印刷図書館倶楽部ひろば

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印刷図書館倶楽部 ≪月例会報告/2016年9月度≫

2016-09-23 11:19:21 | 月例会
[印刷]の今とこれからを考える 

        「印刷図書館クラブ」月例会報告(平成28年9月度会合より)

●店頭でのマーケティング活動に参画していこう

消費財関連のマーケティング分野において、生活用品を商品として消費者に販売する「店頭」は、もっとも効果的かつ強力な顧客接点とされている。セールスプロモーションの手段として、昔からPOP広告が多用されていて、印刷業界にとっても馴染み深い場所でもある。商品の特長や利点をいかに訴求するか、いかに購買につなげるか――店頭での働きかけ(インストアマーケティング)は、小売業の盛衰に関わるほど重要な要件となっている。スーパーストアやショッピングセンターなどにいくと、いま流行りのデジタルサイネージ、プロジェクションマッピングによくお目にかかる。凹凸のある商品に絵柄を投影するような本格的な映像システムでなくても、例えば、白いスクリーン上にプロジェクターで映像を映し出して、宣伝にこれ努める店舗も少なくない。印刷会社として、このようなマーケティング動向に強い関心を寄せて、積極的に参画していくことの意義は決して小さくない。


●コンテンツの取り扱いに支援サービスの余地あり

大手の印刷会社が商品棚に直接、はめ込むことのできる特殊な形状のスクリーンを開発したことが関心を集めている。棚にある個々の商品の宣伝文句、とくに訴求したい内容、時々刻々と変化する価格を、まさに売りたい商品のすぐ傍で次々に表示して、消費者の目を引こうという作戦である。これらの情報は、棚の奥にプロジェクターを組み込んでおいて、そこから投影する仕組みとなっている。商品棚に設置されている電子媒体としては、すでに価格を表示する液晶パネル(電子棚札)が浸透してきたが、何分、画面が小さく価格だけしか表すことができない。この新製品は、こうした欠点を根本から払拭する画期的な試みといえる。宣伝文句や価格をコンテンツ情報としていかに効果的に制作し管理するか。印刷会社が新しい支援サービスとして取り組める余地、可能性が大いにある。その意味からも、インストアマーケティングにみられる最近の動きは注目に値するだろう。


●経営分析をしなければ、有効な改善策は見出せない

優れた企業経営をおこなうには計測値、とくに主要な経営指標(KPMs)に基づいて自社の経営実態を自己診断し、さらに収益性の違いなどを他社と差異分析したうえで、有効な改善策(アクションプラン)を講じる必要がある――こんな観点から、すぐ実行できるようわかりやすく説いた道筋を、例によりアメリカの印刷産業団体PIAが提示している。それによると、印刷会社(ただし、製造業としてのプリンター)にとって重要と思われる8つの経営指標を選んで、①自社はどのように実施すべきかの問題点を見出し→②なぜ自社の収益性レベルはこの程度なのか→③改善するために自社は何をするべきか、と3つのステップを踏んで取り組んでいくべきだとする。②を確認する際には、印刷業界内のプロフィットリーダーとされる企業群、業態や企業規模の類似した同業者からなる企業群と比較する必要があり、また、③を模索するときには、工場現場の現状にまで分析項目を掘り下げて、特定の改善内容を探らなければならないとしている。


●自社の経営効率のレベルはどの程度かを知ろう 

プロフィットリーダーおよび類似同業者と比較したとき、自社の売上総利益率、売上利益率が悪いとしたら、工場従業員一人当たり総利益額、社員一人当たりの利益額、工場従業員一人当たり売上額、社員一人当たり売上額、さらには工場従業員一人当たり付加価値額、社員一人当たり付加価値額のいずれが低いのか、その差はどのくらいなのか……。そうした差異分析を徹底的に進めていくことで、自社の経営効率のレベルがどの程度なのか、どこに問題があるのかを理解できる。なぜ、自社はプロフィットリーダーではないのか? KPMsに焦点を当てて、収益性を高めるための切り口を探ることができたとしても、それでは、次にどのような手を打ったらよいのだろうか。


