犯人を笞にて打つ時は、拷器に寄せて結ひ附くるなり。拷器の様も、寄する作法も、今は、わきまへ知れる人なしとぞ。
<口語訳>
犯人を笞(しもと)で打つ時は、拷器に寄せて結びつけるのである。拷器の様も、寄せる作法も、今は、わきまえ知る人なしだと。
<意訳>
罪を犯した人間をむち打つ時には、拷問器に寄せて縛りつける。
拷問器の形状も、拷問器に縛りつける方法も、今では知る人ない。
<感想>
テキストによると。
「笞(しもと)」は、木の細枝で作ったムチの事である。
「苔(こけ)」ではない。
このムチで罪人の尻を打ったそうである。きっとビュンビュンしなって、とても痛かったのであろう。
しかし、どこかのどかな刑罰だ。
それというのも、この刑罰は貴族の警察である「検非違使庁」の刑罰だからである。
武士の刑罰だったらこうはいかない。情状酌量もなく「十両盗めば打ち首」で「大八車で人をひき殺せば死罪」なのである。
貴族の刑罰は、なんだかお気楽で優雅な感じがする。
「島流し」だって一歩間違えて楽しんじゃうとリゾートだ。
ようするにだ。
もはや、兼好の時代の「検非違使庁」には、「実務執行能力」もなければ、「実務の方法を知る人」さえいなくなっていた。その事を兼好は書きたかったらしい。
原作 兼好法師
<口語訳>
犯人を笞(しもと)で打つ時は、拷器に寄せて結びつけるのである。拷器の様も、寄せる作法も、今は、わきまえ知る人なしだと。
<意訳>
罪を犯した人間をむち打つ時には、拷問器に寄せて縛りつける。
拷問器の形状も、拷問器に縛りつける方法も、今では知る人ない。
<感想>
テキストによると。
「笞(しもと)」は、木の細枝で作ったムチの事である。
「苔(こけ)」ではない。
このムチで罪人の尻を打ったそうである。きっとビュンビュンしなって、とても痛かったのであろう。
しかし、どこかのどかな刑罰だ。
それというのも、この刑罰は貴族の警察である「検非違使庁」の刑罰だからである。
武士の刑罰だったらこうはいかない。情状酌量もなく「十両盗めば打ち首」で「大八車で人をひき殺せば死罪」なのである。
貴族の刑罰は、なんだかお気楽で優雅な感じがする。
「島流し」だって一歩間違えて楽しんじゃうとリゾートだ。
ようするにだ。
もはや、兼好の時代の「検非違使庁」には、「実務執行能力」もなければ、「実務の方法を知る人」さえいなくなっていた。その事を兼好は書きたかったらしい。
原作 兼好法師
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