◇ 日の丸・君が代を巡る緊急事態に向けて
-卒業式・入学式における踏み絵を許さない-
大阪府教育委員会-卒業式・入学式における踏み絵を許さない-
教育委員長 生野照子 殿
教育長 中西正人 殿
子どもは、自由にその人格的発展を育む権利を持っています。
もちろん、社会人としての見識を獲得しつつも、自分らしい生き方を追い求め、ダメなものか否かを見極めて、ダメと言い切る勇気と意思を持つ人間に育っていく権利を持っています。
その子どもの発達権を保障する制度的保障として、公教育制度があり、この公教育の担い手である教員に対しては、同じくその人格的発展の自由が保障されていなければなりません。
大阪府は昨年5月の定例府議会において「大阪府の施設における国旗の掲揚及び教職員による国歌の斉唱に関する条例」を成立させましたが、この条例4条には「国歌の斉唱にあっては、教職員は起立により斉唱を行うものとする」とされました。
国歌斉唱に際して起立するか否かは、教職員であっても個々人の内心の判断に委ねるべきものであり、公教育が担保する教育環境としては、個々の教員の人格的発展を保障するものでなければならず、教員に対して、その意思に反して起立することを強制する条例はその教員の内心の自由を侵すものとして憲法に反するという他ありません。
ところで、貴教育委員会は、この条例を踏まえ、学校長に対する職務命令だけではなく、個々の全教職員に対しても直接、職務命令を発しました。
このことは、学校教育法が教育の内容に関しては学校長を中心とした個々の学校現場が自主的に運営し、制度的な枠組みは教育委員会が担うこととし、学校現場に教育委員会が直接指導介入することを否定した趣旨を蔑にする暴挙という他ありません。
上記君が代起立条例と貴教育委員会による個々の教職員に対する職務命令によって、貴教育委員会は「職務命令に従わない場合は不利益処分の対象になる」との強権的な運用を強行しようとしています。これが、冒頭に述べた子どもに対する教育の目指す方向に逆行するものであり、断じて許されるものではありません。
さらに、「日の丸・君が代」強制反対ホットライン・大阪に対する回答によれば、貴教育委員会は、子どもに対しても起立を強制しようとしています。
「国旗国歌法」は何が国旗で、何が国歌かを定めたのみで、法としての強制はしない旨説明されてきました。
にもかかわらず「決められたことは守りなさい。それがマナーです」と子どもに押し付けるのは誤りです。
個々人の生活を豊かにするために社会の共同生活のルールを教えるのと、国家としての象徴に従わせるのと同列に説明するのは間違いです。
貴教育委員会におかれては、大阪府下の学校で卒業式が予定されている時期でもあり、子どもたちが自分らしい人生に一歩踏み出す門出に、誤った教えを押し付けることのないよう、また教員の内心の自由を奪うことのないよう、教育者としての良心をもって対応して頂くよう強く要請します。
2012年2月24日
大阪社会文化法律センター
代表理事 池田直樹
大阪社会文化法律センター
代表理事 池田直樹
『教育基本条例NO!』(2012/2/24)
http://blog.goo.ne.jp/kimigayo-iran/e/f18929f709fb02a924d91602029a9be0
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