三宅裕司が座長 『SET』30周年 分かりやすい芝居追求
三宅裕司が座長を務める劇団スーパー・エキセントリック・シアター(SET)が、新作「ステルスボーイ」(作・大沢直行)を十七日から東京・池袋の東京芸術劇場中ホールで上演する。アングラ演劇が流行していた時代に「分かりやすい芝居を」と旗揚げした劇団の創立三十周年を記念した公演。役者であり演出も務める三宅と、創設時からの団員・小倉久寛に、これまでの道のりと公演への意気込みを聞いた。 (高橋知子)
「旗揚げ当時(1979年)は難解な芝居が多くて、どうも納得がいかなかった。笑いがあって、分かりやすくて、面白いテーマ性のあるお芝居がやりたいなと思って、ミュージカル・アクション・コメディーって形のSETをつくった」と三宅。
中学時代からバンドをやり、音楽は多ジャンルに精通。大学では落語研究会に入るほど笑いが好き。アルバイトでは、キャラクターショーで着ぐるみに入った。昔からやっていたものを全部集めたら、ミュージカル・アクション・コメディーになったという。
そこに「何も分からないまま」飛び込んだのが小倉。「最初は芝居に興味もなかった。初めて大江戸新喜劇で三宅さんを見た時、すごく面白くて。当時から『おれについてきたら何とかしてやるぜ』って感じがあって。あくまで、感じですよ。劇団をつくるって声を掛けられて、行きます行きます、三宅さんについて行きますって」
それから三十年。「ここまで続く劇団になるとは思っていなかった」と三宅。ただ一度だけ、劇団の解散が頭をよぎったことがあった。
八〇年代半ば、冠ラジオ番組をきっかけに、超売れっ子になった三宅。その日は、某テレビ局で一日中コント番組を収録する合間に、朝の生放送ワイドショーの「三宅裕司特集」に出演予定だった。だが登場したのは、本番が終わるころ。しかも酒臭い。前日深夜までラジオ番組をやった後、翌日収録のコント三十本の台本を覚えるのが嫌になり、「ラジオが終わって、そのまま飲みに行っちゃった。現実逃避ですよ」。
この一件でマネジャーらが頭を丸めた。「その時、(劇団を)やめた!って言えば、やめてたでしょうけど。やめるのは簡単だから、もう少しがんばってみようかなって」(三宅)
◇
三十年たっても「まだ最高の形ができたとは思ってない」と三宅は言う。「欲張りな劇団で、劇団員が身に付けなきゃいけないものが多いんで」
今回の「ステルスボーイ」も、相当盛りだくさんな内容だという。「映像は使うわ、ビッグバンド、ジャズコーラス、アクション、全編にギャグ。それでいて最後は泣かせたい」
同作はSETが過去に上演した「昭和クエスト」「任侠(にんきょう)るねっさんす」に続く「教育再生三部作」の最終章。「昭和~」では我慢した結果手に入れたものの感動を、「任侠~」では父親のおとこ気をテーマにした。「ステルス~」のテーマは、ネット社会と親子関係の恐怖だ。
「近年、動機不明の殺人事件が多い。調べると、異常な親子関係があった。これをテーマにしようと。作家は、世界中が匿名で、言葉の暴力で戦争しているようなネットの恐怖を書きたいと。この二つを合わせた」
三宅が愛する音楽を、親子関係を解きほぐすポイントに置いた。劇団員は、稽古(けいこ)場で楽器の猛レッスン中だとか。「練習はすごく楽しいけど、大変なんで、今、心が折れてます」と小倉。
ゲームで育ち、今、親となった三十~四十代にぜひ見てほしいとも。「テーマを押しつけるのではなく、全編にくだらないギャグが入ってるんで。親子で見て、いろいろ話してもらえたら最高ですね」(三宅)。長年連れ添った夫婦のように、息の合った三宅&小倉コンビの掛け合いにも注目だ。
◇
公演は、十一月一日まで。六千八百円、五千八百円(平日昼間、学生割引あり)。問い合わせは、SETインフォメーション=(電)03・3420・2897。
2. 【フジテレビワンツーネクスト】勢いとシュールさ全開
■はんにゃ単独ライブ「はんにゃチャンネル開局!やっちゃうよ!!」
人気絶頂の若手お笑いコンビ、はんにゃ。フジテレビNEXTでは11日、8月に開催された彼らの最新単独ライブ「はんにゃチャンネル開局!やっちゃうよ!!」の模様をお届けする。
はんにゃの2人がポケットマネー8万円の制作費でテレビ局を開局し、さまざまな番組やCMを放送していくというストーリー仕立てのコント。彼らの得意な踊りあり、扮装(ふんそう)あり、擬音語あり、謎の女性とのコラボレーションありで、コントをつなぐVTRも2人の魅力がちりばめられ、会場を大いに沸かせた。
番組では、ライブの全貌(ぜんぼう)はもちろん、舞台裏も放送。本番直前まで準備が整わず、心理的に追い詰められた2人の素顔も垣間見られるかもしれない。
1500人の観客の前で行われた一回限りの舞台。今まさに絶好調のはんにゃの勢いとシュールな世界がたっぷりと詰まったコントライブの模様をごらんください。
◇
はんにゃ単独ライブ「はんにゃチャンネル開局!やっちゃうよ!!」11日午後4・0~5・30
三宅裕司が座長を務める劇団スーパー・エキセントリック・シアター(SET)が、新作「ステルスボーイ」(作・大沢直行)を十七日から東京・池袋の東京芸術劇場中ホールで上演する。アングラ演劇が流行していた時代に「分かりやすい芝居を」と旗揚げした劇団の創立三十周年を記念した公演。役者であり演出も務める三宅と、創設時からの団員・小倉久寛に、これまでの道のりと公演への意気込みを聞いた。 (高橋知子)
「旗揚げ当時(1979年)は難解な芝居が多くて、どうも納得がいかなかった。笑いがあって、分かりやすくて、面白いテーマ性のあるお芝居がやりたいなと思って、ミュージカル・アクション・コメディーって形のSETをつくった」と三宅。
中学時代からバンドをやり、音楽は多ジャンルに精通。大学では落語研究会に入るほど笑いが好き。アルバイトでは、キャラクターショーで着ぐるみに入った。昔からやっていたものを全部集めたら、ミュージカル・アクション・コメディーになったという。
そこに「何も分からないまま」飛び込んだのが小倉。「最初は芝居に興味もなかった。初めて大江戸新喜劇で三宅さんを見た時、すごく面白くて。当時から『おれについてきたら何とかしてやるぜ』って感じがあって。あくまで、感じですよ。劇団をつくるって声を掛けられて、行きます行きます、三宅さんについて行きますって」
それから三十年。「ここまで続く劇団になるとは思っていなかった」と三宅。ただ一度だけ、劇団の解散が頭をよぎったことがあった。
八〇年代半ば、冠ラジオ番組をきっかけに、超売れっ子になった三宅。その日は、某テレビ局で一日中コント番組を収録する合間に、朝の生放送ワイドショーの「三宅裕司特集」に出演予定だった。だが登場したのは、本番が終わるころ。しかも酒臭い。前日深夜までラジオ番組をやった後、翌日収録のコント三十本の台本を覚えるのが嫌になり、「ラジオが終わって、そのまま飲みに行っちゃった。現実逃避ですよ」。
この一件でマネジャーらが頭を丸めた。「その時、(劇団を)やめた!って言えば、やめてたでしょうけど。やめるのは簡単だから、もう少しがんばってみようかなって」(三宅)
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三十年たっても「まだ最高の形ができたとは思ってない」と三宅は言う。「欲張りな劇団で、劇団員が身に付けなきゃいけないものが多いんで」
今回の「ステルスボーイ」も、相当盛りだくさんな内容だという。「映像は使うわ、ビッグバンド、ジャズコーラス、アクション、全編にギャグ。それでいて最後は泣かせたい」
同作はSETが過去に上演した「昭和クエスト」「任侠(にんきょう)るねっさんす」に続く「教育再生三部作」の最終章。「昭和~」では我慢した結果手に入れたものの感動を、「任侠~」では父親のおとこ気をテーマにした。「ステルス~」のテーマは、ネット社会と親子関係の恐怖だ。
「近年、動機不明の殺人事件が多い。調べると、異常な親子関係があった。これをテーマにしようと。作家は、世界中が匿名で、言葉の暴力で戦争しているようなネットの恐怖を書きたいと。この二つを合わせた」
三宅が愛する音楽を、親子関係を解きほぐすポイントに置いた。劇団員は、稽古(けいこ)場で楽器の猛レッスン中だとか。「練習はすごく楽しいけど、大変なんで、今、心が折れてます」と小倉。
ゲームで育ち、今、親となった三十~四十代にぜひ見てほしいとも。「テーマを押しつけるのではなく、全編にくだらないギャグが入ってるんで。親子で見て、いろいろ話してもらえたら最高ですね」(三宅)。長年連れ添った夫婦のように、息の合った三宅&小倉コンビの掛け合いにも注目だ。
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公演は、十一月一日まで。六千八百円、五千八百円(平日昼間、学生割引あり)。問い合わせは、SETインフォメーション=(電)03・3420・2897。
2. 【フジテレビワンツーネクスト】勢いとシュールさ全開
■はんにゃ単独ライブ「はんにゃチャンネル開局!やっちゃうよ!!」
人気絶頂の若手お笑いコンビ、はんにゃ。フジテレビNEXTでは11日、8月に開催された彼らの最新単独ライブ「はんにゃチャンネル開局!やっちゃうよ!!」の模様をお届けする。
はんにゃの2人がポケットマネー8万円の制作費でテレビ局を開局し、さまざまな番組やCMを放送していくというストーリー仕立てのコント。彼らの得意な踊りあり、扮装(ふんそう)あり、擬音語あり、謎の女性とのコラボレーションありで、コントをつなぐVTRも2人の魅力がちりばめられ、会場を大いに沸かせた。
番組では、ライブの全貌(ぜんぼう)はもちろん、舞台裏も放送。本番直前まで準備が整わず、心理的に追い詰められた2人の素顔も垣間見られるかもしれない。
1500人の観客の前で行われた一回限りの舞台。今まさに絶好調のはんにゃの勢いとシュールな世界がたっぷりと詰まったコントライブの模様をごらんください。
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はんにゃ単独ライブ「はんにゃチャンネル開局!やっちゃうよ!!」11日午後4・0~5・30