ウィトゲンシュタイン的日々

日常生活での出来事、登山・本などについての雑感。

丸山・日向山 ~残雪の秩父を満喫~ 

2013-01-21 18:22:01 | 登山(奥多摩・奥武蔵・秩父)

【1月19日(土)】
芦ヶ久保駅→赤谷→大野峠→丸山山頂→県民の森→日向山山頂→琴平神社
→卜雲寺(荻野堂)→武甲温泉


昨年暮れに、ぎっくり腰とインフルエンザのダブルパンチを食らったダーリンもやっと復調。
14日(月)に降った雪の状況と、今年初めての山登りということを考慮して
地元・埼玉県の秩父、丸山から日向山を経て横瀬へ下山するルートを歩くことにした。
最寄駅5時49分発のJR宇都宮線に乗り、大宮駅で埼京線に、川越駅で川越線に
高麗川駅で八高線に、東飯能駅で西武秩父線に乗り換え、芦ヶ久保駅に7時59分に到着。

身支度を整えたり、ちょっとしたトイレ騒動(男性トイレのブースが凍結のため使用できなかった)で
なんだかんだやっていたところ、芦ヶ久保駅を出発したのは8時20分になってしまった。
恐ろしく寒いことを想像していたが、風がないためか、比較的暖かく感じた。
ところが、芦ヶ久保駅から国道へ下りる階段も雪が凍っていてツルツル
国道299号は除雪されているものの、歩道部分には雪が残り、部分的には凍っていてツルツルで
体力以上に神経を使うことになった

歩いている途中で、ハイドレーションのチューブ部分のドリンクまで凍っていることを発見。
気温が氷点下であることは確実だが、いったい何度だったのだろう。

芦ヶ久保駅から歩き始めて35分、8時55分に大野峠への道標と民宿の幟が立つ分岐が現れる。

国道299号から離れ、左の舗装路を登る。

登山道は、スギ・ヒノキの植林帯をほぼ沢に沿うように続いている。

そこで発見
たわわに枝先についたスギの花。
ギョ、ギョ、ギョエ~
飛散準備中、飛散開始3週間前といったところか。
この枝を見ただけでも、今年はなんだかすごそうな気配がするが
西武秩父線の車窓から見たスギの木は、花をつけて色が変化していることがはっきりとわかり
ぴすけは思わず身震いしてしまった

沢から離れると残雪は増し、大野峠へ向かう斜面は雪に覆われて段差がなくなっているため
多少滑るので、無雪期の1歩と比べると、半歩ぐらいしか進まない気がする。
ただ、雪の状態は良好で、アイゼンをつけなくても登っていける
ぴすけは無雪期の山では歩幅が広い方だが、この日は歩幅を小刻みにしてピッチ走法。
ダーリンはこの時点ですでにお疲れ~

それにしても、風もなく穏やかで、なんとまあ空の青いことよ。
たしかに雪道は少々難儀だが、それにもまして素晴らしい景色で、楽しい登りとなった

10時36分、大野峠に到着。
標準コースタイムの2割増し程度、時間がかかっていることになる。
時間に余裕を持てるよう、頑張って早く出て来てよかった。
野鳥の写真撮影に自家用車で訪れた男性と、しばし歓談しつつ、小休止。
大野峠から、一気に雪が深くなったが、トレースがつけられているので道に迷うことはない。
ただ、雪が深い所で膝丈以上あるので、スパッツや防水ウェア・シューズ、長靴などで
足元をしっかり固めないと、どんなに注意深く踏み跡をなぞっても
深くえぐられたトレースの両脇を擦ったり、雪が靴に入ったりして、悲惨なことになりそうだ。
この後、丸山展望台でローカットシューズを履いたジーンズ姿の男性と
県民の森の東屋の前で、やはりローカットシューズにズボン姿の男性と
東屋から下る際の尾根道で、ハイカットシューズを履いているもののスパッツなしで
靴下に雪をたくさんつけた、山スカート姿の女性とすれ違ったが
その後、皆さん何事もなければよいが。

大野峠から、ほぼ直線的につけられた急傾斜のトレースを辿ること10分。
10時46分に、東に面して広けた場所に出る。
パラグライダーかハンググライダーの発信地らしく、展望も抜群。

