(01)
(ⅰ)
1 (1) P→Q A
2 (2) P A
3(3) ~Q A
12 (4) Q 12MPP
123(5)~Q&Q 34&I
1 3(6)~P 25RAA
1 (7)~Q→~P 36CP
(ⅱ)
1 (1)~Q→~P A
2 (2)~Q A
3(3) P A
12 (4) ~P 12MPP
123(5) P&~P 34&I
1 3(6)~~Q 25RAA
1 3(7) Q 6DN
1 (8)P→Q 37CP
従って、
(ⅰ)(ⅱ)により、
(02)
① P→ Q=PであるならばQである。
② ~Q→~P=QでないならばPでない。
に於いて、
①=② であって、
この「等式」を、「対偶(contraposition)」といふ。
cf.
命題「PであるならばQである」の真偽とその対偶「QでないならPでない」の真偽とは必ず一致する(すなわち真理値が等しい)。
(ウィキペディア改)
然るに、
(03)
① P→ Q
② ~Q→~P
に於いて、
Q=(Q&R)
といふ「代入(置換)」を行ふと、
① P→ (Q&R)
② ~(Q&R)→~P
に於いて、
①=②
は、「対偶(contraposition)」である。
然るに、
(04)
(ⅱ)
1 (1)~(Q& R) A
2 (2) Q A
3(3) R A
23(4) Q& R 23&I
123(5)~(Q& R)&
(Q& R) 14&I
12 (6) ~R 35RAA
1 (7) Q→~R 26CP
(ⅲ)
1 (1) Q→~R A
2 (2) Q& R A
2 (3) Q 2&E
2 (4) R 2&E
12 (5) ~R 13MPP
12 (6) R&~R 45&I
1 (7)~(Q& R) 26RAA
従って、
(05)
② ~(Q& R)
③ Q→~R
に於いて、
②=③ である。
従って、
(03)(05)により、
(06)
① P→(Q& R)
② Q→~R→~P
に於いて、
①=②
は、「対偶(contraposition)」である。
従って、
(06)により、
(07)
①( )を省略すると、
① P→ Q& R
② Q→~R→~P
に於いて、
①=②
は、「対偶(contraposition)」である。
従って、
(08)
① P→ Q& R
② Q→~R→~P
に於いて、
P=象a
Q=∃y(鼻ya&長y)
R=∀z(~鼻za→~長z)
といふ「代入(置換)」を行ふと、
① 象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)
② ∃y(鼻ya&長y)→~∀z(~鼻za→~長z)→~象a
に於いて、
①=②
は、「対偶(contraposition)」である。
然るに、
(09)
(ⅱ)
1 (1)~∀z(~鼻za→~長z) A
1 (2)∃z~(~鼻za→~長z) 1量化子の関係
3(3) ~(~鼻ba→~長b) A
3(4) ~(~~鼻ba∨~長b) 3含意の定義
3(5) ~(鼻ba∨~長b) 4DN
3(6) ~鼻ba&~~長b 5ド・モルガンの法則
3(7) ~鼻ba& 長b 6DN
3(8) ∃z(~鼻za& 長z) 7EI
1 (9) ∃z(~鼻za& 長z) 238EE
(ⅲ)
1 (1) ∃z(~鼻za& 長z) A
2(2) ~鼻ba& 長b A
2(3) ~(鼻ba∨~長b) 2ド・モルガンの法則
2(4) ~(~~鼻ba∨~長b) 3DN
2(5) ~(~鼻ba→~長b) 4含意の定義
2(6)∃z~(~鼻za→~長z) 5EI
1 (7)∃z~(~鼻za→~長z) 126EE
1 (8)~∀z(~鼻za→~長z) 7量化子の関係
従って、
(09)により、
(10)
② ~∀z(~鼻za→~長z)
③ ∃z(~鼻za& 長z)
に於いて、
②=③ である。
従って、
(08)(10)により、
(11)
② ∃y(鼻ya&長y)→~∀z(~鼻za→~長z)→~象a
③ ∃y(鼻ya&長y)→ ∃z(~鼻za& 長z)→~象a
に於いて、
②=③ である。
従って、
(08)(11)により、
(12)
① 象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)
③ ∃y(鼻ya&長y)→∃z(~鼻za&長z)→~象a
に於いて、
①=③
は、「対偶(contraposition)」である。
従って、
(12)により、
(13)
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
③ ∀x{∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx&長z)→~象x}
に於いて、
①=③
は、「対偶(contraposition)」である。
従って、
(13)により、
(14)
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}⇔
① すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない。
③ ∀x{∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx&長z)→~象x}⇔
③ すべてのxについて、あるyがxの鼻であって、yが長いならば、あるzがxの鼻でなくて、zが長いならば、xは象ではない。
に於いて、
①=③
は、「対偶(contraposition)」である。
然るに、
(15)
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}⇔
① すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない。
といふことは、
① すべてのxについて、xが象であるならば、あるyは象の鼻であって長く、すべてのzについて、zが象の鼻でないならば、zは長くない。
といふ、「意味」である。
従って、
(15)により、
(16)
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
といふことは、
① 象は、鼻が長く、鼻以外は長くない。
といふ、「意味」である。
然るに、
(17)
③ ∀x{∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx&長z)→~象x}⇔
