日本語の「は」と「が」について。

象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
とりあえず「三上文法」を「批判」します。

(895)「太陽系は、地球が第三惑星である」と「同一性のIS」。

2021-05-19 19:43:10 | 象は鼻が長い、述語論理。

(01)
(ⅰ)
1  (1) ∀x(象x→ 動物x) A
 2 (2) ∃x(象x&~動物x) A
1  (3)    象a→ 動物a  1UE
  4(4)    象a&~動物a  A
  4(5)    象a       4&E
  4(6)       ~動物a  4&E
1 4(7)        動物a  35MPP
1 4(8)   ~動物a&動物a  67&I
12 (9)   ~動物a&動物a  248EE
1  (ア)~∃x(象x&~動物x) 29RAA
(ⅱ)
1  (1)~∃x(象x&~動物x) A
1  (2)∀x~(象x&~動物x) 1量化子の関係
1  (3)  ~(象a&~動物a) 1UE
1  (4)   ~象a∨ 動物a  3ド・モルガンの法則
1  (5)    象a→ 動物a  4含意の定義
1  (6) ∀x(象x→ 動物x) 5UI
(ⅲ)
1  (1)~∀x(象x→ 動物x) A
1  (2)∃x~(象x→ 動物x) 1量化子の関係
 3 (3)  ~(象a→ 動物a) A
 3 (4) ~(~象a∨ 動物a) 3含意の定義
 3 (5)    象a&~動物a  4ド・モルガンの法則
 3 (6) ∃x(象x&~動物x) 5EI
1  (7) ∃x(象x&~動物x) 136EE
(ⅳ)
1  (1) ∃x(象x&~動物x) A
 2 (2)    象a&~動物a  A
 2 (3) ~(~象a∨ 動物a) 2ド・モルガンの法則
 2 (4)  ~(象a→ 動物a) 3含意の定義
 2 (5)∃x~(象x→ 動物x) 4EI
1  (6)∃x~(象x→ 動物x) 125EE
1  (7)~∀x(象x→ 動物x) 6量化子の関係
従って、
(01)により、
(02)
①  ∀x(象x→ 動物x)≡すべてのxについて(xが象であるならば、xは動物である)。
② ~∃x(象x&~動物x)≡(象であって、動物でないx)は存在しない。
③ ~∀x(象x→ 動物x)≡すべてのxについて(xが象であるならば、xは動物である)といふことない。
④  ∃x(象x&~動物x)≡(象であって、動物でないx)は存在する。
に於いて、
①=② であって、
③=④ である。
従って、
(02)により、
(03)
①   ∀x(象x→ 動物x)
②  ~∃x(象x&~動物x)
③  ~∀x(象x→ 動物x)
④   ∃x(象x&~動物x)
⑤ ~~∀x(象x→ 動物x)
⑥  ~∃x(象x&~動物x)
に於いて、
①=②=⑤=⑥ である。
従って、
(03)により、
(04)
①  ∀x(象x→ 動物x)
を、「否定」し、もう一度、「否定」すれば、「二重否定」により、
② ~∃x(象x&~動物x)
を、得る。
然るに、
(05)
(ⅰ)
1 (1)~∀x{太陽系x→∃y[地球y&第三惑星yx&~∃z(z≠y&第三惑星zx)]} A
1 (2)∃x~{太陽系x→∃y[地球y&第三惑星yx&~∃z(z≠y&第三惑星zx)]} 1量化子の関係
 3(3)  ~{太陽系a→∃y[地球y&第三惑星ya&~∃z(z≠y&第三惑星za)]} A
 3(4) ~{~太陽系a∨∃y[地球y&第三惑星ya&~∃z(z≠y&第三惑星za)]} 3含意の定義
 3(5)   太陽系a&~∃y[地球y&第三惑星ya&~∃z(z≠y&第三惑星za)]  4ド・モルガンの法則
 3(6)   太陽系a                                  5&E
 3(7)        ~∃y[地球y&第三惑星ya&~∃z(z≠y&第三惑星za)]  5&E
 3(8)        ∀y~[地球y&第三惑星ya&~∃z(z≠y&第三惑星za)]  7量化子の関係
 3(9)          ~[地球b&第三惑星ba&~∃z(z≠b&第三惑星za)]  8UE
 3(ア)          ~(地球b&第三惑星ba)∨∃z(z≠b&第三惑星za)   9ド・モルガンの法則
 3(イ)           (地球b&第三惑星ba)→∃z(z≠b&第三惑星za)   ア含意の定義
 3(ウ)        ∃y[(地球y&第三惑星ya)→∃z(z≠y&第三惑星za)]  イEI
 3(エ)   太陽系a&∃y[(地球y&第三惑星ya)→∃z(z≠y&第三惑星za)]  6ウ&I
 3(オ)∃x{太陽系x&∃y[(地球y&第三惑星yx)→∃z(z≠y&第三惑星zx)]} エEI
1 (カ)∃x{太陽系x&∃y[(地球y&第三惑星yx)→∃z(z≠y&第三惑星zx)]} 13オEE
(ⅱ)
