると、どの程度まで下落しますか。

 「日経平均には1万4500円くらいの水準に大きな節目がある。2万1400円台まで上昇した今回の相場は09年の7054円を起点に上昇し、8年間で3倍になった。今後およそ3分の1に相当する7000円程度の下落はおかしくない」

 「1964年の東京五輪のころの相場を振り返ると開催年の3年前にあたる61年7月18日に日経平均は1829円で大天井を打った。20年の東京五輪の3年前といえば今だ。そろそろいいところだ。相場の世界では『上げ100日下げ3日』という言葉もある。北朝鮮がミサイルを日本に向けて打ち込むなど不測の事態をきっかけに急落しかねない」

〔日経QUICKニュース(NQN)聞き手は高橋徹〕


今の日本株は嵐の前の静けさか、夏以降に急変動も-楽観市場は要注意

2017年08月02日 11時03分38秒 | 
2017年8月2日 06:38 JST
 
関連ニュース
米アップルの7-9月見通し、力強い新型iPhone販売を示唆
消費者物価は今秋にもピーク-増える先行き鈍化予想、2%到達程遠く
ヘッジファンドのコーチュー、業界6倍の成績-テクノロジー株投資で
中国の外貨管理当局、安邦など積極買収企業の担保状況を調査-関係者
 
ブルームバーグ ニュースをフォローする
 
  • 日経平均の上期値幅比率は今世紀2番目の低さ、7月もこう着相場
  • 金融政策の大転換で市場動揺なら日経平均は4000円変動も-大和証

ことし上期の値幅比率が10年ぶりの低水準となった日経平均株価は、下期に入ると日々の変動がさらに小さくなった。2001年以降、上期の動きが小さいと下期に大きく変動するという経験則があり、投資家は低ボラティリティーに安心している場合ではないのかもしれない。

  日経平均の1-6月の高値(2万0230円)と安値(1万8335円)の差を前年の終値で割ったことし上期の値幅比率は9.91%。同比率が10%を下回るのは01年以降では3度しかなく、最も低かった07年の9.3%に次ぐ2番目の低さだった。
  

  

 

  7月に入ると日経平均はこう着色を強め、同月では取引時間中に前日比で1%以上動いた日がなかった。これはことし初めてのことだ。日経平均ボラティリティー指数は26日に12.23と、10年11月の算出開始以来の最低を更新。米国でもシカゴ・オプション取引所のボラティリティー指数(VIX)が21日に1993年12月以来の水準に落ち込み、ボラティリティー低下は世界的な傾向となっている。

  穏やかな相場が続くが、これは「嵐の前の静けさ」と、大和証券投資戦略部の石黒英之シニアストラテジストは判断している。21世紀に入ってから、「日経平均の年前半のボラティリティーが低いと、もれなく年後半はボラティリティーが拡大している」ためだ。最も低かった07年は仏BNPパリバを発端とするサブプライム問題の影響で年後半に2倍に拡大、3番目の05年は郵政解散で4倍、4番目の14年も下半期に6割増えた。

  JPモルガン・アセット・マネジメントの重見吉徳グローバル・マーケット・ストラテジストは、グローバルに低ボラティリティーが恒常化しているため投資家がその特異さに気づきにくい心理にあることを指摘する。「どこかでこの上昇相場が終わると思いながらも、いつ終わるか分からないため買っているという印象」だとした上で、「それがまさに上昇相場の終わりに近いような動き。問題はいつ、何によって調整が起こるのかは誰にも分からないことだ」と同氏は言う。

  大和証の石黒氏は現在の株式市場が「米金融当局が金融政策を正常化させる一方、利上げを急がない姿勢で、低金利継続を背中に買っている楽観状態」であることから、「各国中銀が正常化に向けて動き出す8月後半から9月にかけて相場が動く可能性がある」とみる。下期変動率のベースとなる6月末の日経平均終値2万0033円を基準として過去の経験則から20%近く変動すると仮定すれば、「まず1万8000円程度まで調整した後、年末にかけては米政策期待で2万2000円程度まで上昇と、4000円の値幅に備える必要がある」と同氏は言う。

 

  ただ、年後半も凪相場が続くとの見方も根強い。岡三アセットマネジメントの前野達志シニアストラテジストは、「米国で金融政策の正常化が進み、利回り曲線が逆イールド化し、景気後退を織り込み始めるまで、ボラティリティーの大きなスパイクはないだろう」とみる。前野氏はそうした相場環境が訪れる時期を19年と想定しており、米金融政策の方向性や政策期待からことし秋以降にボラティリティーが上がったとしても一時的だとみている。


村上ファンド元代表に改めて聞く「インサイダー取引」疑惑の真相

2017年08月02日 08時15分08秒 | 
激動の半生を振り返りながら
<iframe title="fb:like Facebook Social Plugin" name="f1a9947e09a8d6" src="https://www.facebook.com/v2.7/plugins/like.php?action=like&app_id=229592243741014&channel=http%3A%2F%2Fstaticxx.facebook.com%2Fconnect%2Fxd_arbiter%2Fr%2FXBwzv5Yrm_1.js%3Fversion%3D42%23cb%3Df10b0dd006ced6%26domain%3Dgendai.ismedia.jp%26origin%3Dhttp%253A%252F%252Fgendai.ismedia.jp%252Ff155daf48fe7d24%26relation%3Dparent.parent&container_width=640&href=http%3A%2F%2Fgendai.ismedia.jp%2Farticles%2F-%2F52399&layout=button_count&locale=ja_JP&sdk=joey&share=true&show_faces=false&size=small" frameborder="0" scrolling="no" width="1000px" height="1000px"></iframe>
  <iframe class="hatena-bookmark-button-frame" title="%E6%9D%91%E4%B8%8A%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%83%89%E5%85%83%E4%BB%A3%E8%A1%A8%E3%81%AB%E6%94%B9%E3%82%81%E3%81%A6%E8%81%9E%E3%81%8F%E3%80%8C%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%80%E3%83%BC%E5%8F%96%E5%BC%95%E3%80%8D%E7%96%91%E6%83%91%E3%81%AE%E7%9C%9F%E7%9B%B8%20%E6%BF%80%E5%8B%95%E3%81%AE%E5%8D%8A%E7%94%9F%E3%82%92%E6%8C%AF%E3%82%8A%E8%BF%94%E3%82%8A%E3%81%AA%E3%81%8C%E3%82%89" frameborder="0" scrolling="no" width="115" height="20"></iframe>
 
「村上ファンド」を立ち上げ、一世を風靡しながら2006年にインサイダー取引の疑いで逮捕された村上世彰氏が戻ってきた。自身の半生を描いた『生涯投資家』を上梓し、公の場で再び、ライフワークであるコーポレート・ガバナンス(企業統治)論を語るようになった。
今回のインタビューでも村上氏はガバナンス論を熱く語り、日本的ななれ合い経営の元凶として「株式持ち合い」を挙げた。法的に規制するのは難しいけれども、株主によるチェックで持ち合い慣行をなくしていくことは可能――村上節全開である。アクティビスト(物言う株主)のパイオニアであると自負しているからこそだ。

村上ファンド事件にも触れ、自分に下された有罪判決に対して残念な思いをにじませた。『生涯投資家』でも書いているように「僕にだけ適用された司法判断なのかもしれない」と振り返る一方で、「裁判をしていて驚いたのは、裁判中に裁判官が眠っていること。裁判を受ける側は人生がかかっている」と語ったのである。

『生涯投資家』は6月21日の発売直後から話題を集め、すでにベストセラーだ。1カ月足らずで5刷まで重版が決まり、発行部数は8万部を記録。「拝金主義者」「ハゲタカ」とレッテルを貼られた同氏の素顔を知って驚く読者が多いようだ
前編と同じく、<>内はインタビュアーである私の補足説明 / 撮影:西﨑進也)

元祖アクティビストファンド

――日本企業のガバナンスで最大の問題は何でしょうか。例えば株式の持ち合いは全面禁止すべきですか?

村上: できることなら株式持ち合いはやめさせたほうがいい。経営者は持ち合い株の保有理由をいろいろ挙げているけれども、実は保身のために続けているケースが多い。とはいっても法的に持ち合いを禁止することは難しい。政府にできることは限られている。だから株主が追及することで持ち合い慣行をやめさせていくべきです。

少なくとも一定数以上の持ち合い株についてはきちんと理由を書かせたほうがいい。なぜ持っているのか、どれくらいの利回りを得ているのか、持ち合いを続けなければ相手企業と取引ができないのか――こういうことについて説明するということ。

(2015年に金融庁と東京証券取引所が導入した)コーポレートガバナンス・コードには持ち合い株について企業側に説明責任があると書いてある。だけどそこには強制力がない。

――旧村上ファンドは日本ではアクティビストファンド第一号と見なしていいですか?