③ すべてのxについて、あるyがxの鼻であって、yが長いならば、あるzが、xの鼻でなくて、zも長いならば、xは象ではない。
といふことは、
③ すべてのxについて、xの鼻であるyが長く、その上、xの、鼻でないzが、長いのであれば、xは象ではない。
といふ、「意味」である。
従って、
(17)により、
(18)
③ ∀x{∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx&長z)→~象x}
といふことは、
③ 象は、鼻が長く、鼻以外は長くない。
といふ、「意味」である。
従って、
(13)(16)(18)により、
(19)
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
③ ∀x{∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx&長z)→~象x}
といふ「論理式」は、互いに、「対偶(contraposition)」であって、両方とも、
① 象は、鼻以外は長くない。
③ 象は、鼻以外は長くない。
といふ、「意味」である。
然るに、
(20)
① 私は、あなた以外は好きではない。
と言ふのであれば、
① 私は、あなたは好きです。
とは、言はずに、
① 私は、あなたが好きです。
と、言ふことになる。
従って、
(20)により、
(21)
① 象は、鼻以外は長くない。
と言ふのであれば、
① 象は、鼻は長い。
とは、言はずに、
① 象は、鼻が長い。
と、言ふことになる。
従って、
(19)(20)(21)により、
(22)
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
② ∀x{∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx&長z)→~象x}
といふ「論理式」は、互いに、「対偶(contraposition)」であって、両方とも、
① 象は鼻が長い。
② 象は鼻が長い。
といふ、「意味」である。
然るに、
(19)により、
(23)
③ 兎の耳は長く、兎の耳は鼻ではない。
とした上で、
④ ある兎は象である(すべての兎が象でない。といふわけではない)。
とするならば、
④ ある象は、鼻以外は長くないのに、耳も長い。
といふことになって、「矛盾」する。
従って、
(22)(23)により、
(24)
次の「述語計算(Predicate calculation)」は、「正しい」。
1 (1) ∀x{ 象x→ ∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→ ~長z)} A
1 (2) ∀x{ ∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx& 長z)→~象x} 1対偶(contraposition)
3 (3) ∀x{ 兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(耳zx→ ~鼻zx)} A
4 (4)~∀x(兎x→~象x) A
1 (5) 象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z) 1UE
1 (6) ∃y(鼻ya&長y)→∃z(~鼻za&長z)→~象a 2UE
3 (7) 兎a→∃y(耳ya&長y)&∀z(耳za→~鼻za) 3UE
4 (8)∃x~(兎x→ ~象x) 4量化子の関係
9 (9) ~(兎a→ ~象a) A
9 (ア) ~(~兎a∨ ~象a) 9含意の定義
9 (イ) ~~兎a&~~象a ア、ド・モルガンの法則
9 (ウ) 兎a& 象a イDN
9 (エ) 兎a ウ&E
9 (オ) 象a ウ&E 1 9 (カ) ∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z) 5オMPP
1 9 (キ) ∃y(鼻ya&長y) カ&E
ク(ク) 鼻ba&長b A
ク(ケ) 長b ク&E
1 9 (コ) ∃z(~鼻za&長z)→~象a 6キMPP
13 9 (サ) ∃y(耳ya&長y)&∀z(耳za→~鼻za) 7エMPP
13 9 (シ) ∃y(耳ya&長y) サ&E
ス(ス) 耳ba&長b A
ス(セ) 耳ba ス&E
13 9 (ソ) ∀z(耳za→~鼻za) サ&E
13 9 (タ) 耳ba→~鼻ba ソUE
13 9 (チ) ~鼻ba セタMPP
13 9ク(ツ) ~鼻ba&長b ケチ&I
13 9ク(テ) ∃z(~鼻za&長z) ツEI
13 9 (ト) ∃z(~鼻za&長z) キクテEE
13 9 (ナ) ~象a コトMPP
13 9 (ニ) 象a&~象a オナ&I
134 (ヌ) 象a&~象a 89ニEE
13 (ネ)~∃x~(兎x→~象x) 8ヌRAA
13 (ノ)∀x~~(兎x→~象x) ネ量化子の関係
13 (ハ)∀x(兎x→~象x) ノDN
13 (〃)すべてのxについて、xが兎であるならば、xは象ではない。 ノDN
13 (〃)兎は象ではない。 ノDN
従って、
(22)(23)(24)により、
(25)
たしかに、
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
② ∀x{∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx&長z)→~象x}
といふ「論理式」は、互いに、「対偶(contraposition)」であって、両方とも、
① 象は鼻が長い。
② 象は鼻が長い。
といふ、「意味」である。
然るに、
(25)により、
(26)
「意味」はともかく、「語順」から言へば、
① 象は鼻が長い。⇔
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}⇔
① すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない。
である。
然るに、
(27)
学校文法は単純な英語文法からの輸入で、主語・述語関係を単純に当てはめたものだ。そのため、「象は、鼻が長い」という単純な文でさえ、どれ
