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墨汁日記

墨汁Aイッテキ!公式ブログ

平マ233 死んだら死ぬ7

2007-01-04 20:52:25 | 

 キレイゴトで人は救えない。
 監視しているだけでも自殺は止められない。
 死にたい人の気持ちはなんとなく分かる。でも、どうしても分からないのは死を選んでしまう最期の心境だ。何故、自殺者は「最期の一歩」を軽々と踏み越えて死を選べるのだろうか? 死が怖くないのだろうか?

「死にたい奴は死ね! 死にたい奴はみんな死ねばいいと思う!」

「死神ダメだよ! 口が裂けてもそんな事を言っちゃダメだ!」

「うるせぇ。死にたい奴はみんな死ねばいいんだ!」

「信じさせて。死神なら得意のへ理屈で全ての自殺者を救えると」

「へ理屈で人が救えるかっ! 死ぬ奴は死ぬんだ!」

「ダメだよっ。なんの為のへ理屈なんだよ! その程度のへ理屈で『愛』を破壊できるものかっ!」

「そ、そうだった。
 あくまで俺の最終目標は『愛の完膚なきまでの破壊』。
 たかが自殺志願者の1人や1万人くらい言いくるめられなくて野望の達成はない!」

 そうだ死神!
 この物語の作者はまるでアテにならないぞ!
 私達が頑張んなきゃ未来はない!

 ふとみると、protozoa はズボンの中に両手を突っ込んで安眠していた。


平マ232 死んだら死ぬ6

2007-01-04 20:28:56 | 

「自殺は増えすぎた人類の生き物としての本能かもしれない。増えすぎたレミングが海に向かうように、飛蝗と化したイナゴが群れをなして破滅めざして飛ぶように、増えすぎたヒトのストレスが本能的に死を選ぶのかもしれない。現代という時代に生まれたヒトの動物としての本能が、多くの人に死をささやくのだろうか?」

「そんな本能とか言い出したら、何も分からないし、何も出来ない! 何か救いはないの? なんでもいい!」

「自分の頭でものを考える知性と、純粋な生きる欲望」

「それが自殺を望む人間の心を癒せるの?」

「分かんないけど、知性だけでも欲望だけでも人は救われない。知性と欲望の両方をあわせもつ事で人の心は絶望を乗り越えられる力のようなものを手に入れらそうな気がする。無理かもしれないけど」


平マ231 死んだら死ぬ5

2007-01-04 20:16:33 | 

「自殺と言えば、子供達の自殺があいつぐが、これは子供達の復讐なのだろうか?」

「自殺は、追いつめられた子供達にとって最後の親や世間への復讐方法なのかもしれないよ」

「そう考えるなら、俺が思っている以上にこの社会の内部崩壊は進んでいると考えられる」

「でも、いじめられて死にたくなる気持ちは私にも分かるよ。でも、本気で最期の一歩を踏み出すその最後の心境は分からないな」

「死を選ぶ人間の思考には余裕がないのだろう。死んで楽になるか、このまま死ぬまで苦しむかのどちらかしかないとまで思い詰めている」

「生きるか死ぬかの二者択一?」

「そうだな」

「もう死ぬしかないかなーってとこまで落ち入ってんだね」

「そして死の誘惑に負けて死を選ぶ!」

 自殺をする人間の、思考の筋道は途中までなら私にもなんとなく分かる。 でも、普通なら自殺を考えるほど苦しい状況でも、いざ自殺する直前となれば死ぬのは怖いと考えて自殺する事を躊躇するはず。
 でも、本当に追いつめられた人間が死を怖れるかどうかは私には分からない。


平マ230 死んだら死ぬ4

2007-01-04 20:00:00 | 

 死神がバンと一枚のプリントアウトされた A4サイズのインクジェット紙をコタツの上に出した。

「これは死神である俺の元に届いたメールだ。このブログ『日記』の読者からきたメールだ。読み上げてくれ」

 私は、死神の言う通りに紙にプリントされた文字を読み上げた。

「死神さんこんばんわ。
 もう消えてしまいたいと本気で思って親の携帯に遺書まで送りつけ、いつでも死ねる状況にしておきました。
 死ぬことは自分を支えてくれた人達の気持ちを裏切ることになりますが、どうしても死にたいと思っている自分の気持ちを止めることは誰にも出来ませんでした。
 無駄だったのです。私という存在そのものが。私の事なんか考える暇があるのなら私の事なんてほっといて、みんなにはもっと別のことに頭を使ってほしいのです。
 そんな中で死神さんの「死は最後の救い」になるという話はとても参考になりました。ありがとうございます」

 私は自分が読み上げた内容に驚いて叫んだ。

「コレって自殺の予告状じゃん!」

「まぁな。このメールだけでなく似たような内容のコメントも届いている」

「死神が悪いんだよ! 死神が『死』は救いだみたいな事を言うから!」

「うん。責任を感じている」

「死神が悪いんだよ! 私は知らないからね!」

「うん、俺の発言に対しては俺が責任を取る。あのとおり作者の protozoa は全く責任の無い人間だ!」

 見ると、protozoa はもう発言権が無い事を良いことにして、スタジオの隅で耳をほじりながら鼻毛を抜いて寝転がっている。

「作者が責任感ゼロなら、この問題は登場人物の手で何とかしなけりゃならない問題だ!」

 うわぁ。私達はとんでもない作者に創造されてしまったようだ。