村上: 日本では外資系も含めて村上ファンド以前にはアクティビストファンドはなかった。だから第一号です。

――日本で「元祖ハゲタカファンド」と呼ばれたのは米投資ファンドのリップルウッドです。1999年に旧長期信用銀行(現新生銀行)を買収して猛烈なバッシングに見舞われました。

村上: アクティビストは上場企業のみが対象です。リップルウッドはプライベートエクイティファンドだから上場企業はやらない。米スティール・パートナーズもアクティビストファンドとして日本に進出したけれども、日本での事業を始めるときに私のところに何度も相談に来ていました。

「本当はもっとリアリティがあった」

――私は記者として『生涯投資家』が描いている世界を直接取材していたので、非常に興味深く読むことができました。取材を通じて知っている話を村上さんの視点で読むのは楽しかったし、まったく知らなかった話を読むのはもっと楽しかったです。

まったく知らなかった話としては、村上さんがイトーヨーカ堂創業者の伊藤雅俊さんに怒られるシーンがあります。伊藤さんのことは個人的によく知っているだけに、なおさら生々しかったです。

村上: 伊藤さんとの一件については本当はもっとリアリティがあって、実は担当編集者からももっと書き込めと言われたんです(笑)。けれどもあまり詳しく書くわけにもいかなくて……。僕が本当に書きたかったのは第8章と第9章。そこで日本という国をどうしたらいいのか提言したんです。

――もう一つ知らなかった話として印象に残ったのは、敵対的買収のパイオニアとして知られる米国の名門買収ファンドKKRとの接点です。村上さんはKKR共同創業者のヘンリー・クラビスさんにも会って、助言を受けていたんですね。

村上: クラビスさんはいろんな人と会っていて、日本で何かできないか常に考えているんですよ。

――KKRは1980年代のアメリカでは「乗っ取り屋」と呼ばれて、企業経営者の間では毛嫌いされていましたが、今では全然違います。むしろ経営者の間でリスペクトされています。

村上: KKR自身も昔とは違います。かなり前に敵対的買収をやめているんです。クラビスさんに会ったときには「今は穏やかにやっている。でも君には敵対的買収をやってもらいたい。これをやり遂げないと国は変わらない」と言われました。それで「よし、頑張ろう」と元気づけられたんですよ。

――KKRがアクティビストをやめても、アメリカではアクティビスト文化はしっかり根付いています。最近面白いと感じたのは、米ゼネラル・エレクトリック(GE)のジェフリー・イメルト最高経営責任者(CEO)の退任。なぜかというと、アメリカを代表する優良企業と言われたGEのトップが、ネルソン・ペレツというアクティビストの圧力で退任に追い込まれたんですから。

村上: でもペレスが運用するファンドの保有分はGE株全体の1%だけ。

――はい。でも、アメリカではまともな提言をするアクティビストに賛同する機関投資家が多い。だから持ち株数が少なくても大きな力になる。

村上: そういうことです。

「インサイダー情報」の定義

――村上さんが2006年にインサイダー取引の疑いで逮捕されると、「お金儲けは悪いことですか?」というセリフばかりクローズアップされて報道されました。「インサイダー取引に手を染めてまで金儲けしようとした男」と今でも思っている人が多いのではないでしょうか。

改めて聞きます。インサイダー取引をやったのですか?

村上: 解釈の違いだと思っています。ニッポン放送株の5%以上を買いたいという趣旨の話を(ライブドア社長の堀江貴文氏から)聞いたのは事実です。実現可能性が限りなく低い人、つまり誰がしゃべっても、可能性が少しでもあればインサイダー情報になるという判決だった。

例えば僕が「これはいい企業だから、いっぱい株を買いたい」と言ったのを牧野さんが聞いたら? そしたらもうアウト。この判決でインサイダー取引の解釈の範囲が大きく広がったことになります。

――一審判決で高麗邦彦裁判長は「買収の実現可能性がゼロでなければインサイダー情報になる」との判断を示しました。最高裁も同じ結論を出しました。個人的に取材した限りでは、M&A(企業の合併・買収)のイロハも分からないようなひどい判決だと思います。M&A専門家の多くは絶句していました。

村上: 今までこのような解釈で摘発された人はいないので、専門家の方には「このような解釈をしてしまっていいのか?」と思っていただけているようです。でも僕は有罪判決を受けた。今となっては、僕にだけ適用された司法判断なのかもしれない。

<「買収可能性がゼロでなければインサイダー情報になる」との判断では、裁判官はライブドアによるニッポン放送買収のことを念頭に置いている。『生涯投資家』にも詳しく書いてあるが、これは堀江氏の願望にすぎず、当時は資金的な裏付けもない。さらにはニッポン放送内部の未公開情報ですらない。

ファンドも含めた機関投資家は調査活動の一環として投資先企業の経営者と日常的に面談している。経営者に直接会って経営戦略を詳しく聞き、投資判断に役立てるためだ。当然ながらM&Aも話題にする。経営者から「あの会社を買収したら面白いだろうね」といった話を聞くこともあり得る。

だが、投資家は通常このような会話をインサイダー情報に分類しない。「願望」ベースの話にすぎず、なんの裏付けもないと考えるからだ。そもそもこれをインサイダー情報と見なしたら、株式投資するうえで大きな制約を受ける。こうなると調査活動そのものをやめようということにもなるのではないか。

ところが、裁判官は「実現可能性がまったくない場合は除かれるが、可能性があれば足り、その高低は問題とはならない」と断じたのである。最高裁も同様の判断を示し、村上氏の有罪が確定している。これではM&Aについて意見交換するのは事実上不可能になり、「うっかりインサイダー取引」を誘発しかねない。

百歩譲って当該企業から直接聞いたM&Aの話がインサイダー情報になるとしよう。だが、繰り返しになるが、村上氏の場合はニッポン放送から直接聞いた話ではなく、ニッポン放送とは無関係で単に「願望」を抱いていた部外者のライブドアから聞いた話である。>

「安く買って高く売る」のは商売の基本

――でも、当時は判決の問題点を指摘するメディアは事実上皆無でした。「かつての乗っ取り屋よりもはるかに悪質で、村上被告が断罪されるのは当然」(毎日新聞)などと村上さんを糾弾するのに忙しくて、主要紙は検察が喜ぶような記事で紙面を埋めていました。専門性のなさを露呈しています。

村上: 怖いですね。もう一つ裁判をしていて驚いたのは、裁判中に裁判官が眠っていること。裁判を受ける側は人生がかかっている。大変残念でした。

――検察側の主張をそのままラバースタンプで認めるだけ、つまり結論ありきの裁判だったからじゃないですかね。

村上: その裁判官は判決文で「被告は『ファンドなのだから、安ければ買うし、高ければ売るのは当たり前』と言うが、このような徹底した利益至上主義には慄然とせざるを得ない」とも書きました。

投資家にとっては、安く買って高く売るというのは当たり前だと思います。投資家ではなく事業を行っている場合でも、安く仕入れ、高く売ることによって会社は利益を出します。 判決を受けて、欧米のメディアは当時「日本はおぞましい」と書いていました。ここまで違うのかと思いましたね。

――ファンドマネジャーだったら他人から資金を預かっているわけですから受託者責任を負っています。意識的に「安くても買わない、高くても売らない」行動を取ったら、それこそ責任放棄で訴えられかねません。

村上: その通りです。

国民の考え方も変わってきた

――一審判決にはもう一つ見逃せない点がありました。裁判官は「本件は村上ファンドの組織上の構造的欠陥に由来する犯罪」と断じました。ファンドマネジャーとアクティビストの活動を一人で行っていた点を問題視しているのです。

村上: あの時は、会社のことや社員のこと、家族のこと、いろいろなことがありすぎて、毎日精いっぱいだったから、覚えていないことも多いな(笑)。

――当時の判決文から正確に引用すると、「巨額の資金により大株主となり、自らインサイダー状況を作り出した後、一般投資家が模倣できない特別な地位を利用した犯罪」と書かれています。

本当ですかね? ファンドや年金など機関投資家が株式を大量取得して大株主の立場で経営改革を促すのは当たり前の行為ではないですかね?