1 (1)∃x{太陽系x&∃y[(地球y&第三惑星yx)→∃z(z≠y&第三惑星zx)]} A
 2(2)   太陽系a&∃y[(地球y&第三惑星ya)→∃z(z≠y&第三惑星za)]  A
 2(3)   太陽系a                                  2&E
 2(4)        ∃y[(地球y&第三惑星ya)→∃z(z≠y&第三惑星za)]  2&E
 2(5)           (地球b&第三惑星ba)→∃z(z≠b&第三惑星za)   A
  2(6)          ~(地球b&第三惑星ba)∨∃z(z≠b&第三惑星za)   5含意の定義
 2(7)          ~[地球b&第三惑星ba&~∃z(z≠b&第三惑星za)]  6ド・モルガンの法則
 2(8)        ∀y~[地球y&第三惑星ya&~∃z(z≠y&第三惑星za)]  7UI
 2(9)        ~∃y[地球y&第三惑星ya&~∃z(z≠y&第三惑星za)]  8量化子の関係
 2(ア)   太陽系a&~∃y[地球y&第三惑星ya&~∃z(z≠y&第三惑星za)]  39&I
 2(イ) ~{~太陽系a∨∃y[地球y&第三惑星ya&~∃z(z≠y&第三惑星za)]} アド・モルガンの法則
 2(ウ)  ~{太陽系a→∃y[地球y&第三惑星ya&~∃z(z≠y&第三惑星za)]} イ含意の定義
 2(エ)∃x~{太陽系x→∃y[地球y&第三惑星yx&~∃z(z≠y&第三惑星zx)]} 1EI
1 (オ)∃x~{太陽系x→∃y[地球y&第三惑星yx&~∃z(z≠y&第三惑星zx)]} 12エEE
1 (カ)~∀x{太陽系x→∃y[地球y&第三惑星yx&~∃z(z≠y&第三惑星zx)]} オ量化子の関係
従って、
(05)により、
(06)
① ~∀x{太陽系x→∃y[地球y&第三惑星yx& ~∃z(z≠y&第三惑星zx)]}
②  ∃x{太陽系x&∃y[(地球y&第三惑星yx)→∃z(z≠y&第三惑星zx)]}
に於いて、
①=② である。
従って、
(04)(05)(06)により、
(07)
①  ∀x{太陽系x→∃y[ 地球y&第三惑星yx&~∃z(z≠y&第三惑星zx)]}
② ~∃x{太陽系x&∃y[(地球y&第三惑星yx)→∃z(z≠y&第三惑星zx)]}
に於いて、
①=② である。
従って、
(07)により、
(08)
① すべてのxについて{xが太陽系であるならば、あるyが[地球であって、xの第三惑星であって、あるzが(y以外であって、xの第三惑星である)]といふことはない}。
② {xが太陽系であるとして、あるyが[(地球であって、xの第三惑星であるならば、あるzが(yではなくて、xの第三惑星である)といふ]}そのやうなxは存在しない。
に於いて、
①=② であって、このことは、
① 太陽系の第三惑星は、地球であって、地球以外に、太陽系の第三惑星は、存在しない
② 太陽系の第三惑星は、地球であって、地球以外に、太陽系の第三惑星は、存在しない
といふことに、他ならない。
然るに、
(09)
① 太陽系の第三惑星は、地球であって、地球以外に、太陽系の第三惑星は、存在しない
② 太陽系の第三惑星は、地球であって、地球以外に、太陽系の第三惑星は、存在しない
といふことは、
① The third planet of the solar system is the earth.
② The third planet of the solar system the earth.
といふことに、他ならない。
然るに、
(10)
① The third planet of the solar system is the earth.
② The third planet of the solar system the earth.
といふことは、
① The earth is the third planet of the solar system.
② The earth the third planet of the solar system.
といふことである。
然るに、
(11)
同一性の「is(である)」識別するための助けとなることがらはつぎの通りである。
(a)「is(である)」の両側にならぶ語句は、近似値的に同じ意味をたもちつつ入れ換えることができるか ― もしできるならば、その「is(である)」は同一性の「である('is' of identity)」である。
(b)「is(である)」を「と同じ対象である(is the same object as)」によって置き換えることができるか ― もしできるならば、その「 is(である)」は同一性の「is(である)」である。
(E.J.レモン 著、武生治一郎・浅野楢英 訳、論理学初歩、1973年、205頁改)
従って、
(10)(11)により、
(12)
① The third planet of the solar system is the earth.
