印鑑の楽善堂 四代目店長 平澤 東のブログ

東京 八王子 印鑑文字工房 楽善堂の店長が印鑑や文字の魅力を語る

江戸期の版木(はんぎ)絵を復元

2021年10月30日 | 印鑑関連商品
印鑑 八王子 楽善堂
──── 八王子で印鑑を作り続けて122年 ────

こんにちは。東京、八王子で印鑑を作っている職商人(しょくあきんど)の平澤 東(とう)です。

 神奈川県、相模原市にある古刹、月見山福寿院様からのご注文で、江戸時代(寛政年間、18世紀末)に作られた版木(はんぎ)にある大黒様をゴム印に復元させていただきました。副住職さんが版木を持ってご来店なさり拝見したら、さすがに200年以上の時を経て絵の線が切れている箇所などもありました。

 細い筆を使って線をつなげて、また不要な部分はホワイト修正液で消しました。私にとって復元ができなかったのは、大黒様のお顔の部分でした。長女が美大で日本画を専攻していたので、依頼して書いてもらい笑みのあるよいお顔になりました。

 大黒様のお姿の下にはお寺さんのお名前、左側に「大黒天印施」と副住職さんのご指示により入れました。印施(いんせ)という言葉、印鑑屋のくせに不勉強で知りませんでした。調べたら「衆人の利益となることを印刷して配布すること、またそのもの」とありました。版木(はんぎ)は印刷技術の原型です。江戸時代には広く使われていたと思われます。この版木を使ってお札(おふだ)を印刷、参拝の方々にお寺さんが配っていました。

 楽善堂、私で四代目になりますが、初代の楽善堂はこの版木を彫る職人でした。明治の前半期で印鑑の需要よりも版木の需要の方がまだあったのかと思います。こんなこともあり、江戸期の版木の絵の復元、初代を偲びつつ熱い思いで取り組ませていただきました。



福寿院様ホームページhttp://www.fukujyuin.jp/



▲お預かりした江戸期の版木です。横幅96ミリ、奥行き153ミリ、高さ21ミリです。センチでなく寸・分(ぶ)単位の規格です。
 高さの寸法は、7分(しちぶ、21ミリ)です。浮世絵の版木はこれよりもずっと大きくなります。


▲版木の絵をゴム印に復元しました。透明のプラスチックの台に付けて持ち手部分はアイロン台木(だいぎ)です。


▲お預かりの版木を紙に捺してみました。最下段はお寺さんの名前ですが、読みにくくなりました。


 ▲線を適宜修正、2箇所の文字部分を貼りこんで令和版の印施(いんせ)になりました。




八王子 印鑑 楽善堂のホームページ http://rakuzendo.com

楽善堂の印鑑リフォーム専用ページhttp://inkan-reform.com

英語版のページ、外国人のお客様用ページ http://www.name-stamp.tokyo/

楽善堂、gooのトップペhttp://blog.goo.ne.jp/rakuzendo


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