これが構造的欠陥なら、米著名投資家ウォーレン・バフェットが経営するバークシャー・ハザウェイも構造的欠陥を抱えていることになります。大株主として経営改革を迫り、トップを交代させることもあるのですから。バフェットもファンドマネジャー兼アクティビストです。アクティビスト部門を分離なんかしていません。

村上: 日本では株取引は悪いものだという国民感情があったのかもしれない。でも、今は年金や日銀がメーンプレーヤーになっています。株式を大量取得して多くの企業の大株主なり、大株主の立場で経営に注文をつけて儲けなくちゃいけなくなった。また個人投資家も増えている。公的マネーがアクティビストになったら、さすがに悪者にはできないでしょう。

だから国民の考え方も変わってきている。「儲けてくれないと困る」と考える人が増えている。昔は特定の人だけが株取引をしていたけれども、これからは違う。国民から大事なお金を預かる人がメーンプレーヤーになっているから。

制度面でも伊藤レポート(一橋大学教授だった伊藤邦雄氏が座長を務めた経産省の研究会がまとめた報告書)、日本版スチュワードシップコード、コーポレートガバナンス・コードが出そろった。これで企業経営者も機関投資家もきちんとやっていくようになるのではないか。

日本でバフェット流投資は不可能に

――村上ファンド事件では司法が悪い判例を残してしまったと思います。そればかりか、あまり指摘されていないことなのですが、事件を受けて制度改悪も行われました。2006年6月の金融商品取引法成立によって施行された改正5%ルール(大量保有報告制度)です。

村上さんの本を読んでいると、阪神電鉄株の大量取得で苦労している話が書かれています。大量取得報告を出すといわゆる「ちょうちん買い」が入って株価が急騰してしまいかねないから、村上ファンドとしてはいろいろ工夫して水面下で阪神電鉄株を買い集めていたのですよね。

村上: ここまで厳しくしてどうするの、というのは確かにあります。僕は阪神電鉄株の買い集めではすごくたたかれた。ルールに従っていたけど、突如として阪神電鉄株の30%を握ってしまったから「何でこうなるんだ」といった批判が噴き出しました。

<改正5%ルールの下では、ファンドなどが特定企業の株式の5%超を取得したり、その後に1%以上の変動を伴う売買をしたりした場合、2週間ごとに開示しなければならない(改正前は3ヵ月ごと)。村上ファンドによる阪神電鉄株の取得が不透明だと批判を浴びたためだ。

これは世界的にも例がないほど厳しい。これはと思った銘柄に集中投資するバフェット流の投資を不可能にしかねない。言い換えると、お金と時間をかけて有望銘柄を発掘する意欲を削ぎかねない。

例えば、バフェット氏が初の本格的ハイテク株投資としてIBM株を大量取得したのは2011年。この時、同氏は「IBMは魅力的」という投資判断について8ヵ月間にわたって秘密にできた。それまで開示義務を免除されていたのだ。

理由は「IBMは魅力的」という投資判断は企業秘密であり、知的所有権に相当するからだ。当時、一部の有力機関投資家は米メディア上で「銘柄保有をすぐに開示させるルールは違憲。コカ・コーラに対し企業秘密の『コカ・コーラの処方』の開示を強制するのと同じ」とコメントしていた。

村上氏の「最初で最後の告白」は、どう受け止められるだろうか>

 

村上世彰氏がいま世に出て、どうしても訴えたかったこと

2017年08月02日 08時09分21秒 | 

娘の「死産」を越えて

<iframe class="hatena-bookmark-button-frame" title="%E6%9D%91%E4%B8%8A%E4%B8%96%E5%BD%B0%E6%B0%8F%E3%81%8C%E3%81%84%E3%81%BE%E4%B8%96%E3%81%AB%E5%87%BA%E3%81%A6%E3%80%81%E3%81%A9%E3%81%86%E3%81%97%E3%81%A6%E3%82%82%E8%A8%B4%E3%81%88%E3%81%9F%E3%81%8B%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%81%93%E3%81%A8%20%E5%A8%98%E3%81%AE%E3%80%8C%E6%AD%BB%E7%94%A3%E3%80%8D%E3%82%92%E8%B6%8A%E3%81%88%E3%81%A6" frameborder="0" scrolling="no" width="115" height="20"></iframe>
 
旧通産省(現経産省)の官僚から投資ファンド「村上ファンド」の代表へ転じ、2006年にインサイダー取引の疑いで逮捕された村上世彰氏。逮捕以降はシンガポールに拠点を置きながらマスコミに一切登場しなかったが、去る6月21日、自身の半生を描いた『生涯投資家』を文藝春秋社から出版した。
村上氏はコーポレート・ガバナンス(企業統治)改革による日本経済の活性化をライフワークにしてきた。2011年に最高裁での執行猶予付きの有罪判決を受け、一時は事実上の隠居生活に入ったのかと思われていたものの、同書ではガバナンス改革については今も並々ならぬ情熱を持っていることを明らかにしている。

私は日本経済新聞時代も独立後もジャーナリストとして村上氏への取材を重ねてきた。マスコミが「村上バッシング」一色になっているなか、拙著『不思議の国のM&A』などで村上氏のようなアクティビスト(物言う株主)が果たす社会的役割に意識的に光を当ててきた。そんなこともあり、村上氏にはかねて自伝を書くよう促してきたし、同氏からインタビュアーの打診を受けた際には喜んで引き受けた。

村上氏は自伝出版をきっかけにアクティビストとしての活動を本格的に再開するのか。インタビューでは「コーポレート・ガバナンスを根付かせることに自分なりの意地がある」と語るなどアクティビストらしさを見せる一方で、目立ち過ぎに伴う負の側面に言及するなど複雑な心境ものぞかせた
(なお、<>内はインタビュアーである私の補足説明 / 撮影:西﨑進也)

きっかけは強制調査

――こういう形で村上さんを取材するのは本当に久しぶりです。

村上: 2006年6月5日の朝、逮捕直前に牧野さんに電話しましたよね。もう10年以上も前になります。何が起きていたのかフェアに書いてくれたのは牧野さんぐらいでした。

――当時、村上さんを直接取材していた記者は日経社内では私ぐらいでした。でも、逮捕当日はまったく出番がありませんでした。村上さんを取材したこともない記者が書いた記事で翌日の1面が埋まっていました。

村上: 残念でしたね。牧野さんには感謝しています。

<フジテレビジョンに経営改革を迫るなどしていた村上氏は大手メディア経営陣から敵視され、「拝金主義者」「ハゲタカ」のレッテルを貼られていた。系列のテレビ東京株を村上ファンドに取得されていた日経も例外ではなく、編集局内では「村上ファンドの宣伝になるような記事は書かないように」という暗黙の合意ができていた。今風に言えば「忖度」である。

当時、日経に編集委員として在籍していた私は、国内では携帯電話で村上氏を自由に取材できる唯一の記者だった(海外ではニューヨーク駐在の同僚記者が同氏とパイプを持っていた)。実際、誰も知らないネタもいくつか仕入れていた。村上ファンド側を取材するのは至難の業であっただけに、それなりの記事を書く自信はあった。

だが、「村上バッシング」にくみしなかったから社内では煙たがられていたのか、ほとんど何も書けず、逮捕当日にも出番を与えてもらなかった。>

――ただ、独立を機に『不思議の国のM&A』を出版し、そこで村上ファンドについて書けなかったことを書きました。改めてお聞きしますが、今回、どうして本を書く気になったのですか。

村上: 2015年11月に証券取引等監視委員会の強制調査を受けたことが大きいですね。最初の1週間は(相場操縦など違法行為があったと決めつけるような)一方的な情報が流されて、その後は強制調査がどうなっているのか何も情報が出てこなくなくなりました。そして今までずっと待っている状態です。

強制調査の結論が出るまで待ち続けてもいいのだけれども、僕はそれでいいとしても、家族のことも考えなくちゃいけない。やっぱり自分からも発信すべきではないのか、結局悪者扱いされるかもしれないけれども何も発信しないよりはマシではないか――こんな思いが家族にあった。そこで「父親の責任として、自分のやってきたことをきちんと書こう」と思い至りました。

――本の中でも最後に触れていますが、娘さん(長女の村上絢氏)は強制調査のストレスで死産をしてしまった。これも本を書く大きなきっかけになったのでは?

村上: それが一番大きなきっかけです。世の中にはやってはいけないことがある。法解釈だけの問題じゃない。娘は相場操縦の嫌疑がかかった時期、第一子の出産直前でまったく出社していなかったのだから無関係なはず。事前に調べれば妊婦かどうかくらいはすぐに分かる。

にもかかわらず、証券監視委は、強制調査時に第二子を妊娠していた娘を何日間にもわたって苦しめるようなことをやった。そして娘は妊娠7ヵ月で死産してしまった。本人に対する謝罪も行われていない。

一方的な報道は最初の1週間だけ

――強制調査については当初、相場操縦の疑いで刑事告発間違いなしといった「推定有罪報道」でマスコミは横並びでした。だから逮捕の観測まで出ました。疑われる側にしてみれば相当なストレスになりますよね。まさにデジャブ。11年前に検察が村上ファンドに対して強制捜査に入った際にもマスコミは横並びで推定有罪報道でした。

村上: 当日、強制調査を特報したNHKには不当に情報が流されたようです。週刊誌にもそのように読める記事が出ていましたね(週刊新潮2016年2月4日号の記事「東京地検がフタ!『企画調査課長』とNHK記者の不倫」のこと)。

ありがたかったのは、今回は一方的な情報が続いたのは最初の1週間だけで、その後は情報が流れなくなったということ。ニッポン放送株や阪神電鉄株を買い集めていた10数年前には、最後まで徹底的にたたかれて、「お前なんか退場しろ」というメッセージばかり耳にしていました。

