小林真 ブログ―カロンタンのいない部屋から since 2006

2006年開設の雑記ブログを2022年1月に市議当選でタイトル更新しました。カロンタンは40歳の時に飼い始めたねこです

「Spoiler Alert」(04/13~19)

2009-04-24 00:28:06 | 週間日記
朝の池、気温17.2度(09:00) =04/23 08:45


おおっと、水曜深夜になっちまいました先週日記です。

●4月
13日(月)朝からずっと原稿~耳の炎症治らず。昼、耳だれ詰まってこりゃたまらんと耳鼻科へ~原稿~クロネコヤマト~原稿~うつらうつら
14日(火)当日便のためクロネコヤマト~原稿終了~塾~前田英樹『独学の精神』読了~夜はまた倒れて汗だく
15日(水)起きてCL~競馬の原稿~ラーメン食べたくなってレガシーオブゼルダ状態チェックもあり大麻生・四華郷で味噌ラーメン~西友に寄ってティーチャーズほか
16日(木)夜、ラーメン病が出て、なんとなく熊谷・麺屋味笑*で極ラーメン大盛~原稿
17日(金)車まかせてる中学勤務時代の生徒K君、レガシーオブゼルダを取りに~原稿~塾
18日(土)昼、カレーうどんが食べたくなりのび太へ~競馬は阪神最終9220円で日曜に希望をつなぐ~たけのこを油揚げ、こんにゃくと煮る~玄関に置いた板に躓いて左親指と小指流血
19日(日)皐月賞敗れる~K君レガシーオブゼルダを持ってくる。ラジエータは様子みる、バルブ発火不良はプラグを交換、で話まとまる。まったくありがたい措置~風呂にも入らず原稿

 サッカーはCL、ビジャレアル:アーセナル0.8、マンU:ポルト、リバプール:チェルシー、バイエルン:バルサ0.2

【カウンター09】
ラーメン2/51(*1/21) 他外食1/14 自宅サッカー3/27.2 購入ウィスキー1/24

・・・
いやあ、書かなきゃならない原稿がいっぱいあって、この2週間、数えたら4万文字も書いてました。まいったまいった。
サッカーCLもすでにQファイナルが終了。わがアーセナルは、負傷者もずいぶん戻り調子を上げつつセミファイナルでは王者マンUと対戦。もし、初欧州制覇がここ数年では最悪のスタートだった今年ならそれはおかしいのではないのか、と思いつつ、もちろん勝ってほしいな、何よりウォルコットに期待。

と、ここでは、そのCLのWeb観戦で考えた文化ギャップについて書きましょう。不定期シリーズ「日本人とはどんな国民か」の一環でもあります。

今年のCLはノックアウトラウンドに入る前、国際派フットボールファンでもあるYさんに情報をきき、年間29.99ユーロとスカパーに比べてやたらとお得な「UEFA.COM PREPLAY」に入団して、こりゃいいわい、と楽しんでいました。

で、愛するアーセナルがローマと対戦し、「1-0」で迎えた2nd Leg、どうなんだろうと思っておりました危惧が現実になっていましました。
油断してうっかり画面を起ち上げたところ、「Match Rerun」、「1st Half」「2nd Half」の下に「Match Rerun Extra」の文字が。これでは始まる前から、ホームのローマが1点取って延長に入ったことは明らかです。なんだなんだと思ってみ始めると、前半9分でトッティの野郎が放った絶妙のパスをタッディってやつがスルー、アーセナルDFが対応しきれないでいたところをフアンってやつがかんたんに押し込みました。

なんだなんだ、じゃあこれから80分、両方点入んないのかよ。
すっかりモティベーションは下がり、それでもCLですからみていて飽きはしませんが前後半終了。延長も両者譲らず、なかなか決着つかない緊迫のPKの末、わがアーセナルがQファイナルに駒を進めました。

さらにいうと、UEFAのコメンンタリにもまいります。
この日のゲームでは、もっとも愛するアーセナルのからみたのですが、1stレグがスコアレスだったインテル:マンUなどほかにも楽しみなカードがいっぱいあります。
しかし、アーセナル戦をみていると、「マーンチェスター、ユナーイテッド!……ウェイン・ルーニー!……プレミア・プライド!(だったかな)……」などという単語が耳に入ってきます。私、リスニング力がないので、ぼおっとしてると詳しいことはわかりませんが、こんな単語が飛び交っていれば、こりゃマンUが勝ったんだなってことはすぐわかります。
むう。

