満天横丁に住まう妖怪のひとり言

満天横丁に住む満天と申します
最近、猫妖怪化してきており更新は不定期ですが…
ひとり言にお付き合い頂ければ幸いです。

私の人形は良い人形…

2007-03-02 | 昔話のハチャメチャ
上記タイトルは山岸涼子さんのホラー漫画のタイトルです(笑)



で、コレが満天家の「お雛様」なんです~
東光作 江戸立ち雛「白鳳」です
結婚する時に親が持たせてくれました~

「いらないからね!」っと
散々言ったのに…
娘が結婚して女の子が生まれたら
嫁の両親が生まれた子の為に買えばいいしょ!っと
言ったのに…持たせやがって…

さて…ナゼにこんなに両親に抵抗したかと言いますと…
ココからは満天ワールドへ突入いたしますので
心臓の弱い方は速やかにご退去願います

我が家には昔から雛人形がありました
それは、40cm四方のガラスケースに入ったお雛様で
小さいながらも5段飾りの座り雛でした

お内裏様にお雛様
三人官女に五人囃子
左大臣に右大臣
牛車に引かれた嫁入り道具に
雪洞・菱餅
全てが手のひらサイズのそれはもう可愛らしいお雛様でした

我が家では祖母の代から引き継がれている品ですが
出自は明治の始め頃と聞いております

毎年3月3日に、その小さなお雛様を出して
皆で雛あられを食べ、甘酒を飲むのが常でしたが…
ガラスケースには小さな鍵が掛かっておりまして
子供達にはお雛様を手に取って眺める事は
禁じられておりました
ただし、中には小さなグラスのお猪口に
水を入れたものが入っていた所を見ると
家族の誰かが丁寧に手入れをしていたと思います

さて、私が小学校6年生の時の3月3日

我が家はあろうことか…お雛さまを出すのを忘れておりました
次の日の夕刻
祖母が「昨日は雛祭りじゃ~なかったかい」っと申しますので
おっ、そうだった…と思いましたが
「一度くらい出さなくってもいいんじゃないかい?」っと答えますと
祖母がツーっと耳元まで近づき
「あのね、お雛様を3月3日に出さないと…
お雛様達が暴れ出して…あんたの枕元まで歩いて行くヨ~」
などと干からびた梅干の種のような顔で申します
「まさか~ んじゃ~見てみるかい?」
と、言うことで…
梅干ババアと可愛い少女は納戸に出かけ
お雛様が入っていなさる箱を取り出し
中からガラスケースを持ち上げると…

「うぎゃ~~~~!」

なんと!ガラスケースの中のお雛様がバラバラの位置に
動いているではないですかっ!
しかも…牛車などは段から落ちてガラスにブツかっています
何だか…ガラスケースから出ようとしているような…
全員の雛人形達が一斉に私を恨めしそうな目で見上げた…ような…

さても家庭内は騒然となりまして
人形をどこぞのお寺に奉納しようかなどと話しておりました
一度、暴れ出した人形は毎年暴れるらしいぞ~とかなんとか…
変な寒気を覚えながらも必死に額を寄せ合い相談する家族一同でした

まぁ~今、考えると…
あの梅干バー様のイタズラではないかと…
満天さんは思うのでありますが…

ところがここに大きなオマケが付きます

その翌日の夜に
我が家は、もらい火により出火
家・家財一切灰になりました
家族はケガなく全員無事に外へ脱出しましたが
問題のお雛様は燃えてしまったのです
もしかして…火事を察知して逃げたかったのではないのかナ?
などと今は考えます

ってな訳で…お雛様は怖いので、その後はズーっと
「イラナイ!」っと言い続けていました
結婚する時に無理やり持たされた雛人形は
毎年キッチリ、欠かさずに出してま~す

今回は…立っているお雛さんなので
逃げ足は速いかもな~っとボンヤリ思う満天さんなのでした~