道草あつめ

日常思いついた由無し事を、気ままに拾い集めています。

昨日は

2009-03-22 22:54:40 | 趣味愛好
升田幸三の誕生日だった。
朝日新聞の記事では「命日」って書いてあったけれど、誕生日。

私は升田幸三が好きである。
一番好きな棋士だ。
というよりも、彼以外の棋士についてよく知らないから、
正確には、「唯一知っている棋士」とでも言うべきかもしれない。

高校時代は升田式石田流ばかり指していたけれど、
ただし、あれは、みんなが嫌がるから、していただけ。
8年経った今では、升田式が大分流行しているらしく、
たまに将棋を指した時にやってみても、みんな全然嫌がらないので、つまらない。そろそろ別のハメ技を考えなければならないだろう。


私が升田幸三を好きなのは、
まずは、
「新手一生」
これにつきる。
修行時代から、定跡を外して自己流。しかも、構想がダイナミックで、見ていて面白い。
ひどいエピソードもあって、先輩棋士が一般向けの講座で角落ちについての語った後に、升田と模範大局をしたのだが、升田は定跡と全然違うことをやって、動揺している先輩を負かしてしまった。角落ち定跡の講座だろうがなんだろうがお構い無しに、好き勝手やる。

それから、このエピソードでも分かる通り、反骨心が強い。
基本的に好き勝手やる。接待将棋であろうと何だろうと、わざと負けることはなかったとか。
戦後すぐにGHQに呼ばれた時も、ビールを飲ませろと言うわ、飲んだビールがまずいと言うわ、「おんどれら」と言うわ(もっとも、これは通訳が意味を知らなかったので、相手には伝わらなかった)、しまいには「木村義雄(名人)が海軍大学等で講演しまくったから戦争に負けた。オレが代わりにやっとったら、日本が勝っておる」と言う始末。

言葉のセンスも良い。軽快で、語呂が良い。ミモフタもないことを平気で言うから面白い。
「錯覚いけない、よく見るよろし」
「名人など所詮はゴミのようなもの」「(自分は)ゴミにたかるハエ」
「棋士は無くてもいい商売だ。だからプロはファンにとって面白い将棋を指す義務がある」
発言もとにかく好き勝手だから面白い。偏見やらその場の勢いのでまかせやらホラやらで、かなりヒドイものもあるけれど。

そして、何よりも、将棋に限らず、何か普遍的なものを見ようとしている。
升田自身は「物事を、将棋にあてはめて考える癖がある」と言っていたけれど、
将棋で得た洞察を、他の物事に応用して、それがまたおかしい。
「着眼大局、着手小局」なんてのは、今で言う「Think global, act local」なんだろうけれど、
他にも、雑用係をやっていた時に得た見解、
軍隊生活が空白の期間となった体験と修行となった体験の違い、
等々、彼の自伝からは、将棋指しでなくても得るものがある。
剣術を究めていくうちに、書や花も究めた宮本武蔵にも似ている。
そういえば、自転車で大怪我をするまでは、剣豪になりたかったらしい。


「名人に香車を引いて勝ったら大阪に行く」(本人も意味は憶えていない。自伝では、「広島名人をやっつけ」てから「本場の大阪に行」く、ということではないかと推量している)と言って、無一文で家出して広島まで歩いて行って、洗濯屋で働きながら将棋を勉強して、紹介状を得るなりそこを飛び出して、また無一文で大阪に向かう。
酒の飲み過ぎ(五歳から飲んでる)で健康を損ね、それでもしまいには、香落ちで名人を倒している。