高度情報化社会の中、われら海外スポーツファンは、常にあふれる情報の洪水をドリブルでかわすのに心を砕いています。軽やかなウォルコットのようなならいいな、剛のホアキン・サンチェスもいいけど。
これまでに何度も敵ディフェンス陣、いや、あいつらは攻めてくる、情報アタックにっていうとこっちがディフェンスですが、考えてみると守りに入ってます、何しろ知りたくないわけですから、まあとにかく、どんなに気を使っていても知ってしまったということは何度となくあります。

アメリカ大陸の場合は、日本時間午前中のゲームですから半日くらい情報を遮断してればいいと思ってました。
一時、NBAプレイオフをガンガン見てた頃も、生でみたいけど仕事があるから録画でいいや、よし塾だ、晩飯はパン屋まいどやでサンドイッチとごぼうサラダロールだ、あそこならラジオはTBSだから大丈夫だな、と店に入ってごぼうサラダまだあるかなと棚を見た瞬間、
「いやあ、ニックスもがんばったんですけどね…」
ひええ。
またある時は何とか夜までかわして切って、さあ、風呂入ってステープルセンターだ、と思って風呂でJ-WAVEをつけると、LA出身のRYUが、
「いやあ、今日のレイカーズすごかったね、コービーが……」
がーん。風呂に頭を沈めました。

まあ、NBAならまだいいのですが、日本人が活躍するMLBともなるともうどうしようもありません。松井2年目かなんかのワールドシリーズのある日は都内で取材があり、これはもうかわしきれんと腹をくくりました。もちろん帰りにはゲンダイかなんかの広告の縦文字で、「ヤンキース敗れる」。
そういえば、競馬も仕事で録画したりして、ある日帰りに寄ったラーメン屋で並んでいると二人連れの客が、「キングカメハメハってさあ……」などと言い出したので、あわてて耳を固く閉ざしたことがあります。
おしゃべりなマスメディアだけではない。一般のファンまでが、私たちスポーツファンを攻め立てるのです。

この点についてすばらしいのは、国内の二大海外サッカーテレビメディア、WOWOWとスカパーです。
以前実況を担当していた、当時の塾生どもにも人気抜群だった岩佐徹アナはある年のCLグループリーグ最終日、やはりUEFAが他場の結果を画面に流すのに対し、「申し訳ございません、結果が出てきてしまいます、お知りになりたくない方はボリュームを絞って……、いや画面の一部を……」(多分そんな内容)と申し訳なさそうに話し、岩佐の後継者として期待する柄沢晃弘アナも一度、「申し訳ありません、私はこの結果を申し上げたくないのですが、いえ、といわれたのでいいます……」と、おい、大丈夫かサラリーマンじゃないのか柄沢、と抱きしめたくなるような熱弁を振るったことがありました。
CLは数試合を同時生中継するスカパーなんて、もうほかに試合なんてやってんのって感じで、終わるまでまったく触れません。

そこいくと、前シーズンからプレミアの放送を始めたNHKはだめでした。いつもその後に録画でやるのに結果をしゃべってしまうので、さすがの私も、視聴料を払っているのは父親なので偉そうなことはいえませんが要望のメールを送りました。
取ってあったのが以下の内容です。

=====
こんばんは、今シーズンから放送が始まり、いつも楽しんでいます。

さて、要望です。
いつもゲーム中にほかの対戦の結果を放送してしまいます。たとえば今夜はビッグ4の対決ですが、新聞などをできるだけ遠ざけて結果を知らないで当日の再放送を楽しもうというファンはけっこう多いのではないでしょうか。確かに今夜の場合などは選手たちも当然知っているでしょうが、知らせるメリットと知らせないメリットを考えれば後者の方が大きいと思います。知りたい人はいろいろ知る手段はあるはずです。
勝手な意見で恐縮ですが、ご検討のほどよろしくお願いします。
=====