この日は無風で吹き流しも垂れており、雪原に出ると日光が反射してぽかぽか陽気に感じる。
北には白石峠から剣ヶ峰を経て堂平山へ至る山並みが間近に見える。

そのまま目を右、つまり東に転じると、筑波山・加波山の山並みが浮かび上がる。

さらに目を右に転じ、南東方面を見やると、東京スカイツリーが。
さらに南に見える新宿の高層ビル群と離れて、ぽつりと孤高を保っている。
目視ではもっとはっきり見えたが、写真では(というよりぴすけのカメラでは)これが限界。
5分ばかり展望を楽しんだ後、丸山山頂を目指す。

残雪につけられた、ウサギの足跡。

先ほどの広場から5分で、白石峠への分岐に出る。

美しい雪の砂紋に見とれながら、雪に足を取られないように進む。
丸山山頂手前は、このコース中いちばん雪が深く、つけられたトレースも足跡状態で
無理をしてその足跡に合わせるくらいなら、ラッセルで進んだ方が身に合っている。

11時34分、芦ヶ久保駅を出て3時間14分後、ようやく丸山山頂に到着。
やはり無雪期のコースタイムの2割増しだ。
丸山山頂には、ちょっと異様なコンクリート製の展望台が建っている。
展望台の上では、先客の登山者が食事をしようとしているところだった。

ドーン
展望台からは、ほぼ360度視界が開け、眼前に武甲山が山肌もあらわに迫ってくる。
石灰岩採掘のための採掘痕が、積雪があるため、筋状にくっきりと見て取れる。

西には鋸状の稜線が特徴的な両神山をはじめ、三宝山・甲武信岳といった奥秩父の山が連なる。

北西には、真っ白で優美な容姿の浅間山の手前に、御荷鉾山が控えている。
目視では、視線を北から東に転じれば、妙義山や草津白根山が続き
苗場山や谷川岳などの上越国境の白い峰々の手前には榛名の山々が見え
その先には赤城連峰、日光の山々、東には筑波山が見えた。
この先の県民の森に東屋があるとも知らず
ぴすけとダーリンは日当たりの良い場所のベンチの雪を払い、そこでお昼を食べた。
背中に受ける陽射しで体は暖かいものの、雪の上に下ろした足が切られるように冷たく
靴の中で指を動かし続けたものの、思わず愚痴が出た。
「ああ、これで私の足の指は終わった…しもやけ、悪化だよ~。」
指の感覚がなくなりつつあったので、休憩もそこそこに立ち上がり
「さあ、行こうか
と言ったところ
「あれ~、もうお出掛けですか?」
と、言われてしまった。

12時20分に丸山を後にして、県民の森を右手に見つつ、東屋の建つ分岐を左折。
防火帯の、切り開かれた気持ちの良い尾根を一気に下る。
途中、林道が三又に分岐する地点に出て、日向山に向かうには木の子茶屋方面へ左折。
木の子茶屋の手前から日向山に向かう道もあるようだが、茶屋の先のトイレに寄り道をする。

13時45分、トイレの脇の木段を上り、「山の花道」と名付けられた散策路を進む。

14時、日向山の山頂に到着。
山頂では、親子連れが雪だるまを作って遊んでいた。

日向山山頂から19分、登山道に設置されている動物除けのネットを開閉して進む。

ネットの先を下りれば、琴平神社だ。
昭文社『山と高原地図22 奥武蔵・奥秩父』の2006年版では
日向山から琴平神社に向かうルートが神社の東側に出るように書かれているが
実際のルートは神社の西側に出る。
最新版では直っているのだろうか。
琴平神社の参道を下り、舗装路を左折し、高原パーク横瀬方面へと向かう。

高原パーク横瀬の前に、「横瀬駅(6番峠コース)」を指し示す道標がある。
6番峠コースは、「風の道」とも呼ばれているようだ。
道標の指し示すとおりに左折し、雪道を進む。

しばらく行くと、民家の間を抜けて舗装路に出る。
そこにあったのがイノシシ飼育場で、我々が通りかかると
イノシシ達は一斉に我々に視線を集中、我々が移動するとあちらも移動した。
面白いので、しばらく手を振ってみたり、行ったり来たりしながら、イノシシをからかう。
ここから舗装路かと思いきや、再び雪道に入り、秩父札所六番・卜雲寺の手前で舗装路になる。

