満天横丁に住まう妖怪のひとり言

満天横丁に住む満天と申します
最近、猫妖怪化してきており更新は不定期ですが…
ひとり言にお付き合い頂ければ幸いです。

海獣の子 五十嵐大介

2008-11-21 | 漫画紹介

いつも遊んでもらっておる「くまちゃん」からお借りした
(くまちゃんの漫画や本がテンコ盛りのブログはコチラからどうぞ~)
(以前に私が読んだ五十嵐大介氏の「魔女」のレビューはコチラから~)

「魔女」で思いっきり頬をぶたれたもんで、この「海獣の子」も期待一杯で読んだ
読んでみて…私の期待を裏切らない、いや、それ以上の作品の出来に脱帽である

1920年代頃だったと思うが、インドで二人の人間の少女が
オオカミに育てられた話を聞いたことはないだろうか?

今回紹介のこの「海獣の子」は…なんと!
ジュゴンに育てられた二人の少年の話なのである
二人の少年の名前は「海」と「空」
漁師に捕らえられ見つかった時は、言葉も話せない3歳くらいの子供であった
ある特殊財団に拾われ育てられた二人は、人間の世界に触れるにつけ
自分達が「何者なのだろう?」っという疑問にぶち当たる

強い太陽の光にあたると弱る肌。
長時間冷たい海に潜っていても平気な体。
人には聞こえない、人には感知できない信号を受け取る感覚。
そこで二人は「自分達が何者か?」を探るために財団に体を調べてもらう

どんな能力を持っているか調べることが出来ても
結局は彼らが人間であり、人間以外の何者でもないことしか解らない

そんな時、世界各地で魚が光を帯びて消えてしまう事件が多発し始める
「海」と「空」は、海洋を中心に、今なにかが起ころうとしいて
それが自分達にも深く影響を与えることを感じていた

二人は財団子飼いの海洋生物学者ジム・キューザックと一緒に
日本の神奈川県は湘南にある水族館へ来る
そこで父親が水族館に勤務している少女「琉花」と出会う

父親と母親が離婚し、母親と一緒に暮らしている「琉花」は
10代特有の心の葛藤を抑えきれずに、学校でも部活でも孤立していた。
その孤立感が、人間であっても人間から孤立している二人の少年と共通したのか
三人はそれと気付かないうちに、真理の中心へと吸い込まれていく

1巻から3巻まで出ているが…まだ途中である

青木雄二作の「ナニワ金融道」と同じように、ほぼ全てが手書きの漫画である
スクリーントーンなんぞ…ほぼ使っておらん(笑)

海の上を走る稲妻。遠い空から沸き起こる台風の雲。
月の光を浴びて光る波間。海中を魚と一緒に飛ぶように泳ぐ子供。
どのシーンを抜き取っても、心を揺さぶらない絵がない
作者渾身の一撃を投じた絵の数々に眩暈すら覚える

「ナニワ金融道」の青木氏も全てを手書きで書ききって
腱鞘炎になってしまった。五十嵐氏は大丈夫であろうか? 少し心配になる(笑)

また、ストーリーも凄い。
海の中の空。空の中の海。地球によって生まれた海。海によって生まれた地球。
陸に住む動物と海に住む魚。
ああ~全ては独立しているようで繋がっているんだな~
自然も生きていて、地球も生きていて、我等人間と同じように生命を持っている
そして生命は繋がって絡み合って…皆、同じなんだ!
そんな思いが読み手を包む

やがて全てが繋がったときに、物語は終わりを迎えられるのだろうか
そんな風に心配してしまうほど、壮大さを肌で感じてしまう(笑)

いや~残念なことに…まだ終わっていない作品だから
今後の展開いかんではダメになってしまう可能性もまだある。

だから手放しではオススメ出来ないのが残念ではあるが…
ほいでも1~3巻まででも読む価値はあると私は思った

「魔女」を読んだ時も思ったが
こんなに入魂して絵を描いて…五十嵐さん体を壊さないじゃろうか?
いや~面白い漫画じゃった~

くまちゃん。快く貸してくれて「ありがとう~~」

ブログランキング・にほんブログ村へ