が主語だか指摘できず、複数主語だとか、主語の入れ子だとか、奇矯な技を使う。これに対して三上は、日本語には主語はない、とする。「象は」は、テーマを提示する主題であり、これから象についてのことを述べますよというメンタルスペースのセットアップであり、そのメンタルスペースのスコープを形成する働きをもつと主張する(この場合は「長い」までをスコープとする)。また、「鼻が」は主格の補語にすぎなく、数ある補語と同じ格であるとする。基本文は述語である「長い」だけだ(三上文法! : wrong, rogue and log)。
然るに、
(28)
括弧は、論理演算子のスコープ(scope)を明示する働きを持つ。スコープは、論理演算子の働きが及ぶ範囲のことをいう。
(産業図書、数理言語学辞典、2013年、四七頁:命題論理、今仁生美)
従って、
(27)(28)により、
(29)
① 象は、鼻が長い。⇔
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}⇔
① すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない。
といふことからすれば、
「これから象についてのことを述べますよというメンタルスペースのセットアップであり、そのメンタルスペースのスコープを形成する働きをもつと主張する。」といふ「説明」は「正しい」。
然るに、
(30)
(ⅰ)論理式または命題関数において、量記号が現れる任意の箇所の作用範囲は、問題になっている変数が現れる少なくとも2つの箇所を含むであろう(その1つの箇所は量記号そのもののなかにある);
(ⅱ)論理式または命題関数において、量記号が現れる任意の箇所の作用範囲は、同じ変数を用いたいかなる他の量記号も含まないであろう。
(論理学初歩、E.J.レモン、竹尾 治一郎・浅野 楢英 訳、1973年、183頁)
然るに、
(31)
① 象は鼻が長い。⇔
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}⇔
① すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない。
の場合、
① xの「作用範囲」は、
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
といふ「論理式の、全体」である。
然るに、
(32)
① ∀x{象x→
① すべてのxについて、xが象であるならば、
といふことからすれば、
① xとは、すなはち、「象」である。
従って、
(31)(32)により、
(33)
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
といふ「論理式」に於ける。
① xの「作用範囲」は、
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
といふ「論理式の、全体」であって、
① xとは、すなはち、「象」である。
従って、
(33)により、
(34)
私に言はせれば、
① 象は鼻が長い。⇔
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
に於ける、
① 象は は、
① 象は鼻が長い。 といふ「文全体の、主語」である。
従って、
(34)により、
(35)
① 鼻が は、
① 象は鼻が長い。 といふ「文の、一部の、主語」である。
加へて、
(36)
① 象は鼻が長い。⇔
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
であるため、
① 象は鼻が長い。
の場合も、
①{ ( )( ) }
といふ「形」の、「入れ子」である。
従って、
(27)(34)(35)(36)により、
(37)
「象は、鼻が長い」という単純な文でさえ、どれが主語だか指摘できず、複数主語だとか、主語の入れ子だとか、奇矯な技を使う。
とは言ふものの、
① 象は鼻が長い。⇔
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
といふ「述語論理式」からすれば、「複数主語も、主語の入れ子」も、「奇矯な技」であるとは、思はない。
然るに、
(38)
「象は」は「主辞」である。の「逆」は、
「主辞」は「象は」である。である。
従って、
(39)
「象は」は「主辞」であり、「鼻が長い」は「賓辞」である。
であるの「逆」とは、
「賓辞」は「鼻が長い」であり、「主辞」は「象は」である。
であると、思はれる。
然るに、
(40)
「象は」は「主辞」であり、「鼻が長い」は「賓辞」である。
「賓辞」は「鼻が長い」であり、「主辞」は「象は」である。
に於いて、2つは、「同じこと」であるとしか、思へない。
従って、
(40)により、
(41)
「象は鼻が長い」はどれが主辞がわからないから、このままでは非論理的な構造の文である、と言う人がもしあった(沢田『入門』二九ペ)とすれば、その人は旧『論理学』を知らない人であろう、これはこのままで、
象は 鼻が長い。
主辞 賓辞
とはっきりしている。速水式に簡単明リョウである。意味も、主辞賓辞の関係も小学生にもわかるはずの文である。これに文句をつけたり、それを取り次いだりするのは、人々が西洋文法に巻かれていることを語る以外の何物でもない。このまま定理扱いしてもよろしい。そしてこの定理の逆は真でないとして、鼻の長いもの例に、鞍馬山の天狗だの、池の尾の禅珍内供だのを上げるのも一興だろう。それでおしまいである(三上章、日本語の論理、1963年、13・14頁)。
に於ける、「そしてこの定理の逆は真でない(として、鼻の長いもの例に、鞍馬山の天狗だの、池の尾の禅珍内供だのを上げるのも一興だろう)。」といふ言ひ方が、私には、理解できない。
(42)
伝統的論理学を清水滉『論理学』(1916年)で代表させよう。わたしのもっているのが四十三年の第十九冊の一冊で、なお引き続き刊行だろうから、前後かなり多くの読者をもつ論理学書と考えられる。新興の記号論理学は、沢田允茂『現代論理学入門』(1962年)を参照することにする(三上章、日本語の論理、1963年、4頁)。
といふ風に、書かれてゐる一方で、『三上章、日本語の論理、1963年』に目を通す限り、その時点での三上章先生に、「現代論理学(述語論理)」を学んでゐた、「形跡」は無い。
然るに、
(43)
このうち、「象は鼻が長い」と「日本語の論理」をオススメする。あまりのクリアカットな主張に、愕然とする、なるほどそうだったのか、僕らは何も知らなかったのだなと(三上文法! : wrong, rogue and log)。
然るに、
(44)