●分析を掘り下げると戦略的な手立てが見えてくる

問題点をどうすれば解決できるのかを正確に判断するために必要なのが、より詳細な差異指標(VMs)である。企業規模、生産プロセス、製品分野が似通った企業(とくにプロフィットリーダー群)と比較することによって、具体的な改善課題=戦略的な手立てを発掘することが可能になる。自社の売上高付加価値率が低いうえに、外注加工費、材料費、製造原価、販売管理費、人件費の何かの比率が高いとなれば、これらの分析結果から、どんな対応策を打ったらよいのかは自ずと判ってくる。PIAのこのレポートでは、コスト低減、省資源化、値上げなどを実現するために、実際のアクションプランとして「ロスをなくし、売上げと利益を増やす行動」、例えば「ヤレ紙の低減」「管理部門/製造部門の人員削減」「印刷価格の再設定」などを推奨する。そして、これらのアックションプランが確実に実行されるなら、印刷会社の収益性は売上高比率で1~3%、あるいはそれ以上改善されるはずだと強調している。
※参考資料=PIA「FLASH REPORT」Apr./May 2016; Dr. Ronnie H. Davis, Senior Vice President


●情報の取捨選択の勇気をもって顧客に提案を

製品のマニュアル書が厚くなると、それをつくっている企業の営業マンでさえ読みたくなくなる。そんな障害を乗り越えてもらおうと、逆転の発想による解決策を提案して、マニュアル書の受注に成功した印刷会社がある。あらゆる内容を一冊に盛り込むではなく、製品もしくは担当部署に本当に必要な内容だけを切り取り、しかも複雑な加工を止めて、得意とするごく基本的な工程に絞って、シンプルに仕上げたマニュアルづくりを提案したことが奏功したのだ。対象によって収録する内容を少しずつ変えたものを何種類も請け負うことで、全体の受注金額を確保している。発注する側の企業も使いやすくなって営業成果が高まり、そこにWin-Winの関係が成り立った。紙面に載せる優先すべき情報をきっちり選べるかがポイントなるが、このような印刷物のつくり方、受発注のあり方は、教育界を始めとしてさまざまな分野で広がってきている。


●「印刷×付帯サービス」の発想が支えてくれる

限られた紙面のなかに何を入れるか。ネットに対抗してあらゆる情報を何でもかんでも入れようとするのでは、どだい無理が生じる。顧客が本当に必要としていること、困っていることは何かをよく考えれば、どのような情報が求められているかが判ってくる。それを印刷物としてかたちにできる力が印刷会社にはあるはずである。そのような得意技に、印刷会社はこれまで気づかなかったのではないか。そこに付帯サービスの本質を見出せば、市場を拡げる力にもなる。コンテンツ加工の技術、マスカスタマイズ化のノウハウ、情報編集力、提案型営業力などが欠かせないが、「印刷+サービス」ではなく「印刷×サービス」という相乗効果を狙う考え方が重要となる。そうすれば、メディア製作を基盤に付帯サービスを展開していく道が開ける。本来得意とするモノづくりの効果が発揮されるに違いない。 


●草の根の精神で地域活性化の大役を果たそう

駅前の商店街が衰退している。その理由としては、車社会になって郊外にショッピングセンターが生まれたことや、多様化した生活様式の身近にコンビニエンスストアが根付いたことなどが挙げられる。生活者のストーリーを成り立たせることができなくなったことが最大の要因とされる。それでも、人の交流が盛んになれば経済が落ち込むことはない。さまざまな付加価値でストーリーを育ててあげられるなら、ビジネスは立派に成り立つ。それこそ印刷業が得意とする仕事ではないか。これまで長年、地方の印刷会社が営んできたように、印刷業は地域活性化のために、草の根の精神で一生懸命に支援すべきなのである。街づくりにもっと参加しよう。

以上
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