バレエ・メソッド アンサンブル・ド・ミューズ スタイル

クラシック・バレエの実際のレッスンをモデルとして、正確に無理なく美しく動き踊るためのヒントやアドバイスをお伝えします。

プリエのこと

2009-02-21 18:59:28 | 日記
1番ポジシオンから5番ポジシオンまでの足のポジシオンの練習をしましたね。
では、プリエの練習をしましょう。
プリエは、足のポジシオンと同じようにバレエではとても大切な動きです。
正確なプリエをきちんと守ることが出来れば、高く美しく爪先の上に立つことが出来ますし、軽やかで高いジャンプをしたり安全な着地をすることが出来ます。そして、足首や膝、腰、脚の筋肉に無理な負担をかけずに、美しく動くことが出来るようになりますよ。
プリエを単純に“膝を曲げる動き”と勘違いしてはいけませんよ。プリエはひとつひとつの動きのために必要なバネを貯め、着地のときの衝撃を抑えるための動きなのです。

プリエには、かかとが床から離れないドゥミ・プリエと、かかとが床から離れるグラン・プリエとがあります。2番ポジシオンだけはグラン・プリエのときにもかかとは床に付いたままです。
まず両手でバーにつかまって、1番ポジシオンで練習と確認をしてみましょう。
1番ポジシオンで立ちましたね。
両方の膝が同じ強さで左右に引っ張られて開いていく、とイメージしながら、それぞれの爪先の親指の上に向かって膝を曲げてみましょう。もうこれ以上曲げたら、かかとが床から離れてしまう、というギリギリのところで止まって下さい。それがドゥミ・プリエです。
さあ鏡を見てみましょう。
骨盤を真っ直ぐ正面に向けていますか?
お尻が出っ張ったり、逆に骨盤を後ろに倒してお腹がくぼんだりしていませんか?
もうひとつ、とても大切なチェック・ポイントがあります。
膝が爪先の親指よりも前の方に傾いて小指側がめくれ上がっていませんか?
これでは膝と足首の内側の筋(靭帯)に無理な力がかかってしまいます。この間違った形でのプリエを長く続けていると、膝や足首を傷めたり、足首周りの骨の形も壊してしまいますよ
もう一度、膝の向きと傾きに注意しながらプリエをしてみましょう。
さあ、今度はいかがですか?
骨盤やお腹も真っ直ぐ、膝はしっかり爪先の親指の上にありますね。
では、そのドゥミ・プリエからさらに深く膝を曲げていきましょう。でもね、膝の動きと関係なく“パカッ”とかかとを床から離してはいけません。
かかとは、脚の筋肉が必要とする分だけしか床から離れてはいけないのです。
両方のかかとの上にお尻を落っことして座り込んではいけませんよ。“かかとの上に浮いている”とイメージして、骨盤やお腹を真っ直ぐにして下さい。お辞儀のように体が前屈みにならないように気を付けましょう。
プリエをするのが初めてではない方は、グラン・プリエのままで試しにバーから手を離して御覧なさい。真っ直ぐ浮くように静止していられるなら、正しいプリエのポジシオンが守れていますよ
では、グラン・プリエから膝を伸ばして元のポジシオンに戻りましょう。
このときお辞儀をするように身体を前に倒して勢いをつけてはいけません。
“かかとを床に下ろす”とイメージすると自然に膝が伸びてドゥミ・プリエに戻ります。ドゥミ・プリエからは“両方のふとももの内側をお臍に向かって引き上げる”とイメージするときちんと元のポジシオンに戻れます。
プリエをするときもプリエから戻るときも、両膝は必ず真っ直ぐに爪先の親指の方に向かいます。プリエの初めに膝を前の方に押し出してからグラン・プリエのポジシオンでいきなり横向きに開いたり、プリエから戻るときに膝を半分閉じるようなことは決してしてはいけません。脚の付け根の“アン・ドゥオールが”守れていない証拠ですよ

『プリエ』、どうですか?ただ膝を曲げるだけの動きではないことが分かりますよね。
どのポジシオンでプリエをするのにも、この1番ポジシオンでのプリエの注意点を守ることが大切です。
そしてトルソー(胴体)は、ドゥミ・プリエのときもグラン・プリエになっても、“立っているときと同じように真っ直ぐに”立てていなければなりませんよ。

さて、一番難しいのが4番ポジシオンのグラン・プリエです
後ろ側のかかとの上にお尻が乗っかってしまって“休憩”の形になったり、身体が前に傾いたり、骨盤が後ろ側の足の方に傾いたりしやすくなります
骨盤は両方のかかとの真ん中で、真っ直ぐ正面を向けて前に倒れないように気をつけましょう。どちらか片方の膝だけが床に付きそうなくらいに下がってしまうのは、骨盤の位置が真ん中から外れているからですよ。気を付けましょうね。

骨盤を中心にしたお腹からお尻の部分を、大きなスープボウルだとイメージして下さい。ボウルの縁まで一杯に入っているスープを1滴も零さないようにプリエをするのです。そう、骨盤が傾くとスープが零れてしまうでしょ