「象は鼻が長い」にしても、「日本語の論理」にしても、何度、目を通しても、私には、「難解」過ぎて、ほとんど、「理解」出来ない。
(45)
「間違ってゐること」を、「正しい」と、「言ひ包めよう」とすれば、「難解にならざるを得ない」ことは、「当然」である。
「先の記事(245)」にも書いた通り、
(ⅰ)
1 (1) P→Q A
2 (2) P A
3(3) ~Q A
12 (4) Q 12MPP
123(5)~Q&Q 34&I
1 3(6)~P 25RAA
1 (7)~Q→~P 36CP
(ⅱ)
1 (1)~Q→~P A
2 (2)~Q A
3(3) P A
12 (4) ~P 12MPP
123(5) P&~P 34&I
1 3(6)~~Q 25RAA
1 3(7) Q 6DN
1 (8)P→Q 37CP
従って、
(ⅰ)(ⅱ)により、
(02)
① P→ Q=PであるならばQである。
② ~Q→~P=QでないならばPでない。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(03)
命題「PならばQ」の真偽とその対偶「QでないならPでない」の真偽とは必ず一致する(すなわち真理値が等しい)。
(ウィキペディア改)
従って、
(04)
① ∀x{ 象x→ ∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
② ∀x{~∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)→~象x}
に於いて、
① は、② の「対偶」であるが故に、
② は、① の「対偶」であり、それ故、
①=② である。
然るに、
(05)
「先の記事(245)」にも書いた通り、
(ⅱ)
3 (3) ~[∃y(鼻ya&長y)& ∀z(~鼻za→~長z)] A
3 (4) ~∃y(鼻ya&長y)∨~∀z(~鼻za→~長z) 3ド・モルガンの法則
3 (5) ∃y(鼻ya&長y)→~∀z(~鼻za→~長z) 4含意の定義
6 (6) ∃y(鼻ya&長y) A
36 (7) ~∀z(~鼻za→~長z) 56MPP
36 (8) ∃z~(~鼻za→~長z) 7量化子の関係
9(9) ~(~鼻ca→~長c) A
9(ア) ~(~~鼻ca∨~長c) 9含意の定義
9(イ) ~(鼻ca∨~長c) アDN
9(ウ) ~鼻ca&~~長c イ、ド・モルガンの法則
9(エ) ~鼻ca& 長c ウDN
9(オ) ∃z(~鼻za& 長z) オEI
36 (カ) ∃z(~鼻za& 長z) 89オEE
3 (キ) ∃y(鼻ya&長y)→∃z(~鼻za& 長z) 6カCP
(ⅲ)
3 (3) ∃y(鼻ya&長y)→∃z(~鼻za& 長z) A
4 (4) ∃y(鼻ya&長y) A
34 (5) ∃z(~鼻za& 長z) 34MPP
6(6) ~鼻ca& 長c A
6(7) ~~(~鼻ca& 長c) 6DN
6(8) ~(~~鼻ca∨~長c) 7ド・モルガンの法則
6(9) ~(~鼻ca→~長c) 8含意の定義
6(ア) ∃z~(~鼻ca→~長c) 6EI
34 (イ) ∃z~(~鼻ca→~長c) 56EE
34 (ウ) ~∀z(~鼻za→~長z) イ量化子の関係
3 (エ) ∃y(鼻ya&長y)→~∀z(~鼻za→~長z) 4ウCP
3 (オ) ~∃y(鼻ya&長y)∨~∀z(~鼻za→~長z) エ含意の定義
3 (カ) ~[∃y(鼻ya&長y)& ∀z(~鼻za→~長z)] オ、ド・モルガンの法則
従って、
(05)により、
(06)
② ~[∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)]
③ ∃y(鼻ya&長y)→∃z(~鼻za& 長z)
に於いて、
②=③ である。
従って、
(06)により、
(07)
②[ ]を省略すると、
② ~∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)
③ ∃y(鼻ya&長y)→∃z(~鼻za& 長z)
に於いて、
②=③ である。
従って、
(07)により、
(08)
② ~∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)
③ ∃y(鼻ya&長y)→∃z(~鼻za& 長z)
に於いて、
②=③ であるが故に、
② ~∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)→~象x
③ ∃y(鼻ya&長y)→∃z(~鼻za& 長z)→~象x
従って、
(08)により、
(09)
② ∀x{~∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)→~象x}
③ ∀x{ ∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx& 長z)→~象x}
に於いて、
②=③ である。
従って、
(04)(09)により、
(10)
① ∀x{ 象x→ ∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
② ∀x{~∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)→~象x}
③ ∀x{ ∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx& 長z)→~象x}
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(10)により、
(11)
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
③ ∀x{∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx&長z)→~象x}
に於いて、
①=③ である。
従って、
(11)により、
(12)
① すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない。
③ すべてのxについて、あるyがxの鼻であって、yが長いならば、あるzがxの鼻でなくて、zが長いならば、xは象ではない。
に於いて、
①=③ である。
然るに、
(13)
① すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない。