もちろん今も同じかもかもしれない。今回も「お前なんか退場しろ」というメッセージが出てくるのであれば、それはそれで仕方がない。

<証券監視委が2015年11月25日に相場操縦の疑いで村上氏の事務所や家族の自宅などを対象に強制調査に入ると、新聞やテレビは一斉に推定有罪報道に傾いた。村上氏側に一切取材していないにもかかわらず、「関係者によると」と出所をあいまいにして「村上氏=犯罪人」というイメージを作っていった(現代ビジネスのコラム「村上世彰氏『相場操縦』報道に見るメディアのリーク依存体質」参照)。

主な新聞見出しをひろってみると、「監視委、刑事告発も視野」(産経)「村上元代表、安値で大量売りなど」(日経)「村上氏、相場操縦の疑い」(朝日)「相場操縦、空売りでも利益か」(読売)などだ。

調査の行き過ぎを懸念する声は皆無だった。強制調査に入る情報を事前に入手していたNHKは現場でテレビカメラを回し、監視委係官が大量の段ボール箱を運び出すシーンを流していた。

強制調査からすでに1年8ヵ月が経過しようとしている。だが、村上氏もインタビューの中で語っているように、監視委による調査がその後続いているのか、それとも中断しているのか、外部からはさっぱり分からない。このまま何もなしで終わるのだとしたら、強制調査時のマスコミ報道はいったい何だったのか。村上氏の長女に対する調査の意味も改めて問われるのではないか。>

星野監督と対談してもいい

――本は自分1人で全部書いたのですか?

村上: はい。とても時間がかかりました。ただ、過去の記録を引き出したり、最新の経済データを入手したりする作業については、2人のスタッフに手伝ってもらえた。時間にすれば合計でざっと3千時間。僕が千時間、2人のスタッフがそれぞれ千時間ずつという感じです。担当編集者の方にも感謝しています。

――本が出て本当に良かったと思います。これまでは村上さんを悪者に見せたい検察側の話が一方的にたれ流されていました。この本が出たことで「捜査する側」だけでなく「捜査される側」からの景色も初めて見えるようになり、全体像をとらえやすくなったわけですからね。対立していた両者からの話が初めて出揃ったのです。

村上: 今から思うと対立していたわけではないような気がしますね。僕は株主として物申していただけだった。それを対立と捉えたのは、相手の経営陣であったように思います。

僕は、ありのままを『生涯投資家』に書いたつもりでいます。だから、この本を読んで怒っておられる方々もいるかもしれない。そうした方々と、もし対談の機会があれば、もう一度きちんと、僕が目指していたことについて話をしたい。そうすることで、本当は何が起きていたのかが正しく世の中に伝わると思います。(フジテレビ会長だった)日枝さんや星野監督など、いかがでしょうか。(笑)。

――大企業の経営者と対談して話がかみ合うかどうか。個人的にはとても興味があります。

村上: 牧野さんがアレンジしてくれれば、僕は出ますよ(笑)。

<星野監督とは、プロ野球の阪神タイガースでシニアディレクターを務めていた星野仙一氏のこと。村上ファンドが阪神電鉄株を買い集め、阪神タイガースの上場も提案していた2006年当時、村上氏について聞かれて「いずれ天罰が下る」とコメントしたのである。実はその半年ほど前に星野氏は村上氏と都内で対談し、意気投合していたにもかかわらず、である。

これには対して村上氏は大きなショックを受けた。当時、私の取材に応じた際にも「自分の子どもがいじめに遭わないか心配」「さすがにこの発言は駄目でしょう」などと言い、見るからに落ち込んでいた。

鉄道事業の再編に情熱を傾けているというのに、それについてはまともな議論ができず、感情的バッシングを受けているだけ――こんな思いをにじませていた。『生涯投資家』でも「天罰」発言に触れ、「とても悲しい出来事」と振り返っている。>

アジアへの不動産投資

――でも時代の雰囲気が変わってきましたよね。日本版スチュワードシップコード(機関投資家の行動原則)が策定されるなど、この10年ほどで村上さんが主張してきたガバナンス論がようやく世の中で認められ始めた。

村上さんは早く登場し過ぎたんじゃないですかね。ついでに言えば私も少し早過ぎたのかもしれません。日経社内で「市場原理主義者」と呼ばれて、村上さんについてなかなか書かせてもらえなかった(笑)。

時代が村上さんにようやく追い付いてきたということであれば、本格的にアクティビスト活動を再開してもいいのではないですか。他人の資金を預かるのではなく、自分の資金を運用する形になりますけれども。

村上: どうしてもコーポレート・ガバナンスを日本に根付かせたいという想いがあり、意地になってやっているところがあります。でも再び批判されるかもしれないし、やらなきゃいけないわけでもない。仕組みづくりは今後の日本のさらなる発展に重要だと思っていますが、僕に求められるものがなければそれまでの話です。

その点で、アジアへの投資についてはリターンが出るかどうかだけを純粋に考えればよく、やりやすいです。土地を買って、いろんなものを建てています。日本的要素を入れながら建てて現地で売る、というのは楽しい。一方で日本では、コーポレート・ガバナンスの浸透をミッションに投資をしていても、なかなかそれが伝わらず、いろんなことを言われてやりにくいことが多いですね。

――不動産にも大きな関心を持っていることは以前から知っていましたが、『生涯投資家』を読んでその理由がよく分かりました。やっと腑に落ちました。

村上: 若い頃から父親にいろいろ見せられましたからね。

――どのぐらいの資金を不動産で運用しているのか公にできますか?

村上: 結構増えましたが、内緒にさせてください(笑)。自分のお金だけで運用しています。

――ずっと昔にお父さんと一緒に世界各地を回ったように、現在は自分1人で世界各地を回っている?

村上: 好きな所だけですけどね。面白いと思えば行くし、思わなければ行かない。

――特にどこが面白いですか?

村上: 最近はフィリピンに注目していますね。なかなかいいパートナーが見つからないのですけれども、もう少し投資を大きくしようかと思っています。

なにがいいのかと言うと、フィリピンの場合は10%以上の人が外国で働いているんです。主にハウスキーパーと船員。この人たちの給与が相当上がっていて、仕送り額が増えています。フィリピン国内の産業は成長していないけれども、お金が国内に流れ始めている。だから景気がいい。

フィリピン以外ではベトナム、カンボジア、バングラデシュも魅力的ですね。

アクティビストの株主提案

――村上さんは定年がないから元気な限りは続けるつもりですか?

村上: 不動産投資に関しては、自分が楽しいと思えなくなったらやめます。不動産投資には自分のミッションがない。純粋に投資としての魅力がなくなったらやめるかもしれない。

――確かに海外での不動産投資にはミッションは見いだしにくいかもしれませんね。でも株式投資にはガバナンスというミッションがある。だからここは今後も続けると考えていいですか?

村上: そうですね。例えば黒田電気では文書ねつ造事件がありました。会社が従業員の同意を得ずに、勝手に文章を捏造し開示いたしました。日本においてまだまだコーポレート・ガバナンスが行き届いていないことを痛感しました。となると、エネルギーが出てきます。

――村上さんは2006年に阪神電鉄株を買い集め、散々たたかれながらも初志貫徹で同社の経営権取得を確実にしました。ところが、その瞬間に逮捕され、鉄道再編の夢を打ち砕かれました。

村上: 本でも書いているように、当時は阪神と京阪電鉄の統合をきっかけとした鉄道会社の大再編を考えていたし、「上場企業」の在り方に布石を打てると思っていたから大変残念でした。

あれからもう10年以上ですが、今は黒田電気の株主総会が近づいている。コーポレート・ガバナンスの筋を通したいが、目立つことに対する漠然とした不安は感じます。

<インタビューが行われたのは6月23日で、6日後の同月29日に黒田電気の株主総会が予定されていた。村上氏は自身の関連会社の一つである投資会社レノを通じて独自の社外取締役候補を選任するよう株主提案しており、勝算ありと読んでいた。だから、阪神電鉄の経営権取得目前に逮捕された当時との連想が働き、「漠然とした不安」と語ったのである。

村上氏の行動が「漠然とした不安」を裏付けている。同氏が10年以上前の逮捕後に長い間にわたって対外的に何も発信せず、本を書くのもためらっていたのは、「目立ちすぎると適当な理由をでっち上げられてまた逮捕されるかもしれない」という不安を常に抱えていたからだ。

黒田電気の株主総会は予想通りに村上氏側の提案が通り、同氏と同じ旧通産省出身の安延申氏が社外取締役として選任された。アクティビストの株主提案が可決されるのは日本では極めて珍しい。>

《⇒後編につづく》

村上世彰(むらかみ・よしあき)
1959年大阪府生まれ。1983年から通産省などにおいて16年強、国家公務員として務める。1999年から2006年までM&Aコンサルティングを核とする「村上ファンド」を運営。現在、シンガポール在住の投資家。今年の6月には『生涯投資家』(文藝春秋)を出版。
 
 

