墨汁日記

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銅板

2005-09-25 09:43:37 | まち歩き
 関東に台風が近づいているらしい。「リタ」とかいう名前らしいが、本当だろうか。良くわからん。今日は休みなので、朝の散歩に出かけた。
 ところで、去年の春ぐらいから、近所の神社で新しい社を建設中なのだが、いつまでたっても完成する様子がない。俺もかっては建築業のはしくれ、板金屋だったので、一戸建てやアパート、マンションの工事に何度か参加したが、こんなスローペースな工事は見た事がない。やはり、寺社建設は違うなと、感心する。
 普段は、足場のまわりにグリーンのネットや、防火のシートを張りめぐらし、目隠しされている現場が、今日はそういったものをグルグルと巻物状に巻いて畳み込んでいた。台風の大風に備えての養生である。ネットなんか、大風でアッちゅー間に吹き飛ばされる。下手すると、凧の骨組みのごとく足場の単カンごと宙に舞う。
 目隠しのシートが巻き畳まれているので、工事の進行状況が良くわかる。基礎は完成。柱に天井。屋根も八分ぐらいは完成しているか。屋根は銅板ぶき。なかなか見事に葺かれて、さすがと感心する。銅板は難しいのだ、何が難しいって、銅板は柔らかいので踏むと醜くつぶれる。屋根は下から上へ葺いていく。葺き終わった屋根は、屋根職人の通行路となる。ようするに、普通に屋根を葺いていくなら、自分が施行した屋根の上を歩かない限り、地上に降りられなくなると言う事だ。屋根の上を歩いてはいけないなら、屋根職は二度と地上に戻れない。屋根を葺き終わり棟を完成させたら、棟の上で白骨になるまで鬼瓦でもやってなきゃならなくなるから、屋根職は、平気でズンズン自分が葺いた屋根に足跡つけながら地上に戻る。だが、胴葺きの屋根はそうはいかない。踏めば確実に潰れる。一応、潰れにくい場所はあるが、やっぱり潰れる。あと銅板が難しいのは、腐食に弱いというところか、銅板に汗をたらせば、半日で黒ずみ変色する。手の油でも変色する。体液をなるべくつけぬ様、手袋装備で銅板に接してやらねばならない。
 なんにしろ、銅板葺きは難しい。それだけ、板金屋の腕の見せ所でもある。


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