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パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

強硬論を煽る政治家はどこの国にもいる

2012年09月14日 | ノンジャンル
 ▲ 「固有領土論」理論的誤り

<転送歓迎>(重複ご容赦)・「都教委包囲首都圏ネットワーク」・「新芽ML」の渡部です。
 本日(9月11日)午前、野田内閣は、右翼的な石原都知事の策動に乗っかり、地権者に20億円余りを払い尖閣諸島を「国有化」しました。
 これはかつて丹羽大使が述べたように「日中関係に極めて深刻な危機をもたらす」ことになるでしょう。
 こうした中、本日の『山形新聞』<直言>欄には、山形県出身の大沼保昭氏(国際法学者・明治大学特任教授)の「『固有領土論』理論的誤り~共通の利益生む枠組みづくり必要~」という論文が載りました。
 政治家やマスコミが我も我もと「固有領土論」をふりまく中、参考になると思いますので、少し長くなりますが以下に全文を紹介します。
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 尖閣諸島と竹島をめぐって中韓と問題が生じている。
 韓国とは「慰安婦」問題についても対立があり、問題は関係諸国民の歴史認識のあり方と結び付いている。歴史認識問題にも長い間かかわってきた国際法学者として、基本的な考え方を読者にお伝えしたい。
 領土問題を考える上で重要なことは、問題が国によってまるで違って見えるということである。
 尖閣の問題は、日本から見れば19世紀以来日本の領土だったのに、1960年代に海底資源の存在が明らかになると中国が自国領だと言い始め、国力の増大とともに無理な主張を声高にするようになった、という話になる。
 だが、中国では、前近代から中国に属していたのに、中国中心の華夷秩序から欧米中心の国際法秩序に転身し、日清戦争で勝利した日本がその機会に実効支配してしまった島の問題、となる(この議論は客観的には問題が多いが、中国での認識はこうなっている)。
 竹島も同じである。
 日本から見れば江戸時代から日本領で、1905年に島根県に編入手続きをとったのに、第2次大戦後韓国が李承晩ラインという国際法に違反する線を引いて実効支配を始めた、ということになる。
 しかし韓国から見れば江戸時代から同島は韓国領であり、島根県への編入は同年の日本による韓国保護国化、1910年の日韓併合という、日本が韓国を威圧する過程でなされた不当な措置となる。
 こうした対立はあらゆる領土問題に共通する。
 問題が、「国境」沿いの地域の関係「国」への帰属がはっきりしなかった前近代から、それぞれの「国」が明確な国境線をもつ領域主権国家となった近代になって「主権」という面子をかけた重大問題とされるようになり、対立が深刻化する
 領土問題はよく戦争の原因となり、第三者から見ればどうでも良いわずかな領土をめぐって国家が争い、多数の犠牲者を出し、そのため両国間の敵対関係がさらに強まるという歴史がくりかえされてきた。
 それは、歴史的にはゆるやかな「帰属」のあり方(沖縄のように島津藩と清朝への両属という例もあった)を、いずれかの主権国家の領域という二者択一に押し込めてしまう思考のあり方に多くの責めを負っている。
 日本は、「北方領土」をはじめ問題の領域を「固有の領土」と言ってきた。
 しかし、領土の現状を隣国との友好な関係の一環として「管理」し、共通の利益を生む枠組みを創り出して行くつもりなら(私はこれしか無いと思う)、「固有の領土」という言い方はやめた方が良い。
 ヨーロッパを見れば分かることだが、ドイツやフランスが「固有の領土」と言っていいたら問題の解決はあり得ない。歴史のある時点をとれば、関係国は必ず係争地を「固有の領土」と主張できる。
 固有領土論は理論的にも誤りだし、実際にも固有領土論をぶつけ合っていたら、問題の解決も双方が利益を享受できる平和的な管理もあり得ない。
 領土問題は隣国間で起こる。隣国との関係は、安全保障の観点からも経済や文化の観点からも、極力大切にしなければならない
 今後10年間で世界一の経済超大国となり軍備も自衛隊をはるかに上回る中国との戦争という選択肢は、日本にとってあり得ない。
 日本経済を再建する上で、中国での日本企業の操業、中国との貿易、金融上の結び付きは不可欠である。その経済再建の一つの鍵となる観光業でも、中韓からの観光客誘致は地方経済にとって死活問題である。
 韓流ドラマをはじめとする日韓の文化交流で日本人の楽しみはいかに幅が広がったことか。中国や韓国は法制度からマンガ、アニメに至るまでいかに日本文化を取り入れ、自らの生活を豊かにしたことか。
 領土問題について強硬策をとれないのが分っているのに強硬論を煽る政治家どの国にもいる。そういう輩(やから)は愛国者を名乗る
 それは「国」の名を借りたナルシズム、自己陶酔に過ぎない
 政府は隣国との共栄のため冷静に領土問題の管理に努め、国民はそうした政府の姿勢を支える。それが領土問題への、成熟した国家・国民のあるべき姿である。
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「都教委包囲首都圏ネットワーク」のブログのアドレス
  http://kenken.cscblog.jp/
「千葉高教組『日の丸・君が代』対策委員会」のホームページ
 http://homepage3.nifty.com/hinokimi/

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