株、連日で同じ時間帯に入る160億円の注文 買ったのは誰だ

2017年06月27日 08時36分05秒 | 

 東京株式市場で今月中旬以降、連日のようにほぼ決まった時間帯に1回あたり160億円規模の取引がみられている。米国経済の先行き不透明感などが上値を抑える日経平均株価が2万円台に踏みとどまっているのは、こうした買いが支えているようだ。機械的ともいえるような買いを連日入れているのはいったい誰か。市場関係者の読みが交錯している。

 

 12日から23日までほぼ連日、15時すぎになるとみられる売買は、東京証券取引所の立会外取引(ToSTNeT)でのバスケット取引と呼ばれる相対取引で、東証1部のほぼ全銘柄を売り買いする東証株価指数(TOPIX)型のもの。前週は19日に164億円、20日に164億円と160億円、21日と22日が166億円、23日は165億円の売買があった。12日から23日までの累計では1600億円程度にのぼる。

 

 規模、対象となる銘柄群、取引の時間帯がほぼ同じ連日の取引は、あるまとまった量の株式を小分けにして買う場合に行われることが多い。一度に購入して相場を大きく動かすのを避けるためだ。こうした取引手法をとるのは「公的な性格の資金」(外資系証券トレーダー)との見方が市場関係者の間で有力視されている。

 

 具体的には、まず有力なのが国家公務員共済組合連合会や地方公務員共済組合連合会、日本私立学校振興・共済事業団年金積立金といった共済年金だ。彼らは年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)に運用方針を一元化している。かんぽ生命ゆうちょ銀行の可能性もあるが、「まだ日本株の組み入れ比率が十分に高くない年金が買っている」(ある大手運用会社の売買担当者)との推測があった。

 

 7月2日に投開票の都議選は、内閣支持率が低下している自民党にとっては苦戦も予想されている。「現政権は自民党の追い風になるように株価を支えたいのではないか」(国内証券のストラテジスト)という深読みをする市場関係者もいる。

 

 日経平均の26日午前終値は前週末比24円高の2万0157円と続伸した。27日には6月期企業や12月期企業の配当などの権利付き最終売買日で、権利取りの買いが相場を支える。7月第1週には上場投資信託(ETF)の分配金の権利付き最終日が控える。29日に集中日となる株主総会が終われば、配当の一部を再投資するための買いも入る。このため「6月末から7月初めは例年、株式需給が引き締まりやすい」(大和証券の佐藤光シニアテクニカルアナリスト)との指摘がある。

 

 さらに公的な性格の資金が足元で定期的に入っているとなれば、日経平均の強力な下支え役になる。きょうこのまま終われば、日経平均は6日連続の2万円台となる。大台定着との見方は広がりつつある。〔日経QUICKニュース(NQN) 張間正義〕


「大株主」日銀、5%以上保有は83社 ファストリや京セラなど

2017年06月25日 09時37分13秒 | 

 日銀による日本株買いが膨らんでいる。日本経済新聞社の調査では日銀の日本株の保有残高は17兆円を突破し、計算上、発行済み株式数の5%以上を保有する企業数は83社に上る。株式市場の時価総額に占める割合は3%に迫る。企業側からは安定株主になるとの声がある一方で、売買の実態が見えず株主名簿でも日銀の存在が確認できないとして戸惑いの声も聞かれる。(1面参照

画像の拡大

 

 日銀が10%以上の株を保有しているとみられるのは14社。例えば、日銀のファーストリテイリング株の保有比率は15%のもようで、筆頭株主で2割強を保有する柳井正会長兼社長に次ぐ株主とみられる。京セラ株は9.8%を保有しているとみられ、稲盛和夫名誉会長(約3%)の3倍を保有している計算になる。

 セコム株の保有比率は8.4%で、創業者の飯田亮氏の約2%を上回るもよう。三菱倉庫では三菱グループ3社の合計保有比率が約8%なのに対し、日銀の比率は10.1%に上るとみられる。

 日銀が大株主と見られるある企業のIR担当者は「保有株が売られる局面ではどう対処していけばいいのか」と懸念する。別の企業の担当者も「業績や事業に関係なく株価が上下するので、投資家にどう説明すればいいか難しい」と話す。

 市場では日銀による上場投資信託(ETF)買いを評価する声もある。みずほ総合研究所の高田創専務執行役員は「株式需給を支えることで株式市場を安定させ、家計や企業の心理を支える効果がある」と話す。株価を下支えする効果の一側面だ。

 一方で、弊害を指摘する声もある。その一つが株価形成のゆがみだ。ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストの分析によると、日銀が大株主の銘柄は同業他社に比べ、株価が割高になっていた。

 今後、日銀がETFの売却に転じる「出口論」が活発に議論されれば、「日銀が大株主の銘柄は需給悪化懸念から株価が上がりにくくなる可能性がある」と井出氏は指摘する。

 もうひとつが「投資家の買い場が減った」との声だ。日銀が年6兆円ペースでETFを購入することで、これ以上売り手がいなくなる「セリングクライマックス」が見えにくくなった。ある銀行系投信会社のファンドマネジャーは「株価が下がり切らず、株を仕込みにくくなった」と話す。


株価急落を予告する「ヒンデンブルグ・オーメン」の点灯と4つの懸念=斎藤満

2017年06月06日 15時16分45秒 | 

NY株式市場で「ヒンデンブルグ・オーメン」が点灯しました。これは一旦点灯すると、5%以上の株価下落が77%、クラッシュが41%、重大な下落が24%の確率で発生するとされるグナルです。今週以降注目イベントが続くので、頭の隅に入れておいても良いかと思います。(『マンさんの経済あらかると』斎藤満)

※本記事は、『マンさんの経済あらかると』2017年6月5日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

「高確率で株急落」のシグナル点灯。そのキッカケになるとすれば?

「ヒンデンブルグ・オーメン」とは

ニューヨーク株式市場の急落を予告するシグナルとされる「ヒンデンブルグ・オーメン」が6月1日に点灯しました。

これはニューヨーク市場についてのシグナルですが、これが一旦点灯すると、米国では5%以上の株価下落が生じる可能性が77%、クラッシュが起きる可能性が41%、重大な下落が生じる可能性が24%と言われます。

翌日の2日には3指標とも最高値を更新し、このシグナルに注目する向きは少ないのですが、最近では3月13日にこれが点灯し、1週間後の21日に米国株は大統領選後最大の下落を見せ、さらに2015年6月半ばに点灯した時は、そこから数百ドル下落した後、8月には2000ドル余り下落した経緯があります。

100%の確率ではありませんが、米国株が最高値にあり、VIX(恐怖指数)が低下している中で、今週以降注目イベントが続くので、頭の隅に入れておいても良いかと思います。

懸念(1) コミー前FBI長官の議会証言

今週は8日に米国上院でコミー前FBI長官の議会証言が予定されています。トランプ大統領は大統領特権を行使してこれを拒否すると言われますが、最高裁がこれを認めない可能性があります。

この公聴会で前長官が、トランプ大統領の司法妨害を示唆する証言をすると、ロシアゲート疑惑が一段と高まり、弾劾リスクが意識され、先行き不透明感の高まり、政権の機能不全から税制改革など政策の遅れ、後退が市場に失望をもたらす懸念があります。

懸念(2)ECB理事会

8日には欧州でも注目イベントがあります。まずECB理事会では、金融緩和の出口に向けた動きがあるかどうか注目されています。

先に発表されたユーロ圏の消費者物価上昇率がまた低下したので、緩和継続の期待が強まっています。そのなかで、理事会で追加緩和の可能性文言を削除したり、景気の認識を強気化し、出口を示唆したりするようだと、市場は反応する可能性があります。

懸念(3)イギリス下院選挙

同じ日に英国では下院の議会選挙があります。メイ首相はEU離脱に勢いをつけるために、ここで保守党の圧勝を期待し、早めの選挙に打って出たのですが、世論調査では保守党のリード幅が縮小していると言います。

保守党が負ける可能性は小さいのですが、最近の連続テロ事件が保守党への支援となるかどうか、こちらも注目です。

懸念(4)FOMCとイエレン議長会見

そしてニューヨーク市場に最も大きな影響を及ぼすとすれば、来週13~14日のFOMCとその後のイエレン議長の会見内容です。

現在、市場はここでの利上げを9割がた織り込んでいますが、それで終わり、との見方が多く、実際、債券相場では2年国債利回りが1.28%前後に留まっています。これは6月利上げで終わり、という水準です。

また10年国債利回りも、これまでは利上げの後低下するものの、利上げ前になるとこれを織り込む形で上昇し、昨年12月も今年3月も利回りは2.5%を超えてきました。ところが、足元では依然として金利水準が2.2%前後に低迷し、イールド・カーブはフラット化傾向を強めています。

