日の丸・君が代訴訟 ◆ 解雇裁判
「平等原則に違反」
定年退職後、再雇用教員として勤めていたり、採用(1人は講師)が決まったりしていたが、10・23通達(卒業式等の"君が代"強制を強化)後の04年3月の卒業式で、"君が代"時に不起立しただけで都教育委員会に解雇、または不採用とされた都立高校元教諭10人が解雇等の撤回を求めている裁判の控訴審・第4回口頭弁論が9月2日、東京高裁で開かれた。
教員側の水口洋介弁護士はまず、「"選考"での『勤務成績の良否』の判断につき、都教委が一定の裁量権を有しているとしても、①『考慮されてはならない要素が考慮されていないか、その考慮の有無の結果、処分が著しく妥当を欠く結果になっていないか、というような裁量権行使の著しい不合理性を示す事情の有無』という裁量権の逸脱・濫用の司法判断基準を示した77年12月の神戸税関事件最高裁判決、②『文相の裁量権濫用は国賠法上違法となる』と判示した86年3月の家永教科書検定第一次訴訟の東京高裁判決の判例から、不起立だけで『勤務成績不良』とし解雇したのを適法とした一審判決は、明白に誤っている」と、意見陳述した。
さらに、都教委は処分理由を「地方公務員法の(起立を命じた校長の)職務命令違反」としているが、近年、①組合役員当時、同じ地公法上の争議行為禁止違反で二度停職処分を受けた教員、②管理職として監督責任を問われ戒告処分を受けた校長、③交通事故で戒告処分を受けた教員が、いずれも再雇用職員に採用されており、平等原則に反している、と発言。
そして、「一審判決は不起立行為を『信念に根ざすものである』と判示したが、信念の保持を理由に不利益を課すことは、許されない他事考慮にあたり、また、特定の思想・良心を理由とする不利益取扱いに他ならない」と指摘した。
この日、宗宮英俊裁判長は次回12月16日の公判で、都立高校卒業生2人と、都高教組役員の証人尋問を決定。閉廷後の報告集会で加藤文也弁護士は、「事実関係の証人調べが認められた意義は大きい」と指摘した。
◆ 処分取消裁判
都教委の10・23通達により、04年に不当処分された都立学校教職員173人が、処分取り消しを求めた裁判の原告教員への尋問が9月4日、東京地裁で行われた。
沖縄で生まれ育った都立高校教員は、沖縄戦での集団自決を父親が体験したことなどを具体的に指摘し、「通達は戦前の洗脳教育に戻ってしまい、日本が戦争の方向に向かう危険性がある」と語った。これに対し、都教委側の弁護士は、「戦争の方向に向かう」というのは教員側の推論だ、と主張したが、教員に切り返された。
別の都立高校教員は、校長が入院していた主幹教諭を、体調不良のまま退院させ、卒業式の司会(「国歌斉唱」の発声)をさせていた旨、証言した。
『週刊新社会』(2008/9/16)
「平等原則に違反」
定年退職後、再雇用教員として勤めていたり、採用(1人は講師)が決まったりしていたが、10・23通達(卒業式等の"君が代"強制を強化)後の04年3月の卒業式で、"君が代"時に不起立しただけで都教育委員会に解雇、または不採用とされた都立高校元教諭10人が解雇等の撤回を求めている裁判の控訴審・第4回口頭弁論が9月2日、東京高裁で開かれた。
教員側の水口洋介弁護士はまず、「"選考"での『勤務成績の良否』の判断につき、都教委が一定の裁量権を有しているとしても、①『考慮されてはならない要素が考慮されていないか、その考慮の有無の結果、処分が著しく妥当を欠く結果になっていないか、というような裁量権行使の著しい不合理性を示す事情の有無』という裁量権の逸脱・濫用の司法判断基準を示した77年12月の神戸税関事件最高裁判決、②『文相の裁量権濫用は国賠法上違法となる』と判示した86年3月の家永教科書検定第一次訴訟の東京高裁判決の判例から、不起立だけで『勤務成績不良』とし解雇したのを適法とした一審判決は、明白に誤っている」と、意見陳述した。
さらに、都教委は処分理由を「地方公務員法の(起立を命じた校長の)職務命令違反」としているが、近年、①組合役員当時、同じ地公法上の争議行為禁止違反で二度停職処分を受けた教員、②管理職として監督責任を問われ戒告処分を受けた校長、③交通事故で戒告処分を受けた教員が、いずれも再雇用職員に採用されており、平等原則に反している、と発言。
そして、「一審判決は不起立行為を『信念に根ざすものである』と判示したが、信念の保持を理由に不利益を課すことは、許されない他事考慮にあたり、また、特定の思想・良心を理由とする不利益取扱いに他ならない」と指摘した。
この日、宗宮英俊裁判長は次回12月16日の公判で、都立高校卒業生2人と、都高教組役員の証人尋問を決定。閉廷後の報告集会で加藤文也弁護士は、「事実関係の証人調べが認められた意義は大きい」と指摘した。
◆ 処分取消裁判
都教委の10・23通達により、04年に不当処分された都立学校教職員173人が、処分取り消しを求めた裁判の原告教員への尋問が9月4日、東京地裁で行われた。
沖縄で生まれ育った都立高校教員は、沖縄戦での集団自決を父親が体験したことなどを具体的に指摘し、「通達は戦前の洗脳教育に戻ってしまい、日本が戦争の方向に向かう危険性がある」と語った。これに対し、都教委側の弁護士は、「戦争の方向に向かう」というのは教員側の推論だ、と主張したが、教員に切り返された。
別の都立高校教員は、校長が入院していた主幹教諭を、体調不良のまま退院させ、卒業式の司会(「国歌斉唱」の発声)をさせていた旨、証言した。
『週刊新社会』(2008/9/16)
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