こう思って黙っていられなかったのは私だけではないと信じます。いずれにしてもこの夜、NHK側は視聴者の側に譲歩し、ゲームが終わったあたりで、
「では、これからアーセナルとマンチェスターユナイテッドの結果を申し上げますよ。ききたくない方はスイッチをお切りください」
となったので、もうゲームの結果はどうでもよくなったほど溜飲を下げました。

こういう情報抑制は、「ネタばれ」にとして、とくに一般ユーザーも多く書くようになった映画レビューなどに現れています。たとえば大手「Yahoo映画」にも、「ネタばれあり」というチェック項目があることをご存知の方も多いでしょう。
少し調べると「ネタばれ」には「Spoiler Alert」という英語があることも知りました。「台無しにするので注意」とでも訳せますね。

さて、UEFAに叩きのめされた私は、こういった「ネタばれ」回避というのはどのような文化的背景を持っているのだろうと考えました。
まず思い出したのはアメリカ本国です。オリンピックに興味がないとよくいわれますが、アテネかシドニーの時に生中継はなく、ニュース番組では「チロリンチロリン」と鐘を鳴らして、「これからオリンピックの結果をいいますから注意してください」といってからニュースを読み始めた、という話をどっかでききました。さすがに合理的です。
しかし、そうだと思って米YahooUSAのMovieを、とくにツイストがキモであるヒッチコック『サイコ』と『レベッカ』、新しめなところで『レインディアゲーム』をみてみましたが、「Spoiler Alert」のような、とくに決まったフォーマットはないよう。少し読んでみても、「この作品のプロットはツイストがいっぱいあってすばらしい」のようなことは書いてあっても、それだけのようです。

考えてみると、結末について話すことは、それほど悪いことではなかったのかも知れない。
そう思ったのは文学作品、たとえば三島由紀夫『奔馬』や確か谷崎潤一郎『細雪』、どちらも新潮文庫で結末が、まあ、『奔馬』は『豊饒の海』全体を知っていれば当たり前なのですが、きちんと裏に書いてあって、これでいいのかなと思ったことを思い出しました。三浦綾子『氷点』なんかも、古本で買いましたから、ひょっとしたら書いてあったかも知れません。

スポーツに関してみれば、日本のプロ野球やJリーグは、スタジアムでも放送でも、結果、経過をいうのは当たり前だ。そう考えてみると、情報抑制にぬかりないWOWOWとスカパーの方がマイノリティなのではないか、と思ったのです。
さらにいえば、これは加藤幹郎『映画館と観客の文化史』のレビュー*を書いた時に思ったのですが、映画さえもわれらが高校の頃、1980年くらいまでは途中からでも普通にみてた、ビデオに撮れなかったテレビ映画も同じで、「帰った時間からみる」でけっこう楽しんでいたのです。

そのうち、国際派サッカーファンYさんに会うことがあったので、欧州「Spoiler Alert」事情についてきいてみました。要約すると、欧州ではサッカーは生でみるものだから、そもそも同じ日にやってるほかのゲームを後でみるってことはあまりないんだと思います、「UEFA.COM PREPLAY」はもともとリプレイを楽しむためのものなんで、私はけっこう「LIVE」の方でみちゃうんです、とのことでした。

うーん、そうだよな、このへん「クラス」の概念が日本と違うだろう欧州は血も涙もないので、お前さん年間29.9ユーロしか払ってないんだろ、「LIVE」のお金払ってくださいませんか、って感じなのかな、確か1ゲーム1.99ユーロだったな、2ndレグを心おきなく楽しむにはやっぱそのくらいはらわなきゃか、と思ったりもしましたが、試しにクリックしてみると1ゲーム10ユーロってあります。何だろう、1.99ユーロじゃないのかよ、これはまだ意味不明です。

