日々雑記

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自民党の憲法改定案  (1) 9条(戦争放棄)はどうなるか

2013-03-29 10:37:04 | 日記

 

自由民主党は昨年日本国憲法の改定案を作りました。その内容はあまり知られていないので紹介しましょう。

憲法問題に少しでも関心がある方がよくご存じのようにその中心は9条です。9条は日本が誇るべき戦争放棄の条文です。改定案を読んでみてビックリしましたが、予想したよりもひどいものです。9条2項が全面的に削除されます。今の憲法の9条2項には何が書いてあったのでしょうか。振り返ってみましょう。
前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」とありました。
「軍隊を持たない」「戦争をしない」と明快でした。その後自民党政府は自衛隊を作りイラクやインド洋に派遣しました。しかし、「海外で武力行使はしない」「集団的自衛権を行使しない。すなわち、たとえ同盟国アメリカが戦争しても戦闘には参加しない」という点だけは守られてきました。自民党の改憲案では、9条2項のしばりがなくなって、世界中のどこにいっても戦争ができるようになります。
自民党の改定案では、9条2項を削った後に「前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない」という文章が入っています。これは自衛のための戦争ならやってよいということを強調するための条文です。今の憲法とは正反対の条文です。
 

9条の二(9条2項ではない)には(国防軍)という標題が付いており、国防軍に関する規定が並んでいます。国防軍の目的としては、「国の平和と独立」「国民の安全」、「国際協調活動」などというもっともらしい言葉が並んでいます。

むずかしい法律用語を取り払って、今まで現実に起こったことを考えあわせてみました。上に書いたように、イラク戦争の時を思い出してみましょう。自衛隊はイラクまで行きましたが、おもてむき戦闘には参加できませんでした。憲法9条が障碍になったのです。自民党改定案ではどうでしょうか。海外で戦争に参加することを禁じる規定は何もありません。だから戦闘に参加することができることになります。イラクだろうが、アフガニスタンだろうが、政府が参戦しようと思えば出来ることになります。国連の承認を得た戦争だけでなく、アメリカが単独で起こす戦争でも参加できることになります。

国防軍の創設にはもう一つ問題があります。改定案では軍事上の秘密保護を、憲法に明記しています。また軍人や軍に属する公務員の犯罪を裁くために軍法会議の設置を規定しています。軍法会議は軍人の規律を維持するための特別の裁判所ですが、軍人以外の公務員や一般国民も「機密漏洩をそそのかした」といって対象にされる可能性があります。また軍法会議とともに、「捜査」する軍の警察、すなわち「憲兵」も復活するでしょう。太平洋戦争下の悪夢の再現も決して思いすごしではないと思われます。

今日は9条「戦争放棄」に関する改定案について紹介しました。こんご私の勉強が進んだら、他の部分についてもご紹介しましょう。

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