星守る犬 村上たかし 全1巻
本当は映画を見るつもりだった。TSUTAYAでブルーレイを借りてきていた。準新作だが、セールで一週間レンタル80円だったから借りてきた。しかし前述のようにチビが泊まりに来ることになり、そんな日に見られるわけもなく、80円だからと諦めて見ずに返す羽目になった。まぁ今はそれで良かったのかもと思っている。
拾われた犬は家族を愛して育ってきたが、変わらないと思っていた家族の関係は年を経るたびに少しずつ変化していった。かわいがってくれた女の子は夜遊びをする成年になり出て行った。ご飯を作ってくれていた母親は、「別れて」といなくなる。後に残ったのは病気で働けなくなった父親だけ。彼はいつも犬を散歩に連れて行ってくれていた。
離婚して何もなくなったお父さんと一匹は、一路南を目指す旅に出た。車で寝泊まりしながら南を目指す。途中浮浪者の子どもに出会う。犬は病気になる。日に日に父の身体は悪くなり、最後にたどり着いたのは・・。
家にも犬がいる。子どもが小さかった時に犬が欲しいと言ってシェルティを飼った。その犬がいつ死んでもおかしくなくなった晩年、子どもの具合が悪くなり、ある時にもう一匹の犬を買った。同じシェルティで、今度は雌だった。数あるシェルティでも最上級の美人だろう。その雌の元気さに引っ張られるように、老犬も少し元気を取り戻し2年ほど長生きした。子どもも元気に立ち直り、家人と二人+1匹の生活になった。やがてチビが出来、愛情はチビへとシフトしていった。
もちろん今も犬を愛しているし、可愛がっている。だけどチビが生まれる前、「子どもが出来ても同じようにおまえを愛するから」と言っていた自分とは違っているだろう。
この本を読んで今少し胸が痛い。
犬は人間の7倍速く年をとる。なら7倍濃い愛情をかけてあげなければと思う。一日一日に1週間分の愛情を注がなければと。
チビが寝たので階下に降りてみた。犬がいなかった。探すと、私の書斎に入って寝ていた。毛の長い犬だ。普段の場所より涼しい場所を見つけたのだろう。
名前を呼ぶとよろよろ立ち上がり、いつもの場所に移動した。ここは入っても寝ても行けない場所と思ったからに違いない。
いいよ、今日はそこで寝ても。
そう言ったのだが、やはり戻ろうとはしなかった。
明日はチビと犬の両方と遊んでやらなければ。犬だから、人間だからなんて言わずに、自分に愛をくれた全てのものに愛を返さなければと思う。
私は愛をもらうばかりで、本当に返してきたのだろうかと思ってしまう・・。