墨汁日記

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徒然草 第一段(3)

2005-07-27 19:27:03 | 徒然草
 人は、かたち有様のすぐれたらんこそ、あらまほしかるべけれ。物うちいひたる、聞きにくからず、愛敬ありて、言葉おほからぬこそ、飽かず向はまほしけれ。めでたしと見る人の、心劣りせらるる本性みえんこそ、口惜しかるべけれ。
 品・かたちこそ生まれつきたらめ、心はなどか、賢きより賢きにも移さば移らざらん。かたち・心ざまよき人も、才なく成りぬれば、品くだり、顔憎さげなる人にも立ちまじりて、かけずけおさるるこそ、本意なきわざなれ。

<口語訳>
 人は、形有様の優れていていることこそ、本当に望ましいのだ。物言い、なんとなく聞きにくくなく、愛敬あって、言葉多くないなら、飽きずにつき合っていける。立派と思う人の、がっかりさせられる本性見てしまうと口惜しくもなる。
 家柄や容姿は生まれつきだが、心は違う、賢きより賢きに移せば移らないだろうか。容姿や品性良い人も学問なければ、家柄もない醜い連中に入り交じられ、わけもなく蹴落とされ不本意な状態となる。

<意訳>
 人間、美しいのが望みだよね。話し方も聞きにくくなくって、愛敬あって、無駄愚痴言わない奴は友達に最高だね。でも、そんな奴のがっかりするほどの馬鹿さかげんを見ると嫌になるね。
 親の財産や容姿なんかは変えようもないけど、頭は変えられるだろ。賢くなろーよ。すごい美人がつまんないおばさん連中に取り囲まれてヘコヘコしてんのは見てて嫌になる。

<感想>
 今日の兼好法師はいつにもまして言いたい事を言っている。自分には学問があってイケてる奴という自信がなけりゃ、ここまでは言い切れない。
 だが、これは一昨日からの文章の続きなのだ。そして、今日の文章で第一段は、とりあえず終わる。
 一日めで、兼好法師は「この世に生まれた以上は望みごとばかりが多いよな」で文章をはじめた。とうぜんに、今日の文章もそれにかかって終わる。
 一日めで、現世の出世への嫌悪。二日めで、坊主への嫌悪。三日めで容姿や口ばかりで内容のない奴への嫌悪で閉めた。
 ようするに、兼好法師は第一段で、「この世に望む事は多いが、天皇でもない奴が多少の出世でいばるのは馬鹿丸出し。坊主が現世で出世しようと思うのは仏の教えにすら背いた大馬鹿野郎。見た目が良くても、内容がない奴は死んで良い馬鹿。馬鹿呼ばわりされたくなけりゃ内面を磨け。勉強しようよ」 と言いたかったらしい。お前は何様だとも思うが、いっそ清々しく好ましい。


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