さて、これら一連の「Spoiler Alert」についてよく考えてみると、こうも思えます。
確かに十時間近い時差のハンデがあるとはいえ、おれらが戦ってる情報抑制なんて、いつも批判してる「手間インフレ」「気づかいインフレ」で「内圧」が高まってる日本社会そのものじゃないか、そうだ、日本人っていうのは、つい、相手が知りたくないことを知ってしまったら悪いからとついつい考え過ぎてしまう、よくも悪くもそういう人たちなんだ。どうですれば、このよさを活かせて、そしてインフレ化を止められるのだろう。
世界の人々はそんなめんどうなこといわないでサッカー楽しんでんじゃないか、そりゃ、スカパーなんて月に3600円も取ってんだから、まあ、そういう気づかいもありかも知れないけど、それにしたって実は本来の楽しみ方じゃなく、インフレ化した楽しみなんがないだろうか、そうだ、おれらはあまりに気づかいされ過ぎて当たり前になってすっかりだめに、それこそスポイルされちまったんじゃないか。

なら、そもそも、「知らない」はどういうことか。
中学生や高校生と話してて、たまに「知らない効果」について考えます。三倍近く生きている者として、彼らの「知らない」の情報の出し入れをどうするか、よくわからないことがしばしばあるのです。
たとえばたまに中学生も、仲間内の、いわば「内圧」の高さを鬱陶しがったりします。そんな時、どちらかといえば「解放・拡散」の方がよさそうだと判断される時は、「いんだよ。どうせずっといっしょにいるわけじゃねんだから。30年ぐれえすれば、忘れちゃうんだから」と、彼らがそれを理解するかどうかは別にしてお手軽な「ネタばれ」を。たとえば、進路についてうだうだいっていれば、「いんだよ。だって、たとえば電気科行ったって電気に関係ねえ仕事してるやつの方が多いんだから」と、これもけっこうみもふたもない「ネタばれ」をいっています。

こういうので、いいんかなあ、とは思いつつ、じゃあ、そういう時に「友だちは大事だよ。中学校の友だちって一生続くんだから」とか、「どの高校を選ぶのかって一生を決めるんだから、大事なんだから」などという、映画でいえば「十年に一本の大感動作! 全世界が泣いた!」なんてインフレ化が進んだ宣伝文句をいっていたずらに「内圧」を高めるより、ずっと彼らを考えさせることになる、そう思うのです。

それでいながら、彼らの「決定」については、はっきりした方向を打ち出すことはできないのもまた確か。
たとえばこの間、情報科の高校生と「資格」の話をした時も、よく話をきくPCを自作したり、携帯ゲーム機を改造したりする彼のクラスメイトや、その高校生も会ったことがある二十代後半のコンピュータ業界で働くやつを引き合いに出したりしながら、「資格は取っといて悪いことはないけど、それはいいとして、そのPCが得意なやつみたいにより詳しくなっちゃった方が後々武器になるんじゃないか」なんてことをいってたりします。何しろ、「いい学校、いい会社」っていうのさえ、不確かなものになってもいるのです。
この前の『世間知らず』のコメントで、こうも書きました。

 いやあ、なんというかたとえば若いのに、「お前は世間がわかってない」なんてことはいいたかないし、まあ、「おれはこうだったけど、あんまり参考にならならねえだろう、なんつったて世間知らずなんで、でも気はつけてんだ、世間知らずだから」っていう感じでいます。

たとえば、交通事故のこわさは、なかなか当事者にならなければ実感できない、それも確かかも知れません。
でも、「Spoiler Alert」。どうすれば、うるさくて「ネタばれ」にならないですむか、それでいながら「知っていること」をうまく伝えられるか。
どうせサッカーみるなら結果知らない方がわくわくする、それは中高生の「これから」も同じではないか。
だから、情報の出し入れに、なんだかんだと心砕いているのです。

 *加藤幹郎『映画館と観客の文化史』のレビュー(http://blog.goo.ne.jp/quarante_ans/e/e75c6a3e74fd0e84419a19a909e42cf7

(BGMはimeemで集めた badly Drawn Boy http://www.imeem.com/people/FwgvvZ_/playlist/AVg7eT5s/artist-badly-drawn-boy-music-playlist/。やっぱりポップ職人。これはすばらしいインフレです)

暑くなってきたのでここにいることが増えました =04/16 14:56


今年も咲きました。先週の答えは最初これかと思ってました =04/18 14:25


やっぱり絞りきれず二枚掲載 =04/15 08:40


先週の答え、拡大 =04/18 14:19


のび太、カレーうどん


外には何があるのかな、「Spoiler Alert」 04/18 10:46
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