バレエ・メソッド アンサンブル・ド・ミューズ スタイル

クラシック・バレエの実際のレッスンをモデルとして、正確に無理なく美しく動き踊るためのヒントやアドバイスをお伝えします。

バー・レッスンvol.7 プティ・バットマン・バッチュ

2011-06-13 09:40:06 | 日記
前回練習した方向を変えながらのバットマン・フォンデュ、スムーズに動けるようになりましたか?
あの動きにはまだヴァリエーションがありますから、次に、身体の向きとポジシオンを同時に変えながらのフォンデュをすることになったときに混乱したりしないように、前回練習したフォンデュのスタイルを習得してしまいましょう。
今回はプティ・バットマン・バッチュを練習します。
バッチュ=BTTUS;打つ、叩くという言葉が語源となっている動きです。
でははじめましょう。
まずは動きについてご説明しますね。
ドゥヴァンの場合
軸脚に対してク・ドゥ・ピエ・ドゥヴァンにした動作脚の、膝から下を少し前方に開いてから素早く引き戻して、小指側で軸脚を打つ、再び開いて引き戻して打つ、この動作を何回も繰り返す。
デリエールの場合
軸脚に対してク・ドゥ・ピエ・デリエールにした動作脚の、膝から下を後方に少し開いてから素早く引き戻して、カカトで軸脚を打つ、再び開いて引き戻して打つ、この動作を何回も繰り返す。
これがプティ・バットマン・バッチュの基本の動きです。
まずゆっくり練習してみましょう。
左手バーで右脚前5番ポジシオン、アームスはアン・バからプレパラシオンでアン・ナヴァンを通ってア・ラ・スゴンドへ。右脚をポワン・タンジュ・ア・ラ・スゴンドにタンジュしてからク・ドゥ・ピエ・ドゥヴァン(足首をしっかり伸ばして)へ。
→8 プレパラシオン→1 開く→2 打つ→3 開く→4 打つ→5 開く→6 打つ→7 開く→8 打つ→1 開く→2 打つ→3 開く→4 打つ→5 開く→6 打つ→7 デガージェ・ア・ラ・スゴンドに開く→8 ク・ドゥ・ピエ・デリエールに→1 開く→2 打つ→3 開く→4 打つ→5 開く→6 打つ→7 開く→8 打つ→1 開く→2 打つ→3 開く→4 打つ→5 開く→6 打つ→7 デガージェ・ア・ラ・スゴンドに開く→8 右脚前5番ポジシオン
では気を付けなければならない大切なポイントを見ていきましょう。
プティ・バットマンで動かすのは動作脚の“膝から下”だけです。腿が動かないようにお腹に向かってしっかり引き上げておきましょう。また、膝そのものも前後に揺れないように気を付けましょう。
ク・ドゥ・ピエに置いた動作脚を開く幅は5~7㎝程度です。それは膝の構造によって横方向への可動域に限界があるからです。
膝から下だけの動き、ということに緊張して力が入ってしまい、足首から先が曲がって“バナナ足にならないように気を付けて下さいね デリエールの場合は特に“バナナ足になりやすいですよ
デリエールのときには脚の動きにつられてトルソーが前後に細かく揺れないように気を付けましょう。
デリエールの場合には股関節のターン・アウトを忘れがちになりますから特に注意しましょう。股関節のターン・アウトが失われて膝が前を向いてしまうと、なんとかして軸脚を打とうとする動作脚は“バナナ足になりやすいく、なんと足の親指側で軸脚に触れるような、醜い動きになってしまいます
ではテンポを速くして練習してみましょうね。
プレパラシオンは同じです。
→8 プレパラシオン→1 開く→打つ→2 開く→打つ→3 開く→打つ→4 開く→打つ→5 開く→打つ→6 開く→打つ→7 開く→打つ→8 開く→打つ→1 開く→打つ→2 開く→打つ→3 開く→打つ→4 開く→打つ→5 開く→打つ→6 開く→打つ→7 デガージェ・ア・ラ・スゴンド→8 ク・ドゥ・ピエ・デリエール→1 開く→打つ→2 開く→打つ→3 開く→打つ→4 開く→打つ→ 5 開く→打つ→6 開く→打つ→7 開く→打つ→8 開く→打つ→1 開く→打つ→2 開く→打つ→3 開く→打つ→4 開く→打つ→5 開く→打つ→6 開く→打つ→7 デガージェ・ア・ラ・スゴンド→8 右前5番ポジシオン
いかがですか?
テンポが速くなった途端にトルソーやアームスにまで無駄な力が入ってしまって小刻みに揺れたりしていませんか
どんなに速くなっても、股関節から膝までをお腹でしっかり支えてターン・アウトを守りましょう。力任せの動きは、1セットくらいならなんとかテンポに間に合わせることが出来ても、それ以上になるとだんだん間に合わなくなってしまいますからね。
いつもいうことですが、初めはゆっくりのテンポで構わないのですから正確な動きを心掛けましょう。正確で無駄な力の入っていない動きが出来るようになれば、自然とスピード・アップ出来ますよ
このプティ・バットマン・バッチュのことをバットマン・セレと呼ぶこともあります。セレとはserrer;~を締める、~の間隔を詰める、という言葉が語源になっているのです。“間隔を詰める”まさにそんな感じの動きですね。
このパは『白鳥の湖』act2のグラン・アダージョの終盤のオデットの振り付けで見ることが出来ます。