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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

1.21都教委要請(4)別添資料

2015年01月23日 | 日の丸・君が代関連ニュース
  =卒業式・入学式対策本部要請書 【別添資料】=
 ◎ 国連勧告パラグラフ22が採択されたいきさつとその意味


 第6回日本政府審査に当たり、2つのNGOから東京都の卒業式関連のレポートが、国連に提出され、それに対して国連からの応答があった。それがパラグラフ22(「公共の福祉」を理由とした基本的自由の制約)である。
 【1】君が代裁判関係2つのNGOが、国連自由権規約委員会(CCPR)に提出したカウンターレポート (2013年7月)
 ①<板橋高校卒業式事件から「表現の自由」をめざす会>『「意見及び表現の自由」(規約19条)と「公共の福祉」』
   A.論点(1) : 『政府報告書』パラグラフ6で引用された「板橋高校卒業式事件最高裁判決」で、藤田さんに刑事罰を科していることは自由権規約19条違反である。
   D.意見 D-1 : 「表現の自由」制限には、国内法の「公共の福祉」ではなく、規約19条3項が適用されなければならない。
(和文)http://wind.ap.teacup.com/people/html/20130722itabashicounterreport.pdf
(英文)http://wind.ap.teacup.com/people/html/20130823alternativereportfreedomofexpression.pdf
 ②<東京・教育の自由裁判をすすめる会>のレポート 『「日の丸・君が代」問題(規約 第18条、19条)』
   A 私達の訴えたい論点 : 1.規約第18条、19条に違反する、学校での卒業式・入学式における、教職員、児童生徒、式参列者に対する「日の丸・君が代」起立斉唱強制問題
(和文)http://jwchr.s59.xrea.com/x/shiryou/20130720Paralle%20Report%20to%20CCPR%20JAPANESE.pdf
(英文)http://jwchr.s59.xrea.com/x/shiryou/20130720Parallel%20Report%20to%20CCPR.pdf
 【2】CCPRから日本政府に当てた"List of Issues パラグラフ17" (2013年10月)
 CCPRが、2つのレポートが提起した問題を1つの質問項目にまとめて日本政府に問い合わせてくれた。
 17.締約国は、規約委員会の前回の総括所見(CCPR/C/JPN/CO/5、パラ10)を踏まえて、「公共の福祉」概念を定義し、かつ、「公共の福祉」に基づく宗教、意見、および表現の自由に対するいかなる制約も規約の許す範囲を超えてはならないことを明記する法律を制定する意向があるのかどうか、示してください。
   教職員が学校儀式において起立し国歌を斉唱することを拒否したことに対して、減給、停職、および解雇を含む処分を受けているという報告に関して意見を述べてください。
(和文)http://jwchr.s59.xrea.com/x/shiryou/2013CCPR%20List%20of%20Issues.pdf
(英文)http://tbinternet.ohchr.org/_layouts/treatybodyexternal/Download.aspx?symbolno=CCPR%2fC%2fJPN%2fQ%2f6&Lang=en
 【3】上記質問に対して、日本政府がCCPRに回答した (2014年2月)
 188. 最高裁の判例は、公立高校長が教職員に対して卒業式等の式典における国歌斉唱の際に国旗に向かって起立し国歌を斉唱することを命じた旨の職務命令の適法性が問題となった事案において、当該職務命令の目的及び内容並びにこれによってもたらされる制約の態様等を総合的に較量すれば、当該職務命令については、当該教職員の思想及び良心の自由についての間接的な制約を許容しうる程度の必要性及び合理性が認められると判示している(2011年6月6日最高裁第一小法廷判決)。なお、「公共の福祉」は、本件における思想及び良心の間接的な制約の理由とはされていない。
(和文)http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000031106.pdf
(英文)http://tbinternet.ohchr.org/_layouts/treatybodyexternal/Download.aspx?symbolno=CCPR%2fC%2fJPN%2fQ%2f6&Lang=en
 【4】自由権規約18条(思想・良心・宗教の自由)の3項
  3 宗教又は信念を表明する自由については、法律で定める制限であって公共の安全、公の秩序、公衆の健康若しくは道徳又は他の者の基本的な権利及び自由を保護するために必要なもののみを課することができる。
 【5】国連人権委員会第6回日本審査『総括所見』(CCPR/C/JPN/CO/6)パラグラフ22 (2014/7/24)
「公共の福祉」を理由とした基本的自由の制約
 委員会は、「公共の福祉」の概念が曖昧で無制限であり、自由権規約の下で許される範囲を超える制約を許す可能性がある①ことに、重ねて懸念を表明する②。(2条、18条、19条③
 委員会は前回の総括所見④(CCPR/JPN/CO/5,para.10)を想起し、規約18条・19条のそれぞれ3項に規定された厳格な条件⑤を満たさない限り、締約国が思想・良心及び宗教、あるいは表現の自由に対するいかなる制約をも課すこと⑥を控えるよう強く要請する⑦
Restriction of fundamental freedoms on grounds of "public welfare" 

