日々雑記

政治、経済、社会、福祉、芸術など世の中の動きを追い、感想を述べたい

日米の原子力業界 安全より経済 朝日新聞の記事から

2013-03-15 09:55:34 | 日記

朝日新聞に怖い記事が載っていた(朝日3月15日6面)

原発の規制強化、日米で業界反発 献金受けた議員、圧力」という記事だ。記事によると

 米国では、炉心溶融事故の際に放射性物質の大量放出を避ける「フィルター付きベント設備」の設置をめぐって揺れている。ドイツなどで設置され、日本も設置する方針。米国でも昨年11月、原子力規制委員会(NRC)の技術スタッフが設置を提言したが、原子力業界の意向を受けた米国議員が反対している。

とある。
反対派の議員たちの意見はこうだ。

 NRC(原子力規制委員会)のマクファーレン委員長は12日、会見で「議会を含めて幅広く意見を聞く必要がある」と述べた。

 1月中旬に野党共和党の下院議員21人が「規制強化は厳密な費用対効果のもとで行うべきだ」とする手紙NRCに送った。2月上旬にも上院議員7人が同様の手紙を提出。

要するに「経済的に合わないことは出来ない」といい、安全よりも経済性を先に考えろという主張だ。

そうしてこの主張をする議員は:

多くは原子力業界から献金を受けている議員たちだ。

と書いている。

日本の場合はどうか。

日本でも原子炉の安全設備の多重化や、活断層の真上に原子炉などの重要施設の設置を認めないとした、7月施行の国の新安全基準骨子案に、電力会社が「過重要求だ」などと反論の意見書を提出している。

 1月末に原子力規制委員会が示した基準案では、福島原発と同じ沸騰水型炉(BWR)は原子炉一つに2系統のフィルター付きベント設備を求めた。中部電力は、二つ目は別の手段も認めるべきだと反論。外部電源が失われた場合を想定したバッテリーの多重化については、東北電力が「過重な要求」という意見書を提出した。

 「活断層の真上に原子炉建屋などの重要施設を造ってはならない」とする基準案にも、電力会社の反論が相次いでいる。断層のずれの影響を見積もれば真上にあっても設計できるとし、活断層の有無だけで判断するのはおかしいという。

 背景には、再稼働を急ぎたい電力会社の思惑がある。大がかりな工事になり、時間がかかるからだ。また、活断層が重要施設の直下にあれば廃炉にせざるを得なくなる。敦賀原発などが指摘されている。

緊急時の装置を、金がかかるから「過重な要求」だと言っている。また活断層があっても原子炉の再稼働や建設を禁止すべきではない―――と主張している。安全性よりも経済性を重視する主張である。

おそろしい考えである。日米どちらにもあるのは、原子炉メーカーや電力会社の利益だけを考える姿勢だろう。こんな考えの人たちに日本のエネルギー政策に口出しをしてもらうわけにはいかない。


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戦死した先輩の母の悲しみ――憲法改定に対する私の思い

2013-03-08 16:05:58 | 日記

 春来たり花は咲けども戦にい出にしあ子はまみえずなりぬ    大島きく

大島欣二海軍軍医大尉の母の詠んだ歌である。
大島欣二氏は、昭和16年12月医学部卒業直後、昭和17年1月海軍短期現役軍医として入営。昭和19年7月マリアナ、テニアン島にて戦死、27歳。
従弟大島祐之氏によるとフランス・パスツール研究所への留学を夢見る若い学究であったらしい。

 

私には20年近くも先輩であり、もちろん面識もない。

ご母堂の歌は意味明瞭であり、付け加えるべきものは何もない。
一つの大学の医学部だけで、戦没同窓生のために一冊の本ができたということに 大きな意味があるのだろう。

付言すれば、
私が学生だったころ、1950年代には、従軍した先輩たち、戦死した先輩たちのことがいい伝えられていた。その話を聞く私たち自身も、軍隊にこそ行かなかったが、戦争中の生活の記憶を持っていた。そうして先輩たちの話を不十分ながら理解した。

