丸森町から! 一條己(おさむ)のほっとする丸森

15頭の乳牛と田に30羽の合鴨。畑に特産ヤーコンを作っています。訪れるだけで「ほっとする町」丸森町の様子をつづります。

町村監査委員全国研修会講演(2人目)「実務上の留意点」道幸尚志公認会計士 

2022-10-30 19:59:07 | 日記

2番目の公認会計士・道幸尚志さんは『監査の実務上の留意点』について

  • なぜ、不祥事はおこるのか。地方公共団体のUSBメモリー紛失事件・不適正契約事務不祥事。不正発生のメカニズム。

・「不正を犯す動機」動機の存在は。従来慣行の維持のため。自己保身のため。自己の利益のため。

・「不正の正当化」自己の不正行為を正当化する。従来からの慣行である。赤信号みんなで渡れば怖くない。緊急避難的行動である。一時的なものですぐ解消する。

・「不正を犯す機会」機会の提供(管理が不十分)チェックが甘く、発見されにくい。発見されても、うやむやに・・・(結果が出れば、多少のことは見逃す傾向)

  • 不祥事発生防止のために 不正防止の3つの防護柵

・人←コンプライアンス体制の整備

・仕組み←内部チェックの整備

    ←監査の充実

  • 京セラの経営哲学『人に罪をつくらせない』仕組み作り(内部統制の本質)

・ダブルチェックシステム→真面目な人でも魔が差してしまい、ちょっと借りてあとで返せばいいと思っているうちに、だんだんとそれが返せなくなってしまい、大きな罪をつくってしまう。これは管理に油断があったために作らせてしまった罪でもある。よしんば出来心が起こったにしても、それが出来ないような仕組みになっていれば、一人の人間を罪に追い込まなくてもすむ。そのような保護システムは厳しければ厳しいほど、実は人間に対し親切なシステムなのである。(稲盛和夫の「実学」より)

 

4,地方公共団体における監査

監査委員監査実施上の留意点

・監査の前提となる監査力「監査委員監査は、問題を見つけてなんぼのせかいである。」

・いかに問題を見つけるか。地方公共団体の事務のどこにリスクが潜んでいるかを事前に予想できるか。(問題が起こる前に対応する)事務事業の内容の把握。他市町村事例の分析。包括外部監査報告書の問題分析。ある程度の経験をする。

・空残業。超過勤務手当について、抽出により時間外勤務の命令や認定等の手続及び時間外勤務の理由について確認。また、勤務状況や出張命令等との整合性を確認。

・契約、随意契約の理由の妥当性。設計変更契約金額は落札金額の落札率と同等か。

・金額の大きい変更は認められない。金額が大きい工事だったら他の会社がやったかもしれない。

・国庫補助金活用事業を入札したら半額だった。ので、他の事業もすることにした。工事年度内に工事が完了しないと国からの補助金返還になる。入札をしていると工事期間を確保できない為、追加の分は一者随意契約で発注したのは好ましくない。

・年度末のコピー用紙などの大量発注はよくない。予算の使いきり。

・豊富な経験のある団体として、長年随意契約をしていたが、団体は作業を外部委託してきた。豊富な経験にはなっていない。

・団体への支援事業補助金が要綱に無い経費に充てられていた。

  • 監査事務局職員の課題

・人事異動による、監査における専門的知識、技能の蓄積に限界がある。監査対象部署に対する遠慮が出てくる。

・外部的補充として、任期付き職員の採用や監査の外部委託がある。

・職員がする場合の長所としては、行政事務に精通・実務に精通していること。

 

演習問題がたくさん出されて、自分たちはやっているとか、そうなのかとか。


町村監査委員全国研修会の講演(一人目)『町監査委員の使命と実務~職員と組織をまもるために』

2022-10-30 13:05:03 | 日記

 