といふことは、要するに、
① 象は、鼻は長く、鼻以外は長くない。
といふ、「意味」である。
然るに、
(14)
③ すべてのxについて、あるyがxの鼻であって、yが長いならば、あるzが、xの鼻でなくて、zも長いならば、xは象ではない。
といふことは、
③ あるyがxの鼻であって長いのであれば、yの次に、あるzが、xの鼻ではなくて、長いのであれば、xは象ではない。
といふ、「意味」である。
然るに、
(15)
③ あるyがxの鼻であって長いのであれば、yの次に、あるzが、xの鼻ではなくて、長いのであれば、xは象ではない。
といふことは、要するに、
③ 象は、鼻は長く、鼻以外は長くない。
といふ、「意味」である。
従って、
(11)~(15)により、
(16)
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
③ ∀x{∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx&長z)→~象x}
に於いて、
①=③ である「理由」は、両方とも、
① 象は、鼻は長く、鼻以外は長くない。
③ 象は、鼻は長く、鼻以外は長くない。
といふ「意味」であるからである。
といふ、ことになる。
然るに、
(17)
① 象は、鼻は長く、鼻以外は長くない。
③ 象は、鼻は長く、鼻以外は長くない。
といふのであれば、
① 象は、鼻が長い。
③ 象は、鼻が長い。
と言ふのであって、
① 象は、鼻は長い。
③ 象は、鼻は長い。
とは、言はない。
然るに、
(18)
④ ある兎は象であって、その兎は耳が長い。
とする。
然るに、
(19)
① 象は、鼻は長く、鼻以外は長くない。
といふ、ことからすると、
④ ある兎は象であって、その兎は耳が長い。
と、いふのであれば、
④ 兎の耳は、鼻でなければ、ならない。
従って、
(19)により、
(20)
⑤ ある兎が、象であって、尚且つ、その兎の耳が長いにも拘らず、その兎の耳が、鼻ではない。
とするならば、「矛盾」する。
従って、
(18)(19)(20)により、
(21)
次のやうな、「述語計算(Predicate calculation)」が、成立する。
1 (1) ∀x{ 象x→ ∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→ ~長z)} A
1 (2) ∀x{~∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)→~象x} 1対偶(contraposition)
1 (3) ∀x{ ∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx& 長z)→~象x} 2定理(11)
4 (4) ∀x{ 兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(耳zx→ ~鼻zx)} A
4 (〃)すべてのxについて、xが兎であるならば、あるyはxの耳であって、yは長く、すべてのzについて、zがxの耳ならば、zはxの鼻ではない。 A
5 (5)~∀x(兎x→~象x) A
5 (〃)すべてのxについて、xが兎であるならば、xは象ではない。といふわけではない。 A
1 (6) 象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z) 1UE
(7) ∃y(鼻ya&長y)→∃z(~鼻za&長z)→~象a 3UE
4 (8) 兎a→∃y(耳ya&長y)&∀z(耳za→~鼻za)} 4UE
5 (9) ∃x~(兎x→~象x) 5量化子の関係
ア (ア) ~(兎a→~象a) A
ア (イ) ~(~兎a∨~象a) ア含意の定義
ア (ウ) ~~兎a&~~象a イ、ド・モルガンの法則
ア (エ) 兎a&象a ウDN
ア (オ) 兎a エ&E
4 ア (カ) ∃y(耳ya&長y)&∀z(耳za→~鼻za) 8オMPP
4 ア (キ) ∃y(耳ya&長y) カ&E
ク(ク) 耳ba&長b A
ク(ケ) 耳ba ク&E
ク(コ) 長b ケ&E
4 ア (サ) ∀z(耳za→~鼻za) カ&E
4 ア (シ) 耳ba→~鼻ba サUE
4 アク(ス) ~鼻ba ケシMPP
4 アク(セ) ~鼻ba&長b コス&I
4 アク(ソ) ∃z(~鼻za&長b) セEI
4 ア (タ) ∃z(~鼻za&長z) キクソEE
ア (チ) 象a エ&E
1 ア (ツ) ∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z) 6チMPP
1 ア (テ) ∃y(鼻ya&長y) ツ&E
1 ア (ト) ∃z(~鼻za&長z)→~象a 7テMPP
14 ア (ナ) ~象a タトMPP
14 ア (ニ) 象a&~象a チナ&I
145 (ヌ) 象a&~象a 9アニEE
14 (ネ)~∃x~(兎x→~象x) 9ヌRAA
14 (ノ)∀x~~(兎x→~象x) ネ量化子の関係
14 (ハ)∀x(兎x→~象x) ノDN
14 (〃)すべてのxについて、xが兎であるならば、xは象ではない。 ノDN
14 (〃)兎は象ではない。
従って、
(10)(16)(17)(21)により、
(22)
① ∀x{ 象x→ ∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
② ∀x{~∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)→~象x}
③ ∀x{ ∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx& 長z)→~象x}
といふ「述語論理式」は、三つとも、
① 象は、鼻が長い。
② 象は、鼻が長い。
③ 象は、鼻が長い。
といふ「意味」である(Q.E.D)。
然るに、
(23)
学校文法は単純な英語文法からの輸入で、主語・述語関係を単純に当てはめたものだ。そのため、「象は、鼻が長い」という単純な文でさえ、どれが主語だか指摘できず、複数主語だとか、主語の入れ子だとか、奇矯な技を使う。これに対して三上は、日本語には主語はない、とする。「象は」は、テーマを提示する主題であり、これから象についてのことを述べますよというメンタルスペースのセットアップであり、そのメンタルスペースのスコープを形成する働きをもつと主張する(この場合は「長い」までをスコープとする)。また、「鼻が」は主格の補語にすぎなく、数ある補語と同じ格であるとする。基本文は述語である「長い」だけだ(三上文法! : wrong, rogue and log)。