学生時代、先輩たちの苦労を知り、自分たちが戦争のことを多少とも知っていたので、多くの学生が、軍隊、戦争に対する嫌悪感を持っていた。「再軍備」や「徴兵制」は、何としても反対すべきものだった。また、それにつながる「憲法改定」「小選挙制」も憎むべきものだった。

ひるがえって現代を見れば小選挙区制は現実となり、「憲法改定」もいよいよ日程に上ろうとしている。
許してはなるまい。 

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ベネズエラのチャベス大統領について調べてみました

2013-03-07 19:10:59 | 日記

 ベネズエラ大統領ウゴ・チャベス氏が死去しました。報道によると数万人の人々がその死を悼んだということです。テレビでも葬儀の様子を放送していましたが、貧困層とみられる人が熱く語っていました。

多くの国民から支持されたウゴ・チャベスという人はどんな人だったのか、調べてみました。

 ウゴ・チャベス氏は1998年に初めて大統領に当選して以来、4回の大統領選挙を含む国政選挙と国民投票で12回にわたり国民の審判を受けました。そのうち11回勝利しています。毎回、米国が国内の反政府勢力を露骨に支援し、「暗殺」の脅しまで使った内政干渉にうちかって国民の圧倒的な支持を受けたそうです。

 ウゴ・チャベス氏によるベネズエラの変革の特徴は、国民の直接選挙、投票による信託を受けて進める民主的な改革であることです。一つ一つの問題について投票による信任を得ながら進むという手法をとったということです。ベネズエラ以前の改革が、たとえばキューバのように、軍事的な方法であったのに対し、ベネズエラの変革の著しい特徴と言ってよさそうです。

 チャベス政権は特に貧困層からの支持が厚いようです。どのような政策で支持を集めたのでしょうか。
 チャベス政権が実行してきたのは、世界第五位の石油輸出国として自国資源への主権をとりもどし、これらの資源を最大限に活用しながら、国民の福利を向上させてきたさまざまな施策です。

 政府発表によると、1998年には国民の21%もあった極貧困世帯は、2006年には10.6%に半減しました。失業率は同じ時期に、11.3%から9.6%に低減しています。

 最低賃金はこの10年間に5.6倍(米ドル換算)になりました。インフレ率は、2002~03年をピークに大きく下降してきました。

 貧困層対策だけではありません。国の経済規模も拡大しました。一人当たりGDP(米ドル換算)は1998年の3,928米ドルから2012年には11,131米ドルになり2.8倍に増えました。

 この間には、2002年から2004年にかけて、米国の直接介入を受けた反政府勢力のストライキ、クーデターなどのがあり、国民とともに打ち破っていく過程がありました。この困難な時期を突破し、経済、社会改革が着実に進むようになったなかで、国民の暮らしは顕著に改善されたそうです。

 経済だけでなく、教育の普及、医療の普及など、広い範囲の福祉政策にも力を入れました。

 ベネズエラはかつて、石油などの資源を米国などと結びついた一部資本に握られ、1990年代には貧困層が8割に達した国です。国民の暮らしの改善は、なによりチャベス政権が進めてきた大胆できめ細かい施策がもたらしたものです。それは、零細農家への土地分配と協同組合への組織化、就学を促す教育改革、貧困層のための低価格店の全国展開、無料診療所開設、「女性の発展のための銀行」、職業訓練などの失業対策、貧困層向け・都市開発の「住宅建設計画」に及びます。

 チャベス政権の功績は外交政策にもあります。南米共同体でも、エネルギー協力など各分野でイニシアチブを発揮し、自主的な地域協力を積極的に前進させています。

 ベネズエラから始まったこの地域の変革の波は、南米に広がり、中米にも及びました。今年の選挙で、米ドルを通貨にしてきた南米エクアドルの国民は、米国から自立した南米統合を支持し、米国との自由貿易協定を拒否し、米軍基地撤去を公約するコレア新大統領を選出しました。中米ニカラグアでは、国際通貨基金の「構造調整」政策を見直すと訴えたオルテガ氏が、十六年ぶりに大統領に返り咲きました。

