玉慘花愁出鳳城,蓮花樓下柳青青。
樽前一唱陽關曲,別箇人人第五程。
尋好夢,夢難成,有誰知我此時情。
枕前淚共階前雨,隔個窗兒滴到明。
北宋の聶勝瓊の詞。それを現代の人間がメロディーをつけて歌ってしまうのだから凄い。ちなみに、この方は、ご存知テレサ・テン。
あるいは、表意文字の漢字だからこそできるのかもしれない。
聶勝瓊が歌ったであろう発音はもはや分からない。分からないこそ開き直って現代語音で歌ってしまうことができる。そして、その方が、意味がストレートに伝わって来るのである。
玉慘花は塞外に咲き、蓮花楼には柳が映える
酒樽を前に別れの曲を歌えば、もはやあの人は遥か彼方
夢を見ても、夢はかなわない
誰が分かってくれるだろうか、私のこの心を
枕に流す我が涙、降りしきる春の雨
窓を隔てて共に夜を明かす
紅に緑が映ずる春は、別れの季節でもある。相思相愛となっても男は妻のいる身、妓女を連れて帰るわけにはいかない。置いて行かれた聶勝瓊は独り別れを嘆いて泣き明かす他無い。。
――と思いきや、後日談があって、男の奥さんの許可が出て、聶勝瓊はめでたく妾として家に迎えられたという。
まぁ、一夫多妻だった時代ならではの結末である。
現代の我々がそれにとやかく言うのは無粋であろう。