然るに、
(24)
① 象は、鼻が長い。⇔
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}⇔
① すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない。
といふことからすれば、
「これから象についてのことを述べますよというメンタルスペースのセットアップであり、そのメンタルスペースのスコープを形成する働きをもつと主張する。」といふ「説明」は「正しい」。
然るに、
(25)
括弧は、論理演算子のスコープ(scope)を明示する働きを持つ。スコープは、論理演算子の働きが及ぶ範囲のことをいう。
(産業図書、数理言語学辞典、2013年、四七頁:命題論理、今仁生美)
然るに、
(26)
(ⅰ)論理式または命題関数において、量記号が現れる任意の箇所の作用範囲は、問題になっている変数が現れる少なくとも2つの箇所を含むであろう(その1つの箇所は量記号そのもののなかにある);
(ⅱ)論理式または命題関数において、量記号が現れる任意の箇所の作用範囲は、同じ変数を用いたいかなる他の量記号も含まないであろう。
(論理学初歩、E.J.レモン、竹尾 治一郎・浅野 楢英 訳、1973年、183頁)
従って、
(23)~(26)により、
(27)
「象は、鼻が長い」という単純な文でさえ、どれが主語だか指摘できず、複数主語だとか、主語の入れ子だとか、奇矯な技を使う。
とは言ふものの、
① 象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
は、「複数主語(xとyとz)」による、
①{ ( )( ) }
といふ「形」の、「入れ子」であって、xが、「全体の、主語」である。
(28)
思ふに、「日本語には主語があろうと、なかろう。」と、そんなことは、おそらくは、「どうでも良い」。
(01)
(1)象は鼻が長い。
(2)兎の耳は長く、兎の耳は鼻ではない。
(3)ある兎は象である。
といふ「日本語」は、
(1)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
(2)∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(耳zx→~鼻zx)}
(3)∃x(兎x&象x)
といふ「述語論理」、すなはち、
(1)すべてのxについて、xが象であるならば、有るyはxの鼻であって長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない。
(2)すべてのxについて、xが兎であるならば、有るyはxの耳であって長く、すべてのzについて、zがxの耳ならば、zはxの鼻ではない。
(3)あるxは兎であって象である。
といふ「述語論理」に、翻訳される。
然るに、
(02)
1 (1)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} A
2 (2)∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(耳zx→~鼻zx)} A
3 (3)∃x(兎x&象x) A
1 (4) 象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z) 1UE
2 (5) 兎a→∃y(耳ya&長y)&∀z(耳za→~鼻za) 1UE
6 (6) 兎a&象a A
6 (7) 兎a 6&E
6 (8) 象a 6&E
1 6 (9) ∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z) 47MPP
2 6 (ア) ∃y(耳ya&長y)&∀z(耳za→~鼻za) 58MPP
1 6 (イ) ∃y(鼻ya&長y) 9&E
2 6 (ウ) ∃y(耳ya&長y) ア&E
エ (エ) 鼻ba&長b A
オ(オ) 耳ba&長b A
1 6 (カ) ∀z(~鼻za→~長z) 9&E
1 6 (キ) ~鼻ba→~長b カUE
2 6 (ク) ∀z(耳za→~鼻za) ア&E
2 6 (ケ) 耳ba→~鼻ba クUE
オ(コ) 耳ba オ&E
2 6 オ(サ) ~鼻ba ケコMPP
12 6 オ(シ) ~長b キサコMPP
オ(ス) 長b オ&E
12 6 オ(セ) 長b&~長b シス&I
12 6 (ソ) 長b&~長b ウオセEE
123 (タ) 長b&~長b 36ソEE
12 (チ)~∃x(兎x&象x) 3タRAA
12 (ツ)∀x~(兎x&象x) チ量化子の関係
12 (テ) ~(兎a&象a) ツUE
12 (ト) ~兎a∨~象a テ、ド・モルガンの法則
12 (ナ) 兎a→~象a ト含意の定義
12 (ニ)∀x(兎x→~象x) ナUI
12 (〃)すべてのxについて、xが兎であるならば、xは象ではない。 ナUI
12 (〃)兎は象ではない。
従って、
(01)(02)により、
(03)
(1)象は鼻が長い。
(2)兎の耳は長いが、兎の耳は鼻ではない。
(3)ある兎は象である。
といふ「仮定(Assumptions)」により、
(ニ)兎は象ではない。
といふ『結論(Conclusion)』を得ることになる。
従って、
(03)により、
(04)
「象は鼻が長い。然るに、兎の耳は長いが、兎の耳は鼻ではない。故に、兎は象ではない。」
といふ「推論」は、「妥当」である。
(05)
(ⅰ)
1 (1) P→Q A
2 (2) P A
3(3) ~Q A
12 (4) Q 12MPP
123(5)~Q&Q 34&I
1 3(6)~P 25RAA
1 (7)~Q→~P 36CP
(ⅱ)
1 (1)~Q→~P A
2 (2)~Q A
3(3) P A
12 (4) ~P 12MPP
123(5) P&~P 34&I
1 3(6)~~Q 25RAA
1 3(7) Q 6DN
1 (8)P→Q 37CP
従って、
(ⅰ)(ⅱ)により、
(06)
① P→ Q=PであるならばQである。
② ~Q→~P=QでないならばPでない。
に於いて、
①=② であるものの、
この「等式」を、「対偶(contraposition)」と言ふ。
cf.
