墨汁日記

墨汁Aイッテキ!公式ブログ

徒然草 第二百四段

2006-01-25 18:36:51 | 徒然草
 犯人を笞にて打つ時は、拷器に寄せて結ひ附くるなり。拷器の様も、寄する作法も、今は、わきまへ知れる人なしとぞ。

<口語訳>
 犯人を笞(しもと)で打つ時は、拷器に寄せて結びつけるのである。拷器の様も、寄せる作法も、今は、わきまえ知る人なしだと。

<意訳>
 罪を犯した人間をむち打つ時には、拷問器に寄せて縛りつける。
 拷問器の形状も、拷問器に縛りつける方法も、今では知る人ない。

<感想>
 テキストによると。
 「笞(しもと)」は、木の細枝で作ったムチの事である。
 「苔(こけ)」ではない。
 このムチで罪人の尻を打ったそうである。きっとビュンビュンしなって、とても痛かったのであろう。
  しかし、どこかのどかな刑罰だ。
 それというのも、この刑罰は貴族の警察である「検非違使庁」の刑罰だからである。
 武士の刑罰だったらこうはいかない。情状酌量もなく「十両盗めば打ち首」で「大八車で人をひき殺せば死罪」なのである。
 貴族の刑罰は、なんだかお気楽で優雅な感じがする。
 「島流し」だって一歩間違えて楽しんじゃうとリゾートだ。
 ようするにだ。
 もはや、兼好の時代の「検非違使庁」には、「実務執行能力」もなければ、「実務の方法を知る人」さえいなくなっていた。その事を兼好は書きたかったらしい。

原作 兼好法師


最新の画像もっと見る

コメントを投稿