これに対し、FRB幹部は、地区連銀総裁、理事らが続けて年内あと2回の利上げと、バランスシートの縮小開始を市場に伝えています。

つまり、当局の「正常化」意図を市場が理解していないか、信用していないか、両者の認識ギャップはかなり大きくなっています。それだけに、市場が予想していないことを声明なり、議長会見なりで打ち出すと、ショックも大きくなります。

無視できない「ショック安」の恐れ

例えば、FOMCの声明文で、さらなる利上げの可能性や資産縮小の可能性を書き込むか、イエレン議長が直接、年内の追加利上げやバランスシートの年内縮小開始を示唆するようだと、債券市場のみならず、株式市場にもショックの下げが生じるリスクが高くなります。

逆に雇用の下振れもあり、景気に慎重な見方を出しても、金利低下、ドル安とともに株も下げる懸念があります。

その点、雇用統計を反映して、アトランタ連銀のGDPナウは、4-6月のGDPを年率3.4%成長に引き下げました。コンファレンスボードが出している景気先行指数は足元でも上昇が続いていますが、週次統計をもとに作成しているECRI先行指数は、この2~3か月、頭打ちから低下気味の動きとなっています。

米国のインフレ率、並びにインフレ期待が高まらない中で、利上げを続けると、実質金利の上昇は従来より大きくなり、金利コストの上昇による景気抑制効果は大きくなります。

これは住宅建設、その着工許可件数などに反映されます。市場はイールド・カーブのフラット化ですでに反応しています。これは利ザヤの縮小を通じて金融活動を抑制します。

GSは年内2回利上げと9月の資産縮小表明を予想するが…

FRBメンバーがこれらをどう評価するかで、声明文、議長の会見内容が変わります。

それでも、次の経済危機の前に、金利や資産買い入れの武器を少しでも多く確保しておこうとすれば、景気に負担をかける形で利上げを続け、バランスシートの縮小を急ぐかもしれません。

政権に入り込むゴールドマン・サックスは、年内2回の利上げと、9月に資産縮小表明を予想しています。

市場は、相場の下げを通してこれに「ノー」を突き付ける可能性があります。

好事魔多し

今週から来週にかけて、これら相場に影響しうる大きなイベントが続きます。皆がこのヒンデンブルグ・オーメンを意識するようになると、それ自体が相場の下げを呼びます。その中でイベント・ショックが重なると、株の下げが大きくなります。

ヒンデンブルグ・オーメンは米国株の下げをシグナルするものですが、現実に米国株が大きく下げれば、日本株にも跳ねます。3月中旬からの1か月で日経平均も1000円以上下げました。つまり、米国株だけの下げでは済まない可能性があります。

日米株式市場ともに高値を付けて盛り上がっていますが、「好事魔多し」とも言います。これから1か月は油断をせぬように。


株、2万円で待ち構える日経リンク債の大量償還 1兆円規模の見方も

2017年05月10日 15時04分35秒 | 

日経平均株価は2015年12月以来となる2万円回復を目前に上値が重い。投資家が「日経リンク債」の早期償還に伴う大量の先物売りへの警戒を強めていることが理由の一つだ。

 4月23日実施のフランス大統領選を波乱なく通過したことをきっかけに、海外投資家は一斉に日本株に買いを入れた。4月第4週(24~28日)の投資部門別売買動向で海外投資家は現物と先物で合計8600億円を買い越した。海外勢の買いに対し、売り向かったのは個人だ。4月第4週の売越額は4448億円と今年最大に膨らんだ。

 海外勢の買いと個人の売りを中心とした需給構図で日経平均は節目の2万円に接近した。この構図に日経リンク債の早期償還に伴う先物売り圧力が「伏兵」として登場している。

 日経リンク債はデリバティブ(金融派生商品)を組み込んだ仕組み債の一つ。受け取れる利息や償還時の元本が日経平均の水準で変わる金融商品で、運用難の個人投資家や学校法人などに人気が高い。投資家は仕組み債を通じて日経平均オプションの「プット」(売る権利)を売り、その売却代金が利息に回ってくる仕組みだ。

 リンク債を新規設定した証券会社は、リンク債のプット売りに対応するため、プットを買い、同時にそれをヘッジするため、株価指数先物に買いを入れる。

 この債券の多くには「早期償還条項」がついている。日経平均があらかじめ設定された水準である「ノックアウト価格」に到達した場合、満期日を待たずに元本償還されるという特徴だ。

 設定時から相場が今回のように急騰し、あらかじめ決められていたノックアウト価格に日経平均が接近すると、運用会社は早期償還にそなえて先物を売るという行動を取る。日経平均がノックアウト価格に到達した時点では設定時に購入していた先物買いの持ち高はすべて解消されていることが多い。

 債券情報サービスのインペリアル・ファイナンス&テクノロジーの試算では日経平均を対象とした公募リンク債の残高は8日時点で約1兆5500億円。同社の若勇昌克社長は「2万から2万300万円の間に6300億円程度の早期償還を迎えるリンク債がある」と指摘する。この集計は公募分だけで、私募分も含めれば同じ価格帯で「1兆円規模はあるのではないか」(国内運用会社の担当者)との見立てもある。

 節目2万円前後では早期償還に伴う先物売り圧力は強まることになりそうだ。外資系証券のセールストレーダーは私募分も含めれば2万300円水準まで発生する先物売り圧力は「おおよそ7500億円程度」と試算する。足元の価格水準で先物に換算すると3万7000枚程度の日経平均先物への売り圧力だ。

 日経平均が2万円を突破したとしても日経リンク債の早期償還に伴う先物売り圧力が「伏兵」として存在感を高めている点には注意が必要となりそうだ。〔日経QUICKニュース(NQN) 張間正義〕


DJ-株式投資資金、米国から欧州に移動=調査

2017年05月02日 09時56分30秒 | 

 

 資産運用会社が米国から欧州へと資産を移している。背景には、米経済に対する警戒感が強まっていることと
、欧州経済の回復がようやく本格化しているとの見方がある。

 国際金融協会(IIF)とEPFRグローバルのデータによると、米国株ファンドからの資金純流出額は3月半ば以降
で120億ドルに達した。その前の6週間は400億ドルの純流入だった。

 一方、西欧の株式ファンドへの流入額は120億ドルと、その前の6週間の83億ドルから増加した。

 IIFのデータによれば、ファンドの米国株の組み入れ比率は年初以降、57.89%から56.84%に低下。一方、欧
州株の組み入れ比率は11.88%から12.68%に上昇している。

 このほか、新興国株の組み入れ比率は9.62%から9.64%に上昇している。
-0-

Copyright (c) 2017 Dow Jones & Co. Inc. All Rights Reserved.


【米国ウオッチ】「トランプ相場」の終わりを告げる核心データ (上)

2017年04月05日 09時35分31秒 | 
  • トランプ大統領とともに上昇してきたISM景況指数が下げに転換
  • 現下の好況は90年代の景気拡大期における最終局面と相似形

データ分析の天才とうたわれたグリーンスパン第13代米連邦準備制度理事会(FRB)議長が最も重視した統計の一つである米供給管理協会(ISM)製造業総合景況指数は、3月に7カ月ぶりに下げに転じた。それでも同指数がなお57.2(50が活動の拡大と縮小の分岐点)と高い位置にあるため、市場では製造業の回復に変化はないとの楽観が優勢だが、皆が変化に気付いたときにはすでに手遅れになる。

  この一見すると小さな変化は、大きな変動の予兆かもしれない。ISM製造業総合景況指数が上昇に転じたのは昨年9月だった。前の月の縮小圏から一気に51.7と、拡大圏に浮上していた。10月は52.0と小幅上昇にとどまったが、トランプ氏が大統領選挙に勝利した11月には53.5と伸びが加速している。

グリーンスパン元FRB議長
グリーンスパン元FRB議長
 
Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg *** Local Caption *** Alan Greenspan

  さらに12月54.5、1月56.0、2月57.7と強い伸びを記録。つれて株式相場やドル相場が力強く上昇するにおよび、市場では「トランプ相場」なるフレーズが錦の御旗となり、米金融当局の利上げ再開を難なくこなして一段高へと突き進んだ。しかし「トランプ相場」は夢を追った側面が強く、1月20日にトランプ第45代米国大統領が正式に就任するとともに、懐疑が頭をもたげてきた。世界最大の投資信託会社、米バンガード・グループは「株式市場はシュガーハイ(砂糖の過剰摂取による興奮状態)に陥っている恐れがある」と警戒し始めた。

 

  こうした慎重な見方を背景に、ニューヨーク株式市場のS&P500種株価指数は3月1日に史上最高値を付けた後には勢いを失い、ISM製造業総合景況指数が低下に転じたことと符節を合わせている。そもそも「トランプ相場」なるものは、2009年6月を谷とする今回の景気拡大期で最後の上昇局面と重なって、都合良く調理された可能性が高い。