② The third planet of the solar system the earth.
に於ける、「is」は、「同一性の"is"」である。
従って、
(12)により、
(13)
① Speaking of the solar system,the earth is the third planet.
② Speaking of the solar system,the earth the third planet.
に於ける、「is」は、「同一性の"is"」である。
然るに、
(14)
三上はこれを文型として登録すべきであると、主張しています。
象をAに、鼻をBに、長いをCに変え、文型の公式として、
 Aは、BCだ。
を作っておきます。すると、この公式に当てはまる文は、たいてい機械的にパラフレーズできます。
 二辺の平方の和が第三辺の平方の和に等しい三角形は、第三辺に対する角直角である。
(山崎紀美子、日本語基礎講座―三上文法入門、2003年、215頁)
従って、
(14)により、
(15)
① Speaking of the solar system,the earth is the third planet.
② Speaking of the solar system,the earth the third planet.
に対応する「日本語」は、
① 太陽系は、地球第三惑星である。
であって、
① 太陽系は、地球第三惑星である。
ではない
従って、
(07)~(15)により、
(16)
① 太陽系は、地球が第三惑星である。⇔
① Speaking of the solar system,the earth is the third planet.⇔
① ∀x{太陽系x→∃y[地球y&第三惑星yx&~∃z(z≠y&第三惑星zx)]}⇔
① すべてのxについて{xが太陽系であるならば、あるyが[地球であって、xの第三惑星であって、あるzが(y以外であって、xの第三惑星である)]といふことはない}。
といふ「等式」が、成立する。
従って、
(16)により、
(17)
① 太陽系は、⇔
① Speaking of the solar system,⇔
① すべてのxについて{xが太陽系であるならば、
といふ「等式」が、成立する。
然るに、
(18)
学校文法は単純な英語文法からの輸入で、主語・述語関係を単純に当てはめたものだ。そのため、「象は、鼻が長い」という単純な文でさえ、どれが主語だか指摘できず、複数主語だとか、主語の入れ子だとか、奇矯な技を使う。これに対して三上は、日本語には主語はない、とする。「象は」は、テーマを提示する主題であり、これから象についてのことを述べますよというメンタルスペースのセットアップであり、そのメンタルスペースのスコープを形成する働きをもつと主張する(この場合は「長い」までをスコープとする)。また、「鼻が」は主格の補語にすぎなく、数ある補語と同じ格であるとする。基本文は述語である「長い」だけだ(三上文法! : wrong, rogue and log)。
従って、
(17)(18)により、
(19)
①「太陽系は、」は、「主題」であり、
①「Speaking of the solar system,」は、「主題」であり、
①「すべてのxについて{xが太陽系であるならば、」は、「主題」である。
従って、
(20)
② Elephants have long noses.⇔
Speaking of elephants,they have long noses.⇔
② ∀x{ELEPHANTSx→∃y(NOSESyx&LONGx)}.
に於ける、
②「Elephants」は、「主題」と言へば「主題」であり、
②「Speaking of elephants,」は「主題」と言へば「主題」であり、
②「∀x{ELEPHANTSx→」  は「主題」と言へば「主題」である。
然るに、
(21)
主語は、別の次元にあります。
では、英語では、どうなるのでしょうか。
英語では、日本語の「x」のように、を(topic)を保証する形式は、特にありません。
(山崎紀美子、日本語基礎講座、2003年、19頁)
然るに、
(22)
実際、文法学者が「主語」という「語」を使わなければならないことは、不幸なことだ。この語は、普通のことばでは、とりわけ「話題」(主題)という意味でも使われているからである(イェスペルセン著、安藤貞雄 訳、文法の原理(中)、2006年、45頁)。
従って、
(20)(21)(22)により、
(23)
② Elephants have long noses.⇔
② Speaking of elephants,they have long noses.⇔
② ∀x{ELEPHANTSx→∃y(NOSESyx&LONGx)}.
に於ける、
②「Elephants」は、「主語」と言へば、「主語」であり、
②「Speaking of elephants,」は「主語」と言へば「主語」であり、
②「∀x{ELEPHANTSx→」  は「主語」と言へば「主語」である。
従って、
(22)(23)により、
(24)
所謂、「 英語主語」であったとしても、「主」と言へば、「主」であり、「主」と言へば、「主」である。
従って、
(25)
所謂、「日本語主語」であったとしても、「主」と言へば、「主」であり、「主」と言へば、「主」である。