バレエ・メソッド アンサンブル・ド・ミューズ スタイル

クラシック・バレエの実際のレッスンをモデルとして、正確に無理なく美しく動き踊るためのヒントやアドバイスをお伝えします。

バー・レッスン vol.7 グラン・バットマン・ポワント

2011-06-16 10:08:40 | 日記
前回練習したプティ・バットマン・バッチュ、スムーズに膝から下だけ動かせるようになりましたか?
いつも言うことですが、初めはゆっくりでも構わないのですから丁寧に、正確に動かす練習をしましょう。どんなに速いバッチュが出来るようになったとしても、その脚が、足首から“バナナ”のように曲がった醜いラインを作っていたり、足首が緩んで爪先がブラブラしているようなバッチュでは美しくありません。
醜い脚のラインで行われる素早いバッチュよりも、きちんと伸ばされた脚で行われる少しゆっくりの丁寧なバッチュのほうが美しいと私は思いますよ
今回はグラン・バットマン・ポワントの練習をしましょう。
まずは最も基本の動きをア・ラ・スゴンドでご説明しますね。
左手バー、右脚前5番ポジシオン、右アームスはア・ラ・スゴンド。
→8 プレパラシオン→1 右脚ア・ラ・スゴンドにグラン・バットマン→2 ポワン・タンジュ・ア・ラ・スゴンド→3 グラン・バットマン→4 右後ろ5番ポジシオン→
グラン・バットマンに上げた脚を5番ポジシオンに戻さず、ポワン・タンジュに下してそこから再びグラン・バットマンをします。
ではアンシェヌマンを練習してみましょう。
左手バー、右脚前5番ポジシオン、右アームスはプレパラシオンでアン・ナヴァンを通ってア・ラ・スゴンドへ。
→8 プレパラシオン⇒1 グラン・バットマン・ドゥヴァン→2 5番ポジシオン→3 グラン・バットマン・ドゥヴァン→4 5番ポジシオン→5 グラン・バットマン・ドゥヴァン→6 ポワン・タンジュ・ドゥヴァン→7 グラン・バットマン・ドゥヴァン→8 5番ポジシオン⇒1 グラン・バットマン・ア・ラ・スゴンド→2 右後ろ5番ポジシオン→3 グラン・バットマン・ア・ラ・スゴンド→4 右前5番ポジシオン→5 グラン・バットマン・ア・ラ・スゴンド→6 ポワン・タンジュ・ア・ラ・スゴンド→7 グラン・バットマン・ア・ラ・スゴンド→8 右後ろ5番ポジシオン⇒1 グラン・バットマン・デリエール→2 5番ポジシオン→3 グラン・バットマン→4 5番ポジシオン→5 グラン・バットマン→6 ポワン・タンジュ・デリエール→7 グラン・バットマン・デリエール→8 5番ポジシオン⇒1 グラン・バットマン・ア・ラ・スゴンド→2 右前5番ポジシオン→3 グラン・バットマン・ア・ラ・スゴンド→4 右後ろ5番ポジシオン→5 グラン・バットマン・ア・ラ・スゴンド→6 ポワン・タンジュ・ア・ラ・スゴンド→7 グラン・バットマン・ア・ラ・スゴンド→8 右前5番ポジシオン
ポワン・タンジュのあとのグラン・バットマンが少し難しいでしょう
それでは大切なポイントを確認していきましょう。
グラン・バットマンのあと、5番ポジシオンに引きつけるときもポワン・タンジュに下すときも、脚を“おっことして”はいけません。とくにポワン・タンジュに下すときには気を付けないと、爪先や足首を痛める原因になってしまいますよ
ポワン・タンジュ・ドゥヴァンからのグラン・バットマンは、脚をたくさん上げようと急ぎすぎて動作脚側のお尻を振り上げることで勢いを付けてしまいがちです。軸脚も骨盤から上のトルソーも動かさないように気を付けましょう。爪先を“さらに遠くに指し伸ばす”ようにイメージしてグラン・バットマンをするといいですよ
ポワン・タンジュ・ア・ラ・スゴンドからのグラン・バットマンでは、脚を上げる前にトルソーをバーの方に傾けたり、動作脚の動きにつられて動作脚側のウエストが縮んで傾いたりしないように気を付けて下さいね。
グラン・バットマン・デリエールでは必然的にトルソーが前傾し重心も少し前に移動していますから、ポワン・タンジュ・デリエールに脚を下したときに、軸脚の上にきちんとトルソーと重心を引き戻すことが必要です。そうしないとトルソーが前掲したままお尻を突き出すようなポワン・タンジュ・デリエールになってしまいます。それでは次のグラン・バットマンをきちんとコントロールすることは出来ませんし、なにより腰を痛める原因にもなりかねません
ポワン・タンジュ・デリエールからグラン・バットマンをするときにはトルソーが後ろに反らないように気を付けましょう。背中の下の方=腰を縮めて脚を上げようとしてはいけません。そんな不自然で無理な動きを続けていると本当に腰を痛めてしまいますよ
5番ポジシオンからのグラン・バットマンと較べると、動作脚に勢いが付きにくく重いと感じられるかもしれませんね。動作脚を重くしないためには、まず軸脚とトルソーを真っ直ぐに支えて、とくにトルソーは常に上に引き上げ続けること、そして先行するグラン・バットマンのあとポワン・タンジュに“下す”脚を“おっことさない”こと、です。ドゥヴァンだけでなく、どの方向へも“爪先をさらに遠くに指し伸ばす”とイメージするといいですよ。アンサンブル・ド・ミューズのレッスンではそのとき、動作脚の内腿から膝裏、ふくらはぎから足裏を通って爪先へ真っ直ぐに1本の光が走り抜けていくとイメージを伝えています。太腿の前側の筋肉だけの力に頼って脚を上げてはいけません。脚の形が美しくなくなってしまいます
どんな動きのときでも大切なことですが、脚を上げようと力んで呼吸を止めないように気を付けましょうね。呼吸を止めると筋肉が硬くなってしまいますから逆効果です。
次回からはセンター・レッスンです。