命題「PならばQ」の真偽とその対偶「QでないならPでない」の真偽とは必ず一致する(すなわち真理値が等しい)。
(ウィキペディア改)
然るに、
(07)
① ∀x{ 象x→ ∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
② ∀x{~∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)→~象x}
に於いて、
①=② は、「対偶(contraposition)」である。
然るに、
(08)
(ⅱ)
3 (3) ~[∃y(鼻ya&長y)& ∀z(~鼻za→~長z)] A
3 (4) ~∃y(鼻ya&長y)∨~∀z(~鼻za→~長z) 3ド・モルガンの法則
3 (5) ∃y(鼻ya&長y)→~∀z(~鼻za→~長z) 4含意の定義
6 (6) ∃y(鼻ya&長y) A
36 (7) ~∀z(~鼻za→~長z) 56MPP
36 (8) ∃z~(~鼻za→~長z) 7量化子の関係
9(9) ~(~鼻ca→~長c) A
9(ア) ~(~~鼻ca∨~長c) 9含意の定義
9(イ) ~(鼻ca∨~長c) アDN
9(ウ) ~鼻ca&~~長c イ、ド・モルガンの法則
9(エ) ~鼻ca& 長c ウDN
9(オ) ∃z(~鼻za& 長z) オEI
36 (カ) ∃z(~鼻za& 長z) 89オEE
3 (キ) ∃y(鼻ya&長y)→∃z(~鼻za& 長z) 6カCP
(ⅲ)
3 (3) ∃y(鼻ya&長y)→∃z(~鼻za& 長z) A
4 (4) ∃y(鼻ya&長y) A
34 (5) ∃z(~鼻za& 長z) 34MPP
6(6) ~鼻ca& 長c A
6(7) ~~(~鼻ca& 長c) 6DN
6(8) ~(~~鼻ca∨~長c) 7ド・モルガンの法則
6(9) ~(~鼻ca→~長c) 8含意の定義
6(ア) ∃z~(~鼻ca→~長c) 6EI
34 (イ) ∃z~(~鼻ca→~長c) 56EE
34 (ウ) ~∀z(~鼻za→~長z) イ量化子の関係
3 (エ) ∃y(鼻ya&長y)→~∀z(~鼻za→~長z) 4ウCP
3 (オ) ~∃y(鼻ya&長y)∨~∀z(~鼻za→~長z) エ含意の定義
3 (カ) ~[∃y(鼻ya&長y)& ∀z(~鼻za→~長z)] オ、ド・モルガンの法則
従って、
(08)により、
(09)
② ~[∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)]
③ ∃y(鼻ya&長y)→∃z(~鼻za& 長z)
に於いて、
②=③ である。
然るに、
(10)
[規則]
1 代入の規則
一つの恒真式のなかの命題変項を他の命題変項、または論理式におきかえることによって得られる式は同じく恒真式である。
(沢田允茂、現代論理学入門、1962年、173頁)
従って、
(07)~(10)により、
(11)
① ∀x{ 象x→ ∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
② ∀x{~∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)→~象x}
③ ∀x{ ∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx& 長z)→~象x}
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(12)
② ∀x{~∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)→~象x}
③ ∀x{ ∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx& 長z)→~象x}
に於いて、
②=③ であるものの、このことを、「含意の定義(12)」とする。
然るに、
(13)
1 (1) ∀x{ 象x→ ∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→ ~長z)} A
1 (2) ∀x{~∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)→~象x} 1対偶(contraposition)
1 (3) ∀x{ ∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx& 長z)→~象x} 2含意の定義(12)
4 (4) ∀x{ 兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(耳zx→ ~鼻zx)} 4
5 (5)~∀x(兎x→~象x) A
5 (〃)すべてのxについて、xが兎であるならば、xは象ではない。といふわけではない。 A
1 (6) 象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z) 1UE
(7) ∃y(鼻ya&長y)→∃z(~鼻za&長z)→~象a 3UE
4 (8) 兎a→∃y(耳ya&長y)&∀z(耳za→~鼻za)} 4UE
5 (9) ∃x~(兎x→~象x) 5量化子の関係
ア (ア) ~(兎a→~象a) A
ア (イ) ~(~兎a∨~象a) ア含意の定義
ア (ウ) ~~兎a&~~象a イ、ド・モルガンの法則
ア (エ) 兎a&象a ウDN
ア (オ) 兎a エ&E
4 ア (カ) ∃y(耳ya&長y)&∀z(耳za→~鼻za) 8オMPP
4 ア (キ) ∃y(耳ya&長y) カ&E
ク(ク) 耳ba&長b A
ク(ケ) 耳ba ク&E
ク(コ) 長b ケ&E
4 ア (サ) ∀z(耳za→~鼻za) カ&E
4 ア (シ) 耳ba→~鼻ba サUE
4 アク(ス) ~鼻ba ケシMPP
4 アク(セ) ~鼻ba&長b コス&I
4 アク(ソ) ∃z(~鼻za&長b) セEI
4 ア (タ) ∃z(~鼻za&長z) キクソEE
ア (チ) 象a エ&E
1 ア (ツ) ∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z) 6チMPP
1 ア (テ) ∃y(鼻ya&長y) ツ&E
