よみすて新聞 第5963号(日刊) 2010年(平成22年)4月1日(木曜日)14版 発行所 読捨新聞東京本社
◆ 教員席は全席指定 都立校の卒業式・入学式
東京都教育委員会は2003年10月23日、国旗掲揚や国歌斉唱の仕方を細かく指示する通達(実施指針)を出した。
「入学式や卒業式において教職員は指定された席で国旗に向かって起立し、国歌を斉唱する」などと規定し、校長の職務命令に従わない都立学校の教職員は厳しく処分する方針が明確にされた。
都教委は、式典の準備から運営まで細かく指示。校長に報告させるとともに、式典当日には指導主事を全校に派遣し、教職員の起立と斉唱を確認している。
東京都の学校現場を「まるで戦前みたい」などと評する人もいる。
◆ 国旗に向かって起立斉唱
舞台の壇上正面に「日の丸」と都旗が褐げられ、式次第の冒頭で司会者がアナウンスを始めた。
「国歌斉唱。ご起立ください。前奏に続いてご唱和ください」 音楽教員が「君が代」をピアノ伴奏する中、教職員は全員が起立し続けた。
式典前日には、教職員一人一人に対して校長から、「会場の指定された席で国旗に向かって起立して国歌を斉唱すること。着席の指示があるまで起立していること」などと書かれた職務命令書が交付。当日の休暇は一切認めないとの方針も示された。
式次第、教職員座席表、会場図、役割分担など、校長は一つ一つ都教委にお伺いを立て、許可を得なければゴーサインは出ない。各校のカラーや特色に応バラエティー豊かな式が実施できる余地はまずない。
これまでは式典の内容や進行はそれぞれの学校で議論したうえで、校長の責任で決めていた。ところが2003年の通達が出されてから、式典に関する各校の自由度は全くと言っていいほどなくなった。
*画一的な卒業式や入学式が強要され、教員は起立しないだけで厳しく処分される。この時期、学校は重苦しい空気に包まれる。
◆ 従わなければ処分 生徒へ指導徹底も
国歌斉唱の際に起立しなかったり、ピアノ伴奏を拒んだりして職務命令に従わない教職員を、都教委は大量処分している。2003年の通達から昨年3月末までに、延べ422人の教職員が懲戒処分を受けた。
さらに都教委は、「生徒が起立して国歌を歌わないのは教員の指導に問題があるからだ」として「指導」を始めた。起立しない生徒が多かった高校の担任教員らに対し、指導力不足を理由に注意をした。卒業式での教員のスピーチなども「不適切な言動」として、厳重注意などの対象とした。
教員の生徒への指導責任を問うことに、現場は「生徒の自由意志の制約につながる」と反発する。また、通達までは国歌斉唱に先立ち「内心の自由」について説明する学校が多かったが、アナウンスは一切認められなくなった。
都教委は「あえて説明する必要はない」としている。
◆ 教員側の主張
「強制は思想の自由侵害」
「教育への不当な支配だ」
学習指導要領は大綱的基準で、無限定な法的拘束力を認めることはできない。国旗・国歌の強制は教育法理に照らして著しく適切さを欠く。都教委通達は、学習指導要領の国旗・国歌条項すら逸脱して、画一的な入学式・卒業式を定めており,教職員は,国旗に向かって起立し、国歌を斉唱し、国歌斉唱の際にピアノ伴奏する義務を負っていない。
入学式・卒業式などの式典で、国旗に向かって起立し.国歌を斉唱し、国歌斉唱の際にピアノ伴奏する行為は、「日の丸・君が代」に敬意を払うことだ。「君が代」には*天皇支配の時代の永続を願う意味が込められている、と考える人もいる。
このような行為を行うか否かは、人の世界観、人生観など個人の人格的内面に密接にかかわる。憲法に基づいて、自らの思想・良心に従って、決定する自由が保障されるべきだ。
教職員は、真理・真実を確認して創造的な授業や教育活動を行い、生徒の自由で豊かな成長にこたえる職責を果たすため、全体の奉仕者として「国民全体に対して直接に責任を負う」とされている。公共の福祉や職務の公共性を根拠に、思想・良心の自由を制約することは許されない。
都教委通達は、教職員による創造的で弾力的な教育の余地を奪い、一方的に一定の理論や観念を生徒に教え込むことを強制する。教職員に保障されている教育の自由を侵害し、教育への不当な支配に当たる。
東京・教育の自由裁判をすすめる会 〒160-0008 新宿区三栄町6小椋ビル401(FAX 03-6423-8420)