  選挙中は「現行体制の破壊」を唱えてきたトランプ候補が有利になるのは悪材料として、市場では扱われていた。実際、11月8日にトランプ候補の勝利が伝わるとまず、市場は売りで反応した。その後、トランプ勝利が買い材料へと転換するまで時間はかからなかった。実体経済が上昇局面に向かう中で、トランプ大統領の政策が景気拡大を加速するという大きな夢に市場の期待は膨らんだものだ。

  オバマ第44代大統領が2009年の就任早々に導入した約1兆ドルにも上る史上最大規模の景気刺激策で米国が強くなるどころか、低成長軌道に移行し、インフラは一段と悪化したことを忘れてはならない。トランプ大統領はインフラ投資でその尻ぬぐいに動くようなものだ。これは失敗を重ねるだけだ。そもそも、インフラ整備をする以前の問題として、それを担う十分な人材が払底(ふってい)していることだ。

  オバマ前大統領もインフラ整備をうたい文句としていたが、連邦政府は200万人以上の職員を抱えながら、構想をまとめる能力のある専門家はほとんどおらず、外部のコンサルタントに丸投げされていた。ワシントンではオバマ政権の財政出動が「コンサルタント保護法」と揶揄(やゆ)されていたものだ。

 

  こうした失敗もすぐ忘れられ、新大統領の登場とともに、夢よ再びとなった。しかし、夢はあくまでも夢である。トランプ第45代大統領の手腕に疑問が生じ、さらに実体経済が力を失うにつれ、現実の世界に突き戻されることになる。現下の景気拡大期は今年6月で9年目に入り、さらに2年以上拡大期が続けば、米国史上最長記録を更新する。しかしこれが難しいことを、以下の分析で説明する。

  潜在成長力が弱まっている分、景気拡大局面が細く長く続く可能性も否定できないが、逆に金余りを背景に、株価など資産価格は史上最高の高騰を記録しており、危険信号が点滅している。「トランプ相場」は最後の吹き上げだった可能性も否定できない。

  実体経済に戻ると、ISM製造業景況指数は現下の拡大期で既に2つの山(上昇と下降)を形成し、現在3つめの山を形成する過程にある。「歴史は同じようには繰り返さないが、韻を踏む」。米国の作家、マーク・トウェインが残した言葉である。現下の景気拡大局面は1990年代から今世紀にかけて形成された拡大期と重なる。

  1990年7月-91年3月の景気後退期(チャートの細い赤の縦じま)を経て、2001年3月まで10年間続いた史上最長の景気拡大期において、ISM製造業景況指数は91年1月に付けた39.2をボトムに3つの山を描いて景気後退へと突入していった。1つ目の山のピークは94年10月に付けた59.4、二つ目が97年7月の57.7、3つ目が99年11月に記録した58.1だった。この3つ目の山から1年4カ月後に景気後退に突入する。

  現下の景気拡大期では、同指数はグレートリセッション(2007年12月ー2009年6月、黒みがかった赤の縦じま)最中の08年12月の33.1でボトムを形成した後、11年2月の60.0でピークを付けている。そして2つ目の山は14年8月(57.9)、3つ目の山が今年2月に記録した57.7である。

  1991年から今世紀にかけての景気拡大期のパターンを、今後も繰り返すとすれば、2018年6月に景気後退突入ということになろう。現下の景気拡大局面では、ボトムから3つ目の山に至る期間が90年代より9カ月短い。景気拡大期の寿命が90年代よりも短いことを示唆しており、次回の景気後退入りも早まる可能性が高い。

  ISM製造業景況指数は1948年までさかのぼることができるが、3つの山を形成した景気拡大期は史上最長となった1990年代と、2番目に長い1960年代の2回だけであり、4つ目の山が形成されたことはない。現下の景気拡大局面でも3つの山で終わるだろう。この新山の形成が終われば、次の論点は次回の景気後退期に記録されるボトムの深さへと移っていく。

 (【米国ウオッチ】の内容は記者個人の見解です)


今年こそ暴落がやってくる? ストックマン元議員の「3月15日危機」警告

2017年03月12日 21時42分17秒 | 

元米下院議員で、レーガン政権では米行政管理予算局長を務めたデビッド・ストックマンは「米国経済はこの夏から下り坂となり、経済災害の奈落に落ちていく」と警告しています。「その始まりは、3月15日である」と。(『カレイドスコープのメルマガ』)

※本記事は、『カレイドスコープのメルマガ』 2017年3月2日第197号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

2017年の「米国債務上限問題」は、これまでとはまったく違う

3月15日以降、米政府の一部の機能がシャットダウンする可能性

デビッド・ストックマンは、ミシガン州選出の元下院議員で、レーガン政権では米行政管理予算局の局長を務めた経済通。

ロスチャイルド財閥の米投資ファンド大手、ブラックストーン・グループで、シニア・マネージング・ディレクターを務めた経歴を持ち、ストックマンの意見には多くの専門家が耳を傾けてきました。

彼は2012年頃から、「2008年金融危機後の連邦準備制度理事会(FRB)の量的緩和策は、持続不可能どころか、経済成長の火を完全に消すことになる」と、中央銀行制度のまやかしを糾弾し、「米国の終わり」を強く警告してきました。

2014年には、グリーンスパン元FRB議長を、ひたすら紙幣を印刷させて米国の未来を潰した「史上最凶の中央銀行の詐欺師」と名指しまでしています。そのグリーンスパンは、量的金融緩和が失敗であったことを認めました。

デビッド・ストックマンは、2014年10月、日銀の金融政策決定会合において、9人の政策委員のうち5人が、マネタリーベースで年間80兆円の金融緩和を決定したとき、「日銀の狂った5人の委員が、金融サメをジャンプさせて襲いかからせる」と酷評。

反対した他の4人についても、「彼らは半分だけ狂っているだけマシだ」と、日銀の異次元の金融緩和をボロクソに批判していました。

中央銀行バブルが世界中で始まっている。日本が、再び経済成長路線に乗ることなどあり得ないどころか、破綻は避けられない」と、その舌鋒の鋭さは以前にも増してシャープになっています。

しかし、デビッド・ストックマンの警告は、多くのアグレッシブな投資家にとっては耳障り以外の何物でもありません。

そんな彼らでさえ、つい10日ほど前に行われたインタビューでの、「3月15日以降、すべては急停止する」という真に迫ったストックマンの警告だけは無視できないようです。

2016年にトランプ勝利を予測する『トランプ』と題した本を書いたストックマンは、「トランプが奇跡でも起こさない限り、米国の経済崩壊は止められない」と悲観的な予測を出しています。

ero Hedge(ゼロヘッジ)にアップされた「ストックマンの警告」の要点

世界最大の投資専門投稿サイト・ゼロヘッジ(2月27日アップ)は、「ストックマンの警告」の要点を以下のようにまとめています。

今、市場は過熱しており、何を警告しても焼け石に水の状態だ。

トランプが米国経済の救世主だって?そんなものは妄想だ。まるで、赤ちゃん同士が、バブバブ言い合っているかのようだ。

それに大減税だって?それを押し進めるために何が必要なのかは全く分析されていない。要するに、トランプは罠に嵌められているのだ。

今日、米国政府の債務は20兆ドルをゆうに超えている。それはGDPの106%に相当する。トランプが公約を果たすとすれば、今後10年間で、さらに10兆ドルの赤字を積み増しすることになる

そんな状況でも、トランプは国防支出を増大させるという。彼は企業と国民のために思い切った減税を行おうとしている。彼は、メキシコとの国境警備と法の執行に、今まで以上の予算を投入しようとしている。彼は退役軍人の手当を厚くしようとしている。彼はこの1兆ドル規模のインフラ投資計画を実行するつもりでいる。

トランプが、これらすべてを同時にやろうとすることは狂気の沙汰だ。

すでに帳簿に載っている20兆ドル以上の借金を背負っている国に、いったい誰が10兆ドル以上の借金をすることを許すというのだ。そんなことは、絵に描いた餅、実現しない。

――ストックマンの警告の中には、爆弾発言が含まれている

人々が見落としているのは、2017年3月15日という日付だ。これは、2015年10月の最後の選挙の直前に、オバマとベイナー下院議員がまとめた債務上限の取り決めだ。それは、連邦債務上限を引き上げ、「米国の借り入れ上限を2017年3月まで延長する」というものだ。

これは、2015年11月3日にも資金が枯渇し、迅速に対応しなければデフォルトのリスクを回避できないとする米財務省の緊迫した財政難を反映したものだ。

しかしそれは、2017年3月15日に終わるのだ。そのとき、債務上限は20兆ドルで凍結されるだろう。これは法律で決められているのだ。

今現在、米財務省は約2,000億ドルの資金を保有している。しかし、政府は、毎月750億ドルの資金を取り崩しながら運営している。夏までに、それは底をついてしまう。クラッシュアウトするのだ。