ああいう棋士は、もう出ないんだろうな、と思う。

修論執筆中に No.3

2009-03-08 13:01:33 | 趣味愛好
お経を作りました。
名付けて『百足般若經』。

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色則似空、空則皆色
愛慾色色、佛道空空


色即是空、空即是色
色非是色、空非是空
是色是空、非色非空
色不色即空不空、空不空即色不色

非色即非空、非空即非色
非色非非色、非空非非空
是非色是非空、非非色非非空
色不色非無非有即空不空非有非無、空不空非有非無即色不色非無非有

非非色即非非空、非非空即非非色
非非色非非非色、非非空非非非空
是非非色是非非空、非非非色非非非空
色不色非無非有非色不色非無非有即空不空非有非無非空不空非有非無、空不空非有非無非空不空非有非無即色不色非無非有非色不色非無非有

非非非色即非非非空、非非非空即非非非色
非非非色非非非非色、非非非空非非非非空
是非非非色是非非非空、非非非非色非非非非空
色不色非有非無非色不色非有非無即空不空非有非無非空不空非有非無非色不色非無非有非色不色非無非有即空不空非有非無非空不空非有非無、空不空非有非無非空不空非有非無即色不色非無非有非色不色非無非有非空不空非有非無非空不空非有非無即色不色非無非有非色不色非無非有


即是即非、即非即是
是是是、是非是、是是非、是非非
非是非、非非非、非是是、非非是

即是即色即空、即非即空即色
色即是色、色非是色、色即是空、色非是空
空即是空、空非是空、空即是色、空非是色

此言即是即非、彼言即非即是
色即是色色非是色色即是空色非是空即是色即是色色非是色色即是空色非是空、色即是色色非是色色即是空色非是空非是色即是色色非是色色即是空色非是空
空即是空空非是空空即是色空非是色即是空即是空空非是空空即是色空非是色、空即是空空非是空空即是色空非是色非是空即是空空非是空空即是色空非是色

余技

2008-12-14 17:06:22 | 趣味愛好
漢文をしていると、どのフォントにもない漢字を打ちこまなければならないことがある。

その時、どうするか。

作るのである。


古典的手法としては、外字エディタがあるのだが、
あまり綺麗ではないし、他のパソコンで見ることができない。

画像として作って、ワードに貼れば、
データは重くなるけれど、他の人に送れるし、
明朝でもゴシックでも、何でも切り貼り組み合わせで、
いろんな字体でいろんな字を偽造できる。


これは、その一例。全て明朝体。

ケーキさん

2006-02-10 23:18:41 | 趣味愛好

明治以降の一連の改革で、将軍や大名というのはなくなったが、将軍家や大名家は公爵や伯爵として残った。いわゆる華族である。

その中で徳川家も華族として、8家が存続した。すなわち、徳川宗家、御三家(尾張・紀伊・水戸)、御三卿(一橋・田安・清水)、徳川慶喜家……「徳川慶喜家」とはすごい名前である。
朝敵の汚名が晴れて隠居先から東京に戻った徳川慶喜が、宗家の家督は維新直後に徳川家建に譲ってしまったため、別家の扱いで公爵に封ぜられたのが始まりらしい。
いや、しかし、すごいセンスのネーミングである。。「首都大学東京」もびっくりだ。

そんな徳川慶喜家の現当主がを本を出しているのだが、これがなかなか面白い。
「川慶喜家の食卓」というのだが、書き口も内容も、「将軍様」やら「華族様」というのではなく、一般人の著書という感じである。強いて言えば、慶喜を「曽祖父」としてたびたび持ち上げるが、ご愛嬌であろう。

しかし、「ハイカラケイキさん」と呼ばれた慶喜の血なのか、こだわりは尋常ではない。
コーヒーにこだわるあまり、「将軍珈琲」なんてものまでできてしまった。
やりたいコトはとことんやるらしい。

そんな数寄者の家系も、そのうち途絶えてしまいそうである。かつて公爵として貴族院参加権を持っていた名家も、戦後はごく普通の家となり、今の当主に至っては50代独身で、結婚する気もなし。
しかし、現当主、家系存続なんぞにこだわらない分、なんだかすごく活き活きとしてる。
マイペースで、しかし妥協することなく、日常生活を存分に楽しんでいる。

まさにこれこそ「独身貴族」である。