絶版プラモデルやじ馬考古学・ボックスアート美術館(なつかしき50~60年代アメリカプラモの世界)

古き良き時代の絶版プラモを発掘する、インターネット考古学。現在、・ボックスアート美術館にてエレール特別展を開催中!

ジュピターーC編「パーツを楽しむ:繊細に、かつ大胆に」

2006年11月13日 | プラモデル


諸君!
おかげさまで、ワシの講義も評判がいい。
これからも、バリバリいくぞ。
喝!

プラモデル野次馬考古学

「パーツを楽しむ:繊細に、かつ大胆に」



最初から、いきなり話が脱線します。
このキットが初めて発売されたのは1958年。
グンゼがレベルのキットを国内生産するはるか前のことです。
もし、このジュピターCの金型がMADE IN JAPANだとしたら、そして当時のジュピターCのキットが、日本国内で生産されていたとしたら、みなさんはビックリすると思います。
確証はありませんが、「マルサンーブルマァクの仕事」という文献に気になる記述がありました。
それは、マルサンがレベルと提携を結ぶ交渉をしていたときの話ですが、当時のレベルはすでに金型の製作とプラモデルの成型を日本で行っており、日本国内で生産されているのであれば、流通の面からそのまま国内で販売した方がいい、というのが、マルサン/ラベール提携のいきさつらしいのです。
つまり、グンゼ/レベル版以前にレベルキットの国産品が存在したわけですね。
マルサン/ラベール提携品は、アメリカで生産したものをマルサンが国内販売したものとばかり思っていましたが、事実は違っていました。
提携が行われたのは、1960年。それ以前から日本でレベルのキットが生産されていたとすれば、このジュピターCも、当時日本で金型の製作、キットの成型がされていたかもしれません。




さて、この文献を引用すると‥‥

『一九六〇年三月、(中略)交渉を開始した。
その四ヶ月後、自宅に座布団や、浮世絵をインテリアに取り入れるほどの親日家である社長のルイス・グレーザーに承認され契約実現の運びとなったが、この商談にはレベル本社も知らないウラがあった。当時同社はロサンゼルスに下請の金型工場を持っていて、その工場長が日系二世だった。そしてその工場長の人脈から当時のレベル社新製品の金型製作を大阪の東金型と埼玉久喜の池上金型に、成型を大阪の昭和精機と岐阜の岐阜精機に、それぞれ下請として発注していたのだ。当時の日米の経済関係からして、まさに今の日本玩具業界が東南アジアに下請工場を多く持っているのと同じ状況だった。(中略)日本国内で製造しているのならば、先に日本で売った方が流通の面でもお互いメリットがあるのではと交渉を開始したのだ。この時までルイス社長は自社の製品が日本で作られていることをまるで知らされておらず、事の真相を知らされて大変驚いたという。しかし親日家という事が幸いし提携プランは順調に進み、同年八月から実現の運びとなった。この提携ブランドは「マルサン・ラベール(初期のころ、レベルはラベールと呼ばれていた)」と呼ばれることになった。九九頁~一〇〇頁』

このジュピターCの金型が、日本で作られたものかどうかは、わかりません。
しかし、その可能性があると思えば、野次馬考古学の成果のひとつになるかもしれません(自画自賛)。


ジュピターCのパーツは、ヒストリーメーカーズのものを使用しました。
基本的に素材の色が異なるだけで、パーツそのものは同じです。

ロケット本体は、レッドストーンと同じです。
レッドストーン、ジュピターC,そしてマーキュリー/レッドストーンの3役をこなした名優です。お疲れさまでした。



この繊細なパーツ群。1958年当時、ここまで再現できるメーカーは1~2社しかなかったはず。まさに、驚異です。







ランナーが曲がった状態なので見にくいですが、線路がモールドされたベースも地面に砂利がまかれた状態をうまく再現してあります。
また、ガントリータワーに取り付ける作業プラットホームも、滑り止めの模様がちゃんとモールドされており、芸の細かいところを見せています。
また、人形も小さいながら良くできています。この時代、ここまで細かく再現できるとは!!
高い技術力には、ただただ脱帽します。

続く



「ボク、戦うフリして、ラクしてます。

ボクって、天才?」




バッカモン!!

そんなこと、100%バレバレじゃ!

キサマみたいな、糞野郎は

一生便所掃除だ!! 




次回は、野次馬考古学のルーツに迫ります。

キーワードは、「グラントハイツ」、「PX」、「フォレスト・シャーマン」です。

次回のチラリズム                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                            

                                                                                                                                                                                                                                                                                  

                                                                                                                                                                                                                                                                                                               
                                    
ダイナミックな構図に圧倒されます。
戦う船のボックスアートは、これでなくちゃ。


                  プラモデル野次馬考古学