トランプが、それを無視して公約どおり財政出動しようとすれば、それ以後は、借金の青天井だ。

いずれにしても、すべてが止まる。 政府はシャットダウンする可能性がある。

オバマケアの廃止と代替案の実施には、1秒とも無駄にはできない。減税なども夢のまた夢だ。もちろん、1兆ドル規模のインフラ投資刺激策もありえない。

ますます、債務限度額を上回る巨額の財政赤字が増え、もう誰も彼や彼の共和党には投票したくないと言い出すはずだ。

市場崩壊? 3月15日以降に訪れる2つのビッグ・イベント

このインタビューで、ストックマンは、こうも言いました。

市場は容易に20%、おそらくもっと多く修正するだろう…

そして、「現在の株価と、米国経済の実際のパフォーマンとの間には紛れもない断絶があることに注目すべきだと」言いました。

2つのビッグ・イベントの1つは、債務上限危機です。

3月15日を境に、米国政府は法律の定めるところによって、これ以上借金をすることによる追加資金の調達ができなくなります。以後、政府は、毎月の税収のみで運営しなければなりません。

もちろん、それだけでは現在の支出水準を満たすことはできず、このままでは、この夏にも、財務省が保有する約2,000億ドルを使い切ってしまうことは確実です。

米議会が何らかの方法で予算を手当てできないとウォール街が理解すれば、それは投資家による売り浴びせを誘発することになる、とストックマンは警告しているのです。

米議会は、過去、70回もの債務上限の引き上げを行ってきましたが、おそらく、今回、議会は債務上限を引き上げるための法案の提出はできないので、現在の取り決めでは、予算の割り振りをする権限が大統領に与えられているため、まず予算の切り捨てが断行されるだろうとストックマンは見ているのです。

事実、トランプは、気候変動対策のような環境保護局(EPA)の予算をカットし、水質浄化プログラムを中止しようとしています。

それほど予算はひっ迫しており、各省庁の予算カットが進むと、最終的には政府機能の一部が停止する事態を引き起こすでしょう。

もっとも懸念されるのが、債務上限を抑えられるため、オバマケアを廃止して代替プランに移行することが困難になることです。

ストックマンは、それが金融市場に悪影響を及ぼし、現在の市場における強気な楽観主義は、すぐに潰え去ってしまうだろうと見ているのです。

ストックマン「1987年の株価大暴落より、もっと凄まじいことになる」

もう1つのビッグ・イベントとは、連邦政府の利上げです。

ストックマンは、「連邦準備制度理事会(FRB)は、3月15日あたりに利上げを行うつもりでいる」と見ています。

事実、数時間前のテレグラフも「FRB議長のジャネット・イエレンが3月中の利上げを示唆」との記事をアップしました。

「トランプとFRBとの対立が、いよいよ本格化してきた」そうした見方もできないこともありませんが、FRBが通貨の発券権限を独占している限りは、紙幣の印刷の暴走を制御するための政策としては、それは理にかなっているのです。

主流メディアが報じているように、本当に3月15日あたりに利上げが行われた場合、他の通貨に対してドルが強くなるのでドル高になります。

金利の上昇は、反対に、金(ゴールド)や銀(シルバー)などの貴金属の下落要因となります。実際に、イエレンの利上げを示唆するアナウンスがあってから、金と銀は下落しています。

これに対してストックマンは、1トロイオンス当たりの銀(シルバー)価格は、現在の18ドル近辺から4ドル以上、下落すると見ています。

インタビューの最後にストックマンは、「私は、1987年の株価大暴落のときより、もっと凄まじい暴落を演じると予想している」と付け加えました。

1987年10月19日、いわゆる「ブラック・マンデー」では、たった1日でNYダウが前日比で508ドル(下落率では22.6%)も暴落しました。翌日20日の日経平均も一気に連れ安して、前日比3836円安(下落率では14.9%)を記録したのです。

翌日、リバウンドがあったものの、しばらくの間、乱高下を繰り返して、その後、低位で足止めされたのです。このストックマンの見立てが正しいのかどうか、もうすぐ判明します――
続きはご購読ください。初月無料です


DJ-【焦点】ドッド・フランク法撤廃、乱れる与野党の足並み

2017年02月27日 16時15分52秒 | 

 

 【ワシントン】米共和党のホワイトハウス奪還に伴い早期の金融規制改革法(ドッド・フランク法)撤回へ向
けて高まっていた期待がしぼみかけ、撤回までの道は険しいという現実が米議会にのしかかり始めている。

 さまざまな優先課題の一つとしてドッド・フランク法を見直す計画を打ち出したドナルド・トランプ米政権だ
が、今では税制改革など他の政策の方を重視しているようだ。

 本来なら同法修正案の可決を急ぐはずの共和党議員らの動きも見たところ鈍ってきた。下院金融サービス委員
会のジェブ・ヘンサーリング委員長(共和、テキサス州)は2月17日のインタビューで、2010年に成立したドッ
ド・フランク法の見直し案の提出めどを、2月中との大方の予想に反して「数週間中」とした。同じ頃、上院銀
行委員会のマイク・クラポ委員長(共和、アイダホ州)は銀行関係者らの会合で同法の見直しについて、「上院
の現在の雰囲気はこれまで見たことないほどすさんでいる」と先行きに不安を示した。

 一方、トランプ大統領の就任から1カ月間の行動に腹を立てた民主党議員らは、閣僚人事や議会委員会の規則
といったルーティーン業務においても共和党に反対し始めており、両党がドッド・フランク法の見直し案で落と
しどころを見いだすのが難しくなりそうだ。上院銀行委員会のメンバーである民主党穏健派のマーク・ウォーナ
ー議員(バージニア州)は「大統領の行動が(民主・共和両党の)妥協の可能性を一段と困難にしている。そう
なると、もちろん苦境に陥るのは大統領自身だ」と述べた。

 民主・共和両党はドッド・フランク法の一部修正について合意してはいるものの、修正への勢いは失われつつ
ある。両党は数年前から、厳格な規則が適用される銀行の資産残高の下限(現行500億ドル)を引き上げるなど
、地方銀行や信用組合に対する規則を緩和する法案を成立させたい考えを示してきた。

 ドッド・フランク法の見直し案を議会で可決する上での難題は、共和党議員の支持を集めるのに十分な変更を
盛り込みつつも、同法の中核部分を守りたい民主党議員からの反対が多くなりすぎない法案を作成することだ。
上院で共和党は52議席を有するが、大半の法案では可決に50議席が必要となる。

 消費者金融保護局(CFPB)、銀行の自己勘定取引を禁止するボルカー・ルール、大手ノンバンクを「システム
上重要な金融機関(SIFI)」に指定して厳格な規制の対象にする金融安定監督協議会(FSOC)の権限などに関す
る規定について、議員らは今のところ妥協点を見いだせずにいる。

 トランプ大統領の決断は妥協機運に影響を及ぼすだろう。キャピタル・アルファ・パートナーズのアナリスト
、イアン・カッツ氏は、民主党政権が指名したCFPB局長をトランプ大統領が解任するかどうかを注視していると
し、「現時点で(両党間の)協力の精神は極度に弱い。CFPB局長が解任されれば、実際のところさらに悪化する
だろう」と述べた。

 時間的に何を優先するかも難題だ。共和党には、税制、ヘルスケア(医療保険)、インフラ投資など、ドッド
・フランク法の見直しよりも優先させる可能性の高い政策案が多い。クラポ議員は住宅金融システムの改革に取
り組みたい考えを示しているが、経済に与える影響の大きさからもこれは厄介な問題の一つだ。また、スティー
ブン・ムニューシン米財務長官は23日のテレビインタビューで、「やらなければならないことがたくさんある」
と述べ、トランプ政権が最優先する経済政策として税制改革を8月までに完了させる考えを明らかにした。

 金融業界のロビイストらは、ドッド・フランク法の見直し第1弾となるヘンサーリング議員の「金融選択法案
」(2016年9月案の修正版)が月内に公表されると予想していたが、2月17日の同議員のインタビューを聞く限り
、予想よりも遅れる可能性がある。

 ヘンサーリング、クラポ両議員は、来年まで持ち越せない法案にも取り組まなければならない。例えば、今秋
に期限を迎える全米洪水保険制度(NFIP)だ。

 また、大統領が指名する金融部門の要職人事は上院銀行委員会の承認を受ける必要があるが、この時間のかか
る作業はまだ始まってもいない。金融規制当局の空席ポスト9つや財務省の幾つかのポストなど、同委がこれか
ら審議しなければならない指名人事は多い。
 
 これらの人事が承認されれば、ポストに就いた人たちがそれぞれ、議会がドッド・フランク法を変更するより
も早く管轄下の規制を変更できるかもしれない。

 だがそれでも、議員らはドッド・フランク法の修正案を成立させたいと思っている。上院銀行委員会のハイジ
・ハイトカンプ議員(民主、ノースダコタ州)は「地方銀行や中小金融機関の助けとなる確かな成果を得られる
よう、ひとまず政争を忘れて準備に取りかかれることを心待ちにしている」と語った。
-0-


Copyright (c) 2017 Dow Jones & Co. Inc. All Rights Reserved.