満天横丁に住まう妖怪のひとり言

満天横丁に住む満天と申します
最近、猫妖怪化してきており更新は不定期ですが…
ひとり言にお付き合い頂ければ幸いです。

つくもがみ貸します 作:畠中 恵

2008-02-06 | 本の紹介


以前にも紹介した
「うそうそ」「ちんぷんかん」などを書いた畠中恵の新作である
何時も紹介している「しゃばけ」シリーズとは少し違う
完全無欠の新作なのだ~

お江戸の町は当時世界一の人口を誇っておった
あの時代で100万人ですぞ!
満天さんが小学生の頃、札幌市の人口が
「100万人突破!」っと言って町に大段幕が張られておった事があります
「都会になったんだ~」っとボンヤリ感動しておった満天少女は
今、人口363万1236人の横浜市に住んでおりやす(笑)

現在札幌市は189万5882人ですから…
100万人突破のあの時から、そんなに人口は増えてないのです
たまに札幌へ帰ると人が少なく感じるのはそのせいかの~

私が江戸時代へ行ったとしても
「人が少ないの~」っと感じるかもしれんが…
ともあれ当時は世界一を誇っておったお江戸なのです

人も多いしケンカも多い~おまけに火事まで多いとくりゃ~
お江戸に住んでいる庶民は大きな財産は持てないし持たない
いざ、火事だ~っとなったらば
財産は「手に持って逃げられる規模」にこしたことはない
よって江戸時代には「損料屋」という貸し道具屋さんが流行りました

必要な物を必要な時に借り、いらなくなったら返す
大変、便利な貸し道具屋さんです
何でも買って必要でなくなったらポイポイ捨て去る現代人も
少々見習うとエコに繋がるかもしれん(笑)

驚く事にこの貸し道具屋さんは何でも貸してくれます
「鍋」「釜」「布団」に「ふんどし」まで(笑)
住み込み奉公が働き先の主流だった江戸時代は
結婚するにも大変だったので、独身者が多かったのです
独身の男性は洗濯するなら借りた方が便利だ~っと思うのは
現代の独身男性と同じかもしれん(笑)

この貸し道具屋さんに
姉弟の二人で営んでいる「出雲屋」っという店がありました
同業者と同じく「鍋」も「釜」も「布団」に「ふんどし」も貸しますが
ただ他店と違うのは付喪神つきの古道具を貸し出す事でした

さてココで登場した付喪神とは何ぞや?っと思った方も多いと思いますが
ウチの死んだバー様が言っておった話だと
「物を長い年月大事に使うと、ある日心を持つようになるんぞ
静かにしておるとベチャベチャ一人で話しておる
そうなったらお寺へ持って行って供養するしかないんぞ」

「んじゃ大事に使ったら怖いことになるの~」
っと満天どんが言うと

「なんの、話すだけで悪さはせん
ゴミで捨てられるより、寺で供養されて成仏出来るんぞ
そっちの方が物にとっては幸せぞ~大事に使って沢山成仏させてやれ」
なんぞと申しておりました~

ともあれこの「出雲屋」には
そんなベチャベチャしゃべる道具が結構集まります
類は友を呼ぶってな典型でしょうか(笑)

付喪神たちも貸し出された先でベチャベチャしゃべって
「うわ~~~付喪神がついてる~~~」っと驚かれ
寺に持って行かれて「お祓い」されてしまうと嫌なので…
貸し出された先ではジッと聞き耳を立て
「出雲屋」へ帰って来たら見たこと、聞いたことを
仲間同士でベチャベチャしゃべるのです

おしゃべりな付喪神たちを「出雲屋」の姉弟は利用して
ちょいとしたナゾ解きなんぞをいたします

知りたい事がある先に付喪神たちを貸し出し
帰ってきた彼等が見たり聞いたりして来た事に、ジッと耳を傾けるのです
余計な事も沢山しゃべる付喪神たちですが
姉弟の意を汲んでちゃんと情報も掴んで帰ってくるのです(笑)

何軒かの小さなナゾ解きをしている内に
姉弟の持っている心の中の大きな重しが見えてくるってな
お話でございます~

付喪神が付いている品物が一人で話しだすってな
一人称形式で始まるコノ本は
出足にチョイと、もたつき感を受けるかもしれませんが
読み終わった時には心の中に梅の花がほころんだような
そんな爽やかな気分になれる本でございます
外はまだまだお寒うございますが
この本を読んで心に春を先取りしてはいかがでしょうか

ブログランキング・にほんブログ村へ