令和4年10月26日・27日町村監査委員全国研修会(渋谷公会堂)に行ってきました。過去2度は中止になり動画での研修でした。

3人の講師が90分ずつで、行政職員と2名の公認会計士の講義でした。

一番最初の地方会計技術者・福岡市職員馬場伸一さんは『町監査委員の使命と実務~職員と組織をまもるために』について

最初の話が、監査事務局職員が監査委員より少ないマンパワー不足(丸森町は1人)。監査委員でも専門家ではないし報酬が少ない。愛する郷土のために汗をかいてください。

 

1、小規模自治体での着服などの不祥事の背景。

・特定の1人に任せっぱなしがほとんど

・大して複雑な隠ぺい工作をしているわけではなく、発覚してから「なんであの程度のことが分からなかったのか」と悔やむことが多い。

・もともと人間関係が濃密で「よく知っている間柄」なので遠慮が発生する。

職責として「嫌事」を突っつく監査の役割が大事。

 

2、新人職員の誤給付・振込、町役場全体でマンパワーが足りてない。「これ以上減らしようがない職員数」

・人口が少ないので、業務量は少ない。

・しかし、仕事の間口は大きな市とあまり変わらない。多くの種類の仕事を少ない職員でこなさないといけない。

・しかも人口が少ないので「何年かに1回」しか扱わない事務がザラ。結果いつも慣れない仕事ばかりすることになる。専門的なことが弱点。県で補うようになれば良いのだが。

・小規模自治体職員は皆さん、「スーパーユーテイリテイ・プレイヤー」

・そのうえ電子化に後れを取った自治体では押し寄せる事務で「業務崩壊」状態も(特に学校現場)

 

3、平成6年には5人でしていた仕事を今は4人で。「同じ仕事」を1700市町村がバラバラに実施する非効率とリスク。

・A町の4630万円誤給付の給付金も本来は「全国一律」の業務。

・国が直接、一斉にやればそもそもこんな事故は起こらなかった。

・1億2千万人のデータを扱うことは現在では技術的には容易。

・国や広域でできることはIT化して国や県でやってもらうべき。

そうしないと町村はまわらない。

 

4、監査で見つけることのメリット。

・町が自らの主体性で対処できるので、キズが浅くて済む。

・町のペースで処理できるので、パニックにならない。

町の自浄能力が高まる。

監査はみんなが安心して仕事をするためにあります。

 

5、地域最大の経済主体は役場。そのために、監査がチェック

・地域の最大の事業発注者であり、地域最大の職員の雇用主でもある。

地域内で最強最大の責任者。

・「地域内再投資主体」としての町村役場。役場の歳出額が、町内のGDPの4割を超えている。(岡田知弘「地域づくりの経済学入門」より)

・財政難の今日だからこそ、地域内投資主体としての自治体は賢明な支出をすることが求められています。

・多額の財政(地方交付税等)が地域経済に果たす地域の雇用と経済の期間を維持する役割は極めて大きい。

・外から送られてきた、貴重な財源を、無駄に使っていたのでは地域の明日はない。「地域内のお金の循環を考えなければならない。」

 

 6,隠ぺいができない時代。監査チェツクで職員を不祥事等のリスクから守る。

・隠ぺいすると傷口が広がる。法令順守の意識を徹底させる。

・前例踏襲は、実はかなり危険。前任者の事務処理が間違っておることはかなり多い。

・休まない職員は要注意

・1人だけで仕事をさせない。

・同じ職員に同じ仕事を長くさせない。

・職員の任意団体の経理も要注意。

 

7,指摘は仕事をよくするための手段

・指摘をしないと何も変わらないのは事実。

・監査の機能。指摘することで問題が公知のものとなり、課題に代わります。

・役場で本気で取り組んで解決しない問題はめったにありません。

・指摘は診断。適切な治療を行うための手段です。

・指摘すべき事実が把握できなければ、何も指摘しない医勇気も必要です。

 

監査事務局の経験者の講演でした。