クラゲの毒

広い海原～何処へ漂い泳いで行こうとも
自由気ままな一人暮らし～
なのに…何故…元沼地の我が社が好きなのか～
今日もクラゲ部長はフワフワ漂いながら満天さんの元へ来る～

「休み前の金曜日よ～会社で飲み会開こうと思ってよ～」

身がクラゲなのだから仕方が無いが…
絶えずフラフラと漂いながら話すのは辞めてもらいたいもんだ…


「何時頃から用意しますか？」

「どうせ暇だからよ～昼過ぎから掃除始めて…
３時頃から始めちゃおうぜ～」

そりゃ～オマエさんは暇だろうがよ～
わたしゃ～その日はタイムカードの締め日で忙しいんだよ…
オマエさんが暇だっちゅーのは解ったから
お願いだから止って話してくれんかね～～


「掃除はよ～たいして汚れてないしよ～
サッサと片付けちまって飲んじまおうと思ってよ～」

しかし…糖尿病とカッケを患い日々大量の薬を飲み続けておるのに
「酒が好きなクラゲじゃ～」


「そんなにお酒を飲んでは体に障るんじゃ～ないんですか？」

「ん～？オレなんてよ～何時死んだっていいんだ～
親兄弟だって皆、早死にだしよ～
仕事だって大した事はやっちゃいね～しよ（ハハハハハハ）」

おいおい。クラゲの懺悔（ザンゲ）なんて聞きたくないんだけどね～
重役クラスに、そこまで開き直られてもねぇ～
クラゲの開きなんて～食えやしないやね～（笑）

それに…何時死んでもイイって言う割りには…
何かっちゅーと病院へスグに行きたがるっしょ～
今月だって歯医者・眼医者・内科っと会社を休んでは行っとるしの～
だから…フラフラ動くなっちゅ～の


そこに…外部から掛かってきた電話をサッっと取り
満天さんはやっとクラゲ部長から開放されましたがな～

クラゲの毒というのはカプセル状で発射され
皮膚にへばり付くので…擦ったりしてはダメだそうな～
クラゲの種類で対処方もバラバラ
酢や尿をかけるという話もあるが…
できれば海水を擦らない様にかけ病院へ走るのがベストだとか

我社の場合、クラゲ部長に捕まってしまった時は…
仕事をしているフリをしながら、尚且つ話を聞きながら～
自然にフェイドアウトする技を身に付けなければならない
それが出来なければクラゲ部長の毒が全身に回って
パニック傷害を起してしまうのだ～～

新入社員で…何も知らずにクラゲ部長に捕まり
延々と病気自慢話につき合わされ
すっかり体調を崩してしまった若者を…私は何人も見た～

恐るべし～クラゲ部長の毒～～～

クラゲ部長の毒から上手く逃げられたが…
飲み会は…逃げ切れんかった～～～～
修行がまだまだ足りん～