◆ 教員席は全席指定 都立校の卒業式・入学式
東京都教育委員会は2003年10月23日、国旗掲揚や国歌斉唱の仕方を細かく指示する通達(実施指針)を出した。
「入学式や卒業式において教職員は指定された席で国旗に向かって起立し、国歌を斉唱する」などと規定し、校長の職務命令に従わない都立学校の教職員は厳しく処分する方針が明確にされた。
都教委は、式典の準備から運営まで細かく指示。校長に報告させるとともに、式典当日には指導主事を全校に派遣し、教職員の起立と斉唱を確認している。
東京都の学校現場を「まるで戦前みたい」などと評する人もいる。
◆ 国旗に向かって起立斉唱
舞台の壇上正面に「日の丸」と都旗が褐げられ、式次第の冒頭で司会者がアナウンスを始めた。
「国歌斉唱。ご起立ください。前奏に続いてご唱和ください」 音楽教員が「君が代」をピアノ伴奏する中、教職員は全員が起立し続けた。
式典前日には、教職員一人一人に対して校長から、「会場の指定された席で国旗に向かって起立して国歌を斉唱すること。着席の指示があるまで起立していること」などと書かれた職務命令書が交付。当日の休暇は一切認めないとの方針も示された。
式次第、教職員座席表、会場図、役割分担など、校長は一つ一つ都教委にお伺いを立て、許可を得なければゴーサインは出ない。各校のカラーや特色に応バラエティー豊かな式が実施できる余地はまずない。
これまでは式典の内容や進行はそれぞれの学校で議論したうえで、校長の責任で決めていた。ところが2003年の通達が出されてから、式典に関する各校の自由度は全くと言っていいほどなくなった。
*画一的な卒業式や入学式が強要され、教員は起立しないだけで厳しく処分される。この時期、学校は重苦しい空気に包まれる。
◆ 従わなければ処分 生徒へ指導徹底も
国歌斉唱の際に起立しなかったり、ピアノ伴奏を拒んだりして職務命令に従わない教職員を、都教委は大量処分している。2003年の通達から昨年3月末までに、延べ422人の教職員が懲戒処分を受けた。
さらに都教委は、「生徒が起立して国歌を歌わないのは教員の指導に問題があるからだ」として「指導」を始めた。起立しない生徒が多かった高校の担任教員らに対し、指導力不足を理由に注意をした。卒業式での教員のスピーチなども「不適切な言動」として、厳重注意などの対象とした。
教員の生徒への指導責任を問うことに、現場は「生徒の自由意志の制約につながる」と反発する。また、通達までは国歌斉唱に先立ち「内心の自由」について説明する学校が多かったが、アナウンスは一切認められなくなった。
都教委は「あえて説明する必要はない」としている。
◆ 教員側の主張
「強制は思想の自由侵害」
「教育への不当な支配だ」
学習指導要領は大綱的基準で、無限定な法的拘束力を認めることはできない。国旗・国歌の強制は教育法理に照らして著しく適切さを欠く。都教委通達は、学習指導要領の国旗・国歌条項すら逸脱して、画一的な入学式・卒業式を定めており,教職員は,国旗に向かって起立し、国歌を斉唱し、国歌斉唱の際にピアノ伴奏する義務を負っていない。
入学式・卒業式などの式典で、国旗に向かって起立し.国歌を斉唱し、国歌斉唱の際にピアノ伴奏する行為は、「日の丸・君が代」に敬意を払うことだ。「君が代」には*天皇支配の時代の永続を願う意味が込められている、と考える人もいる。
このような行為を行うか否かは、人の世界観、人生観など個人の人格的内面に密接にかかわる。憲法に基づいて、自らの思想・良心に従って、決定する自由が保障されるべきだ。
教職員は、真理・真実を確認して創造的な授業や教育活動を行い、生徒の自由で豊かな成長にこたえる職責を果たすため、全体の奉仕者として「国民全体に対して直接に責任を負う」とされている。公共の福祉や職務の公共性を根拠に、思想・良心の自由を制約することは許されない。
都教委通達は、教職員による創造的で弾力的な教育の余地を奪い、一方的に一定の理論や観念を生徒に教え込むことを強制する。教職員に保障されている教育の自由を侵害し、教育への不当な支配に当たる。
東京・教育の自由裁判をすすめる会 〒160-0008 新宿区三栄町6小椋ビル401(FAX 03-6423-8420)
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