秩父札所六番・卜雲寺(荻野堂)に着いたのは15時15分。

本堂を背に武甲山を眺めれば、電信柱がちょいと邪魔だが、威風堂々。

それにしても、この採掘痕は、痛々しい。
卜雲寺を後にして、トラックがバンバン走る国道299号を道なりに横瀬駅方面へと歩く。

途中、横瀬小学校の手前を右に入り、15時55分に武甲温泉へ到着。
この温泉、取り立ててどうということもないのだが、炭酸泉の湯船がある。
これがまたぴすけ好みのぬる湯で、浸かると気泡が全身に付き
さらには気のせいかもしれないが、膝から先がチリチリというか、ジンジンというか
なんだか足先に血液が廻っているような、不思議な感覚を体験したのである。
丸山の山頂で「ぴすけの足の指は終わった」と悲嘆に暮れたのが嘘のように
炭酸泉の風呂にじっくり浸かったからか、今までのしもやけさえ治ってしまったのだ
これにはびっくりするやら、嬉しいやら


ぴすけが風呂から上がり、待ち合わせ場所の広間に行くと、ダーリンは熟睡していた
慣れない雪道のうえ、累積標高差(+)835m、(-)946m、距離約13.3km(カシミール3D調べ)と
意外とハードな山歩きだったこともあり、相当疲れたようだ。
日も暮れて、トラックがバンバン走る国道299号を歩くことも
雪が凍ってツルツルの舗装道路を歩くことも、ダーリンは億劫だったとみえ
「今日は御花畑の駅まで歩かないで、タクシーを呼んじゃおうよ。」
ということになり、タクシーで秩父鉄道の御花畑駅へと向かった。
御花畑駅17時27分発の電車に乗り、途中羽生駅で東武伊勢崎線に乗り換え
最寄駅に19時24分に到着。
この夜、ダーリンは朝まで1回も起きず、4時に目覚めることもなく、ぐっすりと眠れたようだ。
めでたしめでたし



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4 コメント

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風紋がきれいでした (cellist)
2013-01-23 21:21:56
こんにちは。久々にコメントを投稿させて頂きます。
ダーリン殿もすっかり復調されたご様子でなによりです。

さて丸山は、ぴすけさん達の2週間前に歩いておりました。
その時は、霜が見られる程度でほぼ乾燥した道だったのですが、
あの大雪でこんなにも景色が変わっていたとは。

その時は歩かなかったのですが、大野峠から登る道も良さそうですね。
雪原と風紋の写真がきれいでしたから、降雪直後のコースとしては絶妙の選択だったのではないでしょうか。

私も年に1~2度は積雪後を狙って出掛けたりしますが、雪の風紋はまだ見たことがありません。
これまでは奥多摩あたりが多かったのですが、次に行くときは秩父方面にしてみようかな。
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参考になります。 (can)
2013-01-24 18:15:27
深い雪で大変でしたね。丸山は「セツブンソウ」が咲くというので、2月下旬を予定しています。参考になりました。
体の回復は口から始まるんですね?!?!$
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雪でも行くんだ?! (ぽぴ)
2013-01-24 19:15:56
暑さには強いが冬には冬眠系ではないかとのこれまでのイメージを脱却するかの、雪踏み分けてのお山行き。ついにオールシーズン対応の夏山雪山女に至りますか~。。。


しもやけに効く湯にめぐりあえたのはよかったですねえ(^^)


雨もそうだけど、たくさん雪が降った後の空や空気や雲の中には、なんだかほんとに余分なものがなにもないみたいな、すっきりさ。特に雪は、ふりつもったところも抜群に美しいので、耐寒仕様の私としては、タイヘンにならないくらい雪が時々つもる冬の風景はいいものだなあと思っています。
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雪の後で面白かったです (ぴすけ)
2013-01-24 21:55:01
>cellistさん
ようこそおいでくださいました。
丸山→日向山は、以前から計画していましたが、なかなか歩く機会に恵まれませんでした。
cellistさんの丸山の記事も拝読しておりましたが、まさか2週間後、しかも降雪後に行くことになるとは思ってもみませんでした。
cellistさんの記事の写真と、同じ場所でも全く違う景色のようになっていて、面白かったですよ。
大野峠までは、単調な植林帯ですので、むしろ雪の後で変化を楽しめたのかもしれません。


>canさん
一般道を歩く方が怖くて危険かもしれないと感じるほど、雪の状態が良かったので助かりました。
山も、2月下旬にはまた違った装いになるのでしょうね。
セツブンソウに会えると良いですね。


>ぽぴさん
敢えて、雪だから行った訳ではなく、この時どこも雪だったので仕方なく…と言ったところでしょうか。
私のネックは寒さ自体ではなく、「しもやけ」。
しもやけにならないのなら、寒くても大丈夫です。
しもやけに効きそうな炭酸泉、探したら近所に人工炭酸泉のある入浴施設があったので、今度行ってみようとダーリンと話しています。

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