◆ 「人間と社会」毒抜きの試み その後 (被処分者の会通信)
四年生を対象にした、「人間と社会」「総合的な学習の時間」の報告をお届けします。
全員が就職希望。とはいえ“声優になりたい”“コンピューターの仕事がいい”“夢は動物園の飼育員”という彼らの希望と、高卒求人とのギャップは大きく、無理だと知ると「もう何をしていいかわからない!」「フリーターがいい」となります。それでも、彼らは自分の力で生きていかなければなりません。
彼らには1年前から前年度の求人票を見せて選んでもらい、選んだ理由を発表してもらいました。その上で求人票の見方を話します。
雇用形態の違い、勤務時間は固定か変形制か、時間外労働は平均何時間か。年間の休日は何日か。「シフト制」はバイトのように好きな時間に働けるわけではないので、要注意。
固定残業代込みで給料が高く見せていないか。事情のある生徒には寮があるかも重要です。そして、労働組合はあるか(ほとんど組合はないし、あっても連合系の労組なのですが)。
こうしていくと、「残業時間って何時間までなら大丈夫なの?」などと生徒から疑問が出てきます。待ってました!です。
こんなふうにして、一方で常識的な“就活スキル”の訓練も交えながら、少しずつ現実に働くことについて語り合ってきました。
11月以降は、入社したら労働条件通知書と就業規則は必ずもらおう、困ったときに相談できるところ、ブラック企業に転職しないために、などを話してきました。
1月末、「最後の授業は僕がやります」と、担任から申し出がありました。
この1年半の学習の総括作文を書かせてくれたのです。いただいた作文は、不安ながらも頑張ろうという気持ちのこもった文章でした。
そして、私の話を、彼らなりに受け止めてくれていたことが伝わってきました。
我慢か逆切れの二択ではなく、労働者としての権利の担い手になってほしい。けれど、口下手な彼らが外部の相談機関をうまく活用できる気がしません。
私も来年で定年、学級減で過員解消になるかもしれません。けれどもう少し大人になるまで、卒業生も支えてあげられる学校、教員でありたい。それが私の願いです。
『被処分者の会通信 122号』(2019年3月19日)
O(K・定)
四年生を対象にした、「人間と社会」「総合的な学習の時間」の報告をお届けします。
全員が就職希望。とはいえ“声優になりたい”“コンピューターの仕事がいい”“夢は動物園の飼育員”という彼らの希望と、高卒求人とのギャップは大きく、無理だと知ると「もう何をしていいかわからない!」「フリーターがいい」となります。それでも、彼らは自分の力で生きていかなければなりません。
彼らには1年前から前年度の求人票を見せて選んでもらい、選んだ理由を発表してもらいました。その上で求人票の見方を話します。
雇用形態の違い、勤務時間は固定か変形制か、時間外労働は平均何時間か。年間の休日は何日か。「シフト制」はバイトのように好きな時間に働けるわけではないので、要注意。
固定残業代込みで給料が高く見せていないか。事情のある生徒には寮があるかも重要です。そして、労働組合はあるか(ほとんど組合はないし、あっても連合系の労組なのですが)。
こうしていくと、「残業時間って何時間までなら大丈夫なの?」などと生徒から疑問が出てきます。待ってました!です。
こんなふうにして、一方で常識的な“就活スキル”の訓練も交えながら、少しずつ現実に働くことについて語り合ってきました。
11月以降は、入社したら労働条件通知書と就業規則は必ずもらおう、困ったときに相談できるところ、ブラック企業に転職しないために、などを話してきました。
1月末、「最後の授業は僕がやります」と、担任から申し出がありました。
この1年半の学習の総括作文を書かせてくれたのです。いただいた作文は、不安ながらも頑張ろうという気持ちのこもった文章でした。
そして、私の話を、彼らなりに受け止めてくれていたことが伝わってきました。
「トラブル等が起こるかもしれないので、それが不当な事だったら労働組合の首都圏青年ユニオンに相談したいと思います。」最も心配していた、自衛隊に入隊する生徒は次のように書いていました。
「労働法をしっかりと理解し活用しようと思う。なぜなら、サービス残業、りストラといった言わゆるブラック企業なのか判断出来るようにしときたいからです。なにもわからず働いて体を壊しでもしたら自分自身が知らなかったことに関してなにも出来ないからです。」
「これから先ブラック企業に入ってしまったときはこの一年半で学んだことを思い出して、ブラック企業と戦っていこうと思います。」
「自衛隊はイジメが酷いとよくききます。イジメに合って自衛隊を辞めてしまう人がよくいます。もしかしたら私も同じ目に合う可能性はゼロではありません。……自衛隊を辞めて他の会社につくというのも第二の人生を歩む事だと思います。」そして、多くの生徒が、私の呼びかけに答えて、困ったことがあったら学校に相談に来ると書いています。
我慢か逆切れの二択ではなく、労働者としての権利の担い手になってほしい。けれど、口下手な彼らが外部の相談機関をうまく活用できる気がしません。
私も来年で定年、学級減で過員解消になるかもしれません。けれどもう少し大人になるまで、卒業生も支えてあげられる学校、教員でありたい。それが私の願いです。
『被処分者の会通信 122号』(2019年3月19日)
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