1 ア (ト) ∃z(~鼻za&長z)→~象a 7テMPP
14 ア (ナ) ~象a タトMPP
14 ア (ニ) 象a&~象a チナ&I
145 (ヌ) 象a&~象a 9アニEE
14 (ネ)~∃x~(兎x→~象x) 9ヌRAA
14 (ノ)∀x~~(兎x→~象x) ネ量化子の関係
14 (ハ)∀x(兎x→~象x) ノDN
14 (〃)すべてのxについて、xが兎であるならば、xは象ではない。 ノDN
14 (〃)兎は象ではない。 (14)
(ⅲ)
1 (1) ∃x(兎x& 象x) A
2(2) 兎a& 象a A
2(3) ~~(兎a& 象a) 2DN
2(4) ~(~兎a∨~象a) 3ド・モルガンの法則
2(5) ~(兎a→~象a) 4含意の定義
2(6)∃x~(兎x→~象x) 2EI
1 (7)∃x~(兎x→~象x) 126EE
1 (8)~∀x(兎x→~象x) 量化子の関係
(ⅳ)
1 (1)~∀x(兎x→~象x) A
1 (2)∃x~(兎x→~象x) 1量化子の関係
3(3) ~(兎a→~象a) A
3(4) ~(~兎a∨~象a) 3含意の定義
3(5) ~~兎a&~~象a 4ド・モルガンの法則
3(6) 兎a& 象a 5DN
3(7) ∃x(兎x& 象x) 6EI
1 (8) ∃x(兎x& 象x) 237EE
従って、
(14)により、
(15)
③ ∃x(兎x& 象x)= ある兎は象である。
④ ~∀x(兎x→~象x)=すべての兎が象ではない。といふわけではない。
に於いて、
③=④ である。
(01)(02)(13)(15)により、
(16)
(1)象は鼻が長い。
(2)兎の耳は長く、兎の耳は鼻ではない。
(3)ある兎は象である=すべての兎が象ではない。といふわけではない。
といふ「日本語」は、
(1)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
(2)∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(耳zx→~鼻zx)}
(3)∃x(兎x&象x)=~∀x(兎x→~象x)
といふ「述語論理」に相当し、
(1)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
(2)∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(耳zx→~鼻zx)}
(3)∃x(兎x&象x)=~∀x(兎x→~象x)
といふ「仮定(Assumptions)」により、
(4)∀x(兎x→~象x)
(〃)すべての兎は、象ではない。
といふ『結論(Conclusion)』を得ることになる。
従って、
(16)により、
(17)
「象は鼻が長い。然るに、兎は耳が長い。故に、兎は象ではない。」
といふ「推論」は、「述語論理」としても、「妥当」である。
然るに、
(18)
① 私はあなたが好きです。
② 私はあなたは好きです。
に於いて、
① であれば、「私はあなた以外は好きではない。」と言ってゐて、
② であれば、「私はあなた以外は好きではない。」とは、言ってはゐない。
従って、
(18)により、
(19)
① #は鼻が長い。
② #は鼻は長い。
に於いて、
① であれば、「#は鼻以外は長くない。」と言ってゐて、
② であれば、「#は鼻以外は長くない。」とは、言ってはゐない。
従って、
(20)
① 象は鼻が長い。
② 象は鼻は長い。
に於いて、
① であれば、「象は鼻以外は長くない。」と言ってゐて、
② であれば、「象は鼻以外は長くない。」とは、言ってはゐない。
然るに、
(21)
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)}
に於いて、
① であれば、「象は鼻以外は長くない。」と言ってゐて、
② であれば、「象は鼻以外は長くない。」とは、言ってはゐない。
然るに、
(16)(21)により、
(22)
① 象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
ではなく、
② 象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)}。
であるならば、
「象は鼻が長い。然るに、兎は耳が長い。故に、兎は象ではない。」
といふ「推論」は、「妥当」ではない。
然るに、
(23)
「象は鼻が長い。然るに、兎は耳が長い。故に、兎は象ではない。」
といふ「推論」は、「妥当」ではある。
従って、
(22)(23)により、
(24)
② 象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)}。
ではなく、
① 象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
でなければ、ならない(Q.E.D)。
然るに、
(25)
「象は鼻が長い」はどれが主辞がわからないから、このままでは非論理的な構造の文である、と言う人がもしあった(沢田『入門』二九ペ)とすれば、その人は旧『論理学』を知らない人であろう、これはこのままで、
象は 鼻が長い。
主辞 賓辞
とはっきりしている。速水式に簡単明リョウである。意味も、主辞賓辞の関係も小学生にもわかるはずの文である。これに文句をつけたり、それを取り次いだりするのは、人々が西洋文法に巻かれていることを語る以外の何物でもない。このまま定理扱いしてもよろしい。そしてこの定理の逆は真でないとして、鼻の長いもの例に、鞍馬山の天狗だの、池の尾の禅珍内供だのを上げるのも一興だろう。それでおしまいである(三上章、日本語の論理、1963年、13・14頁)。
然るに、
(26)
伝統的論理学を清水滉『論理学』(1916年)で代表させよう。わたしのもっているのが四十三年の第十九冊の一冊で、なお引き続き刊行だろうから、前後かなり多くの読者をもつ論理学書と考えられる。新興の記号論理学は、沢田允茂『現代論理学入門』(1962年)を参照することにする(三上章、日本語の論理、1963年、4頁)。
といふ風に、書かれてゐる一方で、『三上章、日本語の論理、1963年』に目を通す限り、その時点での三上章先生に、「現代論理学(述語論理)」を学んでゐた、「形跡」は無い。