 The Committee reiterates its concern② that the concept of "public welfare" is vague and open-ended and may permit restrictions exceeding those permissible under the Covenant① (arts. 2, 18 and 19③).
 The Committee recalls its previous concluding observations④ (CCPR/C/JPN/CO/5, para. 10) and urges⑦ the State party to refrain from imposing any restriction⑥ on the rights to freedom of thought, conscience and religion or freedom of expression unless they fulfil the strict conditions set out in paragraph 3 of articles 18 and 19⑤.
 <注釈>
 ① この表現は、前回第5回審査の総括所見(CCPR/JPN/CO/5,para.10)と、英文で一字一句同じである。
   ☆ すなわち、今回も前回から一歩も前進しておらず、国連の懸念は今もなお全く解消していないことが表れている。
 ② 「重ねて」とは、「公共の福祉概念」について、過去3回日本政府に問い合わせてきた経過があるから。
     (1)第3回総括所見(1993年)パラ8、
     (2)第4回(1998年)パラ8、
     (3)第5回(2008年)パラ10、
   ☆ 「公共の福祉」は、国際人権基準から見て問題が多いと指摘され続けてきており、未だ解消されていない。抜本的な改善はわが国にとって国際社会から課せられた人権に関する積年の課題なのである。
 ③ 前回までは自由権規約2条(締約国の実施義務)だけだったが、今回から新たに、18条(思想・良心・宗教の自由)、19条(表現の自由)の2項目が加わった。
   ☆ 「一般的」な人権制約への懸念から、「個別具体」の人権制約を取り上げて、焦点を絞り込んできた。
 ④ 5年前(2008年)に、ほぼ同趣旨の懸念と勧告が示されていた。
   (和文)http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kiyaku/pdfs/40_1b_5.pdf
   (英文)http://tbinternet.ohchr.org/_layouts/treatybodyexternal/Download.aspx?symbolno=CCPR%2fC%2fJPN%2f6&Lang=en
 ⑤ 自由権規約18条及び19条のそれぞれの3項については別項【4】参照。
   ☆ このように書かれたと言うことは、ここまでのやりとりから、次のことを意味すると考えて間違いない。
     (1) 「公共の福祉」は、各々の3項に掲げられた「厳しい条件」のいずれにも該当しない
     (2) 政府が回答で引用した『最高裁判例』もまた、「厳しい条件」のいずれにも該当しない
 ⑥ 「いかなる制約をも」とは、ここまでのやりとりから、
   「卒業式での起立斉唱の強制」「減給、停職、および解雇を含む処分」などであることは明らかであろう。
 ⑦ “urge”「せき立てる」という、強く促す表現である。
   ☆ 前回は“should”が使われていた。今回も「C.主要な懸念事項と勧告」の24個のパラグラフの内、パラ22以外はすべて“should”が使われている。それだけ、このパラグラフは即時執行が急かされている
 ◎ 国連勧告パラグラフ22は、東京都の卒業式関連のカウンターレポートに対する、国連自由権規約委員会(CCPR)からの応答である。
 わが国は、自由権規約の締約国として、憲法98条に則り、条約を遵守する義務を負い、勧告を尊重する責任を有している。勧告の重みを真摯に受けとめ、即時実効ある措置を執行することなくして、国際社会から尊敬(respect)され信頼されることはありえない。
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