彩彩日記 作詞家/シンガーソングライター 大塚利恵のブログ

※こちらは旧ブログです。
新ブログ https://ameblo.jp/rieotsuka-officialblog/

『パリ・オペラ座のすべて』

2010-02-05 18:12:22 | Weblog
http://www.paris-opera.jp/
観て来ました。世界最古のバレエ団のドキュメント映画。
ダンサーの練習風景を観ているだけで美しくて見とれてしまうのだけど、わたしがいちばん興味深かったのは、フランスの人たちの熱い言語表現!日常会話とは思えない、まるで歌詞のような豊かな比喩の嵐。そのまま日本語に訳して話したら、ギャグになってしまいそうです。
フランスのシャンソンって語るように歌う感じがするけど、フランス語は発音上歌いにくい分、言葉そのもので熱い表現をするのかもなあ。

ダンサーも、振り付けの意味を説明する指導者も、芸術監督も、みんなみんなそれはもう朝起きてから寝るまで、洗練されたセリフを読み上げているよう。
“愛し合う男女が、近づくほどに傷つけ合ってしまう”という振り付けを、「シザーハンズ」に例えていたのは分かりやすかったけど。。でも年配の人ほど、端的なものより抽象的な絵を解説するように伝えるのを好むようでした。言葉にすることでイメージが冷めてしまうのを避けるように。。フランスのカップルは結婚して子どもができても年をとっても、ちゃんと時間つくっておしゃれしてデートすると聞きます。胸の中のどんな“熱”も冷めないように、テンションを大事にする国民なのかも。
また、ディベートが教育で重視されていると聞いた事があるけど、それもあってか、みんなものすごい勢いで、語る、語る、語りまくる。最高峰の芸術をつくるオペラ座だからというのもあるでしょうが・・・、圧巻でした。

ところで、芸術監督さんが「若いダンサーたちが、コンテンポラリーなどのクラスがせっかくあるのに、出席していない。」と危惧していたのが気になりました。新しい表現を学ぶのを恐れている、と。
音楽でもそうだけど、新しい表現を学ぶのはクリエイティブなパワーを使うので、産みの苦しみを味わうというか、エネルギーを相当使うと思うのです。クラシック(古典)をただ形にするだけだったらそんなパワーは要らないから、ある意味楽かも知れない。でも、ほんとうーは古典だってクリエイティブな気持ちで表現しないといいものにならないはず。

色々興味深く観ていたのだけど、映画としては、長い!160分、長過ぎる!ドキュメンタリーを撮っているうちに感情移入して切れなくなる気持ちは理解できるけど、やはり心を鬼にして冷徹にカットしてもらいたい。「作品」ですしね。バレエに興味津々の人だけがターゲットならよいけど、もっと幅広い人に訴えられるものだと思っただけに、ちょっと残念。
オペラ座の長い歴史を象徴するような地下の水路のシーン、裏側のスタッフの働き、練習に明け暮れるダンサーの素顔、ひとつひとつは素晴らしい絵だけれど、もっともっとテンポ良く繋げてストーリーを作り上げて欲しかった。

それはともかく、オペラ座では古典しかやってないのかと思っていたら、ものすごい斬新なものまでやっていることがわかって、びっくりでした。さすが芸術の都。懐でかい。
バレエを観に行くのは昔から好きなので、いつかパリでオペラ座を観てみたいと思いました。



最新の画像もっと見る