バレエ・メソッド アンサンブル・ド・ミューズ スタイル

クラシック・バレエの実際のレッスンをモデルとして、正確に無理なく美しく動き踊るためのヒントやアドバイスをお伝えします。

センター・レッスン vol.2 グラン・フェッテ・ソテ

2010-03-08 10:52:19 | 日記
今回練習するのはグラン・フェッテ・ソテ(Grand fouette sauter)です。
フェッテ(Fouette)とは~を鞭で打つ、激しく打つ、叩き付けるという言葉が語源になっています。
それではゆっくり動きを分解して確認しながら練習してみましょう。
左脚ポワン・タンジュ・ドゥヴァン・クロワゼで準備して下さい。
トンベをして左脚ドゥミ・プリエにトルソーを移す、アームスはアン・バ 。
後ろ側の右脚をエファッセ・ドゥヴァンに振り上げて跳び上がる、アームスはアン・オーに引き上げる。
空中でトルソーをアン・ファス(=正面)に向きを変えて、脚はア・ラ・スゴンド。
さらに左の方にトルソーの向きを変えて1番アラベスクで着地。
トルソーの動きを中心に見てみると右斜め45度→アン・ファス→左と、方向を変えていますね。
動作脚のポジシオンを見ると、エファッセ・ドゥヴァン→ア・ラ・スゴンド→エファッセ・デリエールと変化しています。
もっとも大切なことはこの2つの動き、つまりトルソーの方向を変えること振り上げた脚のポジシオンが変ること、を空中で完了してから着地しなければならないということです。
それでは大事なポイントについて確認してみましょう。
最初に振り上げる脚の方向が、エファッセを外れたアン・ファスに近い方向や、逆にエファッセとア・ラ・スゴンドの中間のような中途半端な方向にはずれないように気を付けて下さい。
アン・ファスに近いほうに外してしまうと、最後のエファッセ・アラベスクのポーズを作るときに脚の位置をもう一度後ろに引き戻さなければならなくなります。
エファッセとア・ラ・スゴンドの中間のようなほうに外してしまうと、トルソーの回旋が不十分になって、中途半端な向きで着地することになってしまいます。
エファッセ・ドゥヴァンに脚を振り上げて跳び上がったら、跳躍の頂点に至る前からトルソーの向きを変え始め、トルソーはアン・ファス、脚はア・ラ・スゴンド、アームスはアン・オーのポジシオンの時が跳躍の頂点になるようにコントロールしましょう。
跳躍の頂点を過ぎて、着地のドゥミ・プリエをする脚が床についてからいきなりトルソーの向きを変えるようなことをしてはいけませんよ。腰を傷める原因になってしまいますからね。
エファッセに脚を振り上げて跳び上がると同時に、表→裏とひっくり返すような、乱暴な動きをしてはいけません。動きが固く縮んで見えてしまいますよ。
着地したら軸脚のうえにしっかりトルソーを載せてドゥミ・プリエをします。ドゥミ・プリエする脚の内腿とアラベスクに上げた脚の内腿とが引っ張り合うようにイメージして、アラベスクの脚がブラさがらないように気を付けましょう。
アラベスクの脚を引き上げずにブラさがった状態にして力を抜いてしまうと、その脚の重さが錘(=オモリ)となって腰を引っ張り、傷める原因になることもありますよ
アンサンブル・ド・ミューズのレッスンでは、エファッセで跳び上がったところからアン・ファスへの引き上げを素早く、そして空中ではア・ラ・スゴンドで一瞬停まって見せるくらいのイメージで、と伝えています。
グラン・フェッテ・ソテ、立体的で大らかな動きになるように心掛けましょう 平べったい板の表裏をひっくり返すような動きではなく、円筒が回るような動き、とイメージするといいでしょうね。

 

