いままでの慣例どうり、深川に住む住人を中心とした話である。
今回の主人公は火消しの頭の半生記。
佐賀町の鳶宿"大川亭"のかしらで銭太郎の父親である徳太郎は銭太郎が5歳のときに火消しの現場でなくなった。その跡をついだのが5歳の銭太郎。その銭太郎が一人前のかしらになるまでをかいた長編小説。
今までの、料亭のおかみとか1膳飯屋のおかみとかの話とは全然違うおもしろさがあった。歴史小説だはよくおかみが主人公になっているので、なんとなく予想どうりの話というの感じが否めなかったけれど、今回の職業は火消し。
とてもおもしろかった。
火消しの生活など暴れん坊将軍にでてくるサブちゃんのめ組のかしらしか知らなかっただけに、とても新鮮だった。実は今回初めて、あの屋根に登ってフサフサしたものを振っている人がなんのためにいるのか知った。TVでみていると、そんなものを振っている間に火を消せ!とつっこみたくなったけれど、今は納得。参考文書などの記載はなかったけれど、作者、結構江戸の火消し、火事について勉強したものと思える。
今までの山本一力の作品の中でもっともよかったものといえる。