 中南米に広がる大きな変化は、外国支配を許さず、自立と民主化を求める変革にこそ、この地域と世界の未来があることを示しています。

 このように調べてみると、新聞が言っている「反米の旗手」という言葉にも疑問がわいてきました。かつては「アメリカの裏庭」と呼ばれた中南米で、アメリカの大資本の支配から脱し、自主的な国づくりをしていこうとする自主的な動きだということも明らかになってきました。

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選挙公約は「TPP反対」、選挙が終わると「TPP推進」ーーーひどいじゃないの

2013-03-05 09:52:26 | 日記

インターネットを見ていたら面白い調査結果が出ていました。「しんぶん赤旗」のホームページです。

自由民主党の議員たちが、昨年12月の選挙の時に行った公約を調べたものです。選挙公報を中心にして、公報に記載のない場合にはメディアが行ったアンケート結果からTPPに対する態度を集めたものです。一人ひとりの公約を全部取り上げた詳細な報告です。十分信頼できる調査といってよいでしょう。

その結果によると総選挙で当選した自民党の議員が295人、そのうち205人が選挙前にTPP反対を表明していました。69.5%という圧倒的多数です。一方「TPP賛成」は24人、8.1%でした。それ以外の人66人は態度を明らかにしていません。

一番信頼できると考えられる選挙公報だけで見ると、TPPに触れたのは108人で、そのうち104人はTPP反対でした。

なにかからくりがあるのかと思って気がついたのは、安倍総理の言う「『聖域なき関税撤廃』を前提としたTPP交渉参加に反対」という言葉です。安倍総理自身がこの言葉を使ってTPP参加を正当化しようとしている言葉です。私の集計では、選挙公約でこの言葉を使った議員は30人いました。この人たちを除いても「TPP反対」は175人、59.3%です。

どのように集計しても、自民党議員の過半数は、「TPP反対」を公約して当選したのです。それなのに安倍首相はTPP参加をすすめようとしています。総選挙の重要争点でこのような公約違反は許されないでしょう。

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施政方針演説ーーー私の感想

2013-03-01 16:53:38 | 日記

昨日安倍首相が施政方針演説を行った
新聞で読んだ第一印象は、なんとなく白々しいという 気持だった。なぜこんな気持ちになるのだろう。考えてみた。
そうして思い当った。
今国民が一番心配している問題、解決を望んでいる問題は、60年にわたる自民党政府のもとに根を持っていることだ。それなのに原因に触れようとしていない。自分たちの政策の過ちを認めていない―――そこに白々しさの原因があるのではなかろうか。

原発事故、これはどのように起こったか。自民党政府のもとで50基にも上る原子炉を作り、安全神話をばらまいた。過酷事故が起こるのを心配した人たちの意見を無視して、地震対策、津波対策を行わなかったのは自民党政府だった。これが原発事故の根本原因だった。

経済の停滞、格差社会。それを生んできたのは、60年にわたる自民党の政治ではなかったか。消費税増税、大企業減税、非正規労働の大幅な解禁、社会保障の切り下げなどの政策ををすすめた。その結果経済成長が止まり、国民の収入が増えない国、世界でも例外といえる国になってしまった

いま、自民党の過去の過ちを認めようとしないために、本当の対策が出せなくなっている。

原発に関しては、過半数の国民が望んでいる原発ゼロの政策が求められている。それなのに安倍首相は、原発の再稼働を宣言し、新しい原発を新設するとまで言っている。国民の願いと正反対の方向を歩もうとしている。

経済の停滞、格差社会。安倍首相は施政方針演説で「世界で一番企業が活躍しやすい国」にしたいと言いました。しかし、今すでに大企業が活躍しやすい国になっているのではないか。正規の労働者を非正規で置き換えて賃金は安くなった。大企業の税金は安くなった。おかげで大企業は大きな利益をあげている。
国民が望んでいるのは、消費税増税を止めること、社会保障の切り下げを止めること、賃金を上げること、そうして、国民の所得をふやし経済を活性化することではないだろうか。

どの政策を見ても、政府のやろうとしていることは国民の希望とは正反対の方向を向いているのではなかろうか。施政方針演説にはがっかりした。

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