センター・レッスン vol.2 ピケ-シャセ-グラン・ジュテ・アントルラセ

2010-03-03 12:27:58 | 日記
今回はグラン・ジュテ・アントルラセに助走となるパを組み合わせて練習してみましょう。
鏡に対してアン・ファス、右脚前5番ポジシオン、アームスはアン・バで準備して下さい。
左脚ドゥミ・プリエ、右脚ポワン・タンジュ・ドゥヴァン、アームスはアン・ナヴァンに引き上げる。
右脚軸でピケ・アラベスク。
アラベスクに上げた左脚を降ろしながら左方向にシャセ(鏡に対して横向き)、アームスはア・ラ・スゴンド。
左脚を1歩踏み込んでトンベ(鏡に背中を向ける方向)、右脚を前方に大きく振り上げて跳び上がる、アームスはアン・オー。
左脚を右脚の方に素早くに引き上げ、左に半回転しながら左脚をさらに引き上げる。
右脚ドゥミ・プリエに着地、アームスは1番アラベスク(鏡に対してアン・ファス)。
これがピケ・アラベスク-シャセ-グラン・ジュテ・アントルラセの基本の動きです。
動線や身体の向きなどイメージは掴めましたか?
大切なポイントをチェックしてみましょうか。
一番はじめのピケ・アラベスクのとき、軸脚の膝を緩め、アラベスクをしながら改めて膝を伸ばすような動きをしてはいけません。それでは失敗したアラベスク・ルルヴェになってしまいます
ピケ・アラベスクのあとのシャセでは、身体の向きが変ります。今回は鏡の方を向いてはじめのピケ・アラベスクをしていますから、シャセは鏡に対して横に移動します。
シャセはきちんと足首と爪先を伸ばして空中で5番ポジシオンに重ねましょう。
トンベは、はじめのピケ・アラベスクとは反対の方向を向いていますよ。これからジュテ・アントルラセで跳び上がる方向にきちんとトルソーを向けましょう。この向きが中途半端なままだと、ジュテ・アントルラセで必要以上に脚を振り回すような動きになって美しくありませんし、腰を傷める 原因になることもありますから気を付けましょう。
シャセのあとのトンベに踏み込んだとき、動きの流れが途切れないように気を付けて下さいね。トンベでトルソーを引き上げる力を抜いたり一旦停止をしたりしては、次に大きく跳び上がれなくなります。
グラン・ジュテで跳び上がったら、アントルラセで半回転する間も着地のときも、下を向かないように気を付けましょう。下を向くとトルソーを上の方へ引き上げようとする力が途切れてしまって、高く跳び上がれなくなりますし、滞空時間も短くなってしまいますよ。
アンサンブル・ド・ミューズのレッスンでは、シャセに移る直前に見えない手にアラベスクした脚の爪先を引っ張られるように重心が横方向に素早く移動する、とイメージして素早いシャセが出来るように練習しています。またアントルラセの直前まで、つまりシャセ-トンベ-グラン・ジュテまでを一つのパとして考えるようにとも伝えています。そして、下を向かないためには自分が跳んで行きたいと思うところに視線を向けなさいとアドヴァイスしています
今回はシャセで練習しましたが、グリッサード-トンベでアントルラセを跳ぶことも出来ます。
ただ、グリッサードからの動きは、両脚のターン・アウトをしっかり守ってきちんとプリエを抑えることが出来ないと脚がバタバタと駆け足をするような印象になってしまいます
このグリッサードがきちんと出来れば、横移動を大きくすることが出来ますし、低い位置で横移動をしたトルソーはジュテ・アントルラセの跳躍によって実際よりも高く跳び上がったように見せることもできます。
いずれにしても、このピケ-シャセ(またはグリッサード)-グラン・ジュテ・アントルラセという一つながりの動きの中で、主役はグラン・ジュテ・アントルラセの部分です。助走の動きであるピケ-シャセよりも主役のグラン・ジュテ・アントルラセの動きが小さくならないように気を付けて下さいね。
1回目のピケ-シャセ-グラン・ジュテ・アントルラセをアラベスク・ドゥミ・プリエで着地したらアラベスクの脚を一度降ろして、改めてピケ・アラベスクから続けるアンシェヌマンもありますし、着地したらそのままシャセの横移動に移ってジュテ・アントルラセを続けるアンシェヌマンもあります。
華やかで大きな動きですから、力任せの乱暴な動きにならないようにアームスのポジシオンや脚の運び、着地のポーズなどを丁寧に練習しましょう。