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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

思想・信条の個人情報

2007年10月30日 | 日の丸・君が代関連ニュース
 <国歌不起立> 県教委の教師名収集は違反 神奈川・情報審

 神奈川県個人情報保護審査会(会長・矢口俊昭神奈川大教授)が、県教委が県立高校などの入学式と卒業式の国歌斉唱時に起立しなかった教職員の氏名を校長に報告させている行為について、県個人情報保護条例が禁止する「『思想、信条』に関する個人情報の収集」に該当するとの判断を示したことが28日分かった。審査会は県教委に情報の保管や利用をやめるよう答申した。県教委は同日、「答申を尊重せざるを得ない」として、05~07年度の報告分を破棄する方向で検討を始めた。(社会面に関連記事)

 ■「思想・信条の個人情報」 利用中止を答申--神奈川保護審

 県教委は06年3月の卒業式から、国歌斉唱時に起立しなかった教職員の氏名とその教職員に対して校長らが行った指導内容などを記載した経過説明書の提出を校長に指示。同年6月、県立高の教職員23人が「思想信条に関する個人情報」に当たるとして、集めた情報の消去や利用停止を県教委に請求した。
 これに対し、県教委は「集めた情報はいずれも客観的事実で、不起立の理由も聞いていないので思想信条に該当しない」との決定を出し、報告を継続させた。
 23人のうち16人は審査会に不服を申し立て、審査会は▽明確な理由のない起立拒否は想定しがたい▽起立しない理由の多くは、過去に日の丸、君が代が果たしてきた役割に対する否定的評価に基づく――などから「不起立の理由を聞かなくても一定の思想信条に基づく行為と推定できる」として、経過説明書に記載された情報を思想信条に該当する個人情報と判断。決定を取り消すよう県教委に答申した。

 申立人の1人の県立上矢部高教諭、大和田章雄さん(55)は「画期的な判断で、教育を変える大きな力になる」と評価した。
 県教委高校教育課は「主張が(答申内容に)生かされず残念」とし、今年度の卒業式以降については「これまで通り学習指導要領にのっとり、国歌斉唱時に教職員は起立するよう指導する。(不起立者の氏名を報告させるかは)県個人情報保護審議会への諮問も含め対応を検討したい」としている。不起立者の人数は「個人情報に当たらない」として、今後も各校に報告させる方針。
 国歌斉唱時に起立しなかった県立学校の教職員数は▽05年度卒業式38校77人▽06年度入学式25校43人▽同卒業式27校48人▽07年度入学式17校25人。【笈田直樹】

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 ■解説 ◇プライバシーの尊重に沿う判断
 思想・信条や宗教、人種、犯罪歴といった個人情報は「センシティブ情報」と呼ばれ、保護する度合いの高い個人情報として、神奈川県のように、個人情報保護条例の中で取り扱い自体を禁止する規定を設けている地方自治体は少なくない。県個人情報保護審査会が出した答申は、こうしたプライバシー尊重の流れに沿った判断だと言える。
 個人情報保護問題に詳しい園田寿・甲南大法科大学院教授(刑法、情報法)は「起立しないという行為自体が個人の政治的な判断であり、審査会の解釈は妥当」と指摘。
 一方、国の行政機関を対象にした個人情報保護法には同様の規定はない。日本弁護士連合会などは、センシティブ情報の収集制限規定を設けることを主張したが、政府は条文化を見送った経緯がある。
 しかし、今年6月には陸上自衛隊情報保全隊が、イラク派兵に反対する国民の個人情報を「反自衛隊活動」などとして収集していたことが発覚した。今回の審査会の答申を機に「官」による収集のあり方が改めて問われそうだ。【臺宏士】
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 ■ことば ◇個人情報保護審査会
 本人からあった個人情報の開示や利用停止などの請求に対する行政機関の決定に、行政不服審査法に基づく申し立てがあった場合、行政機関からの諮問に応じて決定の当否を審議する第三者機関。国は法律、地方自治体は条例に基づいて設置している。

『毎日新聞』(2007年10月29日 05:08)
http://news.goo.ne.jp/article/mainichi/nation/20071029ddm001040049000c.html

教育の視点→個人情報保護 新たな判断に賛否--神奈川保護審答申

 入学式や卒業式の国歌斉唱の際に、起立しなかった教師の氏名を校長に報告させることは許されるのか。こんな疑問に対し、神奈川県個人情報保護審査会が「思想・信条に関する個人情報」として、行為をやめるよう答申したことが28日、明らかになった。各地の学校で起きる「日の丸・君が代」問題。主に教育の視点から論じられてきた「難題」について、個人情報保護という観点から出された新たな判断に、識者からは賛否の声が出た。

 「今回の判断は妥当」と支持するのは、石村耕治・白鴎大教授(情報法)。その理由について「教師たちは、刑事事件の責任を問われているわけではない。国歌斉唱の問題は憲法で保障された思想・信条の自由にかかわる問題だ」と説明する。さらに、石村教授は「教師の名前を報告させることは、県教委による現場に対する厳しい締め付けをうかがわせるもの。校長は、こうした行き過ぎた行為を拒否すべきではないか」と指摘した。

 一方で、今回の答申に否定的な見解を示したのは、梶田叡一・兵庫教育大学長(教育研究)だ。梶田学長はまず「公教育は、法令に基づいてやっているもので、一人一人の思想・信条の自由を優先させるのはおかしい」と指摘。そのうえで「教育委員会が規定に反した人の情報を集めるのは当然のことで、個人情報以前の問題。今回の答申は極めて疑問が残る」と話した。また「何でも思想・信条の自由ということで認められれば、組織として動けなくなる。束縛はあってはならないが、足並みをそろえることも重要だ。起立に従わなかった教諭の名前を報告させる行為は、個人情報の収集には当たらない」としている。

 ◇不起立の教職員、過去に処分なし--神奈川県教委
 神奈川県教委は「教職員が校長の指示に従わない場合、妨害行動を行った場合」には服務上の責任を問い、厳正に対処すると通知しているが、不起立の教職員はこれまで処分していない。

 ◆各地の国歌斉唱を巡る問題◆
 <東京都>

 今春までに教職員ら延べ381人を懲戒処分。国旗・国歌訴訟で06年9月、東京地裁が違憲判決を出し、処分を受けた教職員ら173人が今年2月、処分取り消しと賠償を求めて提訴

 <北海道>
 06年10月、道人事委が男性教諭の懲戒処分(01年7月)の取り消しを裁決

 <新潟県>
 06年4月に教諭4人を懲戒処分。今年4月、男性高校教諭2人を懲戒処分

 <広島県>
 04年3月、男性高校教諭を戒告処分。05年の卒業・入学式で延べ14人の教職員を懲戒処分。今年3月、高校教諭ら9人を処分

 <鳥取県>
 05年3月に高校教諭を懲戒処分にするなど計10人を処罰

『毎日新聞』(2007年10月29日(月)05:08)
http://news.goo.ne.jp/article/mainichi/nation/20071029ddm041040055000c.html

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