丸森町の放射能汚染物質「仮置き場撤去に関する要望書」を提出した時の質疑応答内容(要点記述)は次の通りです。
町長
・町内の仮置場やグランド等で約53,800tの除染廃棄物を保管している。
・仮置場の内20カ所は民地で、当初3年間の約束で借用したが延長が続いている。
・町民に安心して生活してもらうためにも除染廃棄物の町外搬出を要望する。
西村明宏環境大臣
・法律で県外搬出は禁止されているので難しい。
・国際原子力機関(IAEA)で除去土壌の再利用を検討しており、来年には方針が決まる。
・埋め立て等の再利用が可能となる見込みである。
・除染廃棄物の処理等に詳しい環境再生・資源循環局の次長(前佛和秀氏)を相談に乗らせたい。
議長
・仮置場を1カ所に集約する際や、除染廃棄物の処分に要する経費は、環境省の補助金等で対応いただき、町の財政負担とならないよう願う。
西村明宏環境大臣
・可能な限り支援したい。
環境大臣 西村明宏 殿
仮置場撤去に関する要望書
令和5年6月16日
宮城県伊具郡丸森町長 保科郷雄
宮城県伊具郡丸森町議会議長 菊池修一
丸森町は、宮城県の最南端に位置し、三方向を福島県に囲まれている地勢のため、東京電力福島第一原子力発電所事故により放出された放射性物質による汚染の影響は大きく、福島県内市町村と同等又はそれ以上に高い空間放射線量計測された地域があります。
放射線量低減対策特別緊急事業費補助金取扱要領上は一律に「比較的線量の低い地域」に区分されましたが、町内全域で空間放射線量は基準を超え、放射能による汚染が確認されたことから、宮城県内で唯一、全戸除染の承認を得て除染作業を実施したところであります。
本町のごみ処理については、宮城県南2市7町で広域共同処理をしているため、焼却施設及び最終処分場は設置しておりません。そのため発生した除染廃棄物については、共同で使用している既存の処理施設及び最終処分場で処分するしか方法がありません。
しかし、施設周辺の同意を得ることは極めて困難であり、国から示されている処理方法での処分は不可能と言わざるを得ません。
現在は、除染により発生した除染土及び放射性廃棄物約50,000tを町内25箇所に設置した仮置場で、その他に学校など公共施設を除染した除染土約3,800tを19箇所で現場保管している状況が続いておりますが、保管から約10年が経過し、住民からは最終処分場になるのではとの不安の声や、1日も早い仮置場等の撤去を求める声が多数寄せられております。
仮置場となっている土地の20箇所が民有地であり、当初最長3年間という約束で借用したものの、これまで3回の期間延長をお願いしており、町が約束を反故したような状況が続いております。
本町では一日も早く平穏な暮らしを取り戻せるよう行政と住民が協力連携し、全力で復旧・復興に取り組んでまいりましたが、このまま町内の仮置き場で保管を続けることは、住民の理解を得ることは難しく、復旧・復興の大きな妨げとなっております。住民が復興への夢と将来への希望が持てる町にするためには、早期の仮置き場等の撤去が不可欠であります。
加えて、本庁を襲った令和元年東日本台風は、災害関連死や行方不明者を含む12名の人的被害と1000棟を超える家屋被害、公共・産業関連施設被害は総額470億円を超え町政史上最悪の被害となり、東日本大震災による原発事故関連業務の目途がつかない中、台風災害の復旧・復興に他自治体からの派遣職員の支援を受けながら取り組むという、人的にも財政的にも過酷な状況に置かれています。
放射性物質汚染対処特別処置法では、福島県以外の自治体は、今後示される方針に基づき各々の自治体が処分することになっておりますが、そもそもこの法律自体、被害自治体には受け入れられるものではありません。
環境分野にはPPP(汚染者負担原則)という考え方があり、汚染当事者がその責任において処理すべきことは自明の理であります。
今後、必要な法改正などを行い、中間貯蔵施設に搬入するなどの方法により、一日も早く町外に搬出処分されるよう、復旧・復興促進